サービスはいつか終了する モバプリの知っ得[210]


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昨年のサッカーW杯は、インターネット放送局ABEMAが全試合無料配信を行い、スマホを使ってのスポーツ観戦が話題となりました。そうした中、Zホールディングスは今月16日、動画配信サービス「GYAO!」が3月末で終了することを発表しました。GYAO!で購入した動画も見られなくなります。世界的なスポーツイベントで注目を集めるサービスの一方、終了を発表するサービスもあり、競争の激しい世界であることを実感させられます。

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

動画サービスはどれも私たちの時間を“奪う”サービスです。私たちの自由な時間は限りがあるので、結果的にサービス同士での時間の奪い合いが始まります。負けたサービスは退場(終了)します。これはゲーム、SNSにも言えることです。2020年、世界中が新型コロナウイルスの感染拡大によって「ステイホーム」を余儀なくされました。自由な時間が増え、動画サービス、ゲーム、SNSを提供しているIT企業はもうかりました。しかし世の中がコロナ前の状態に戻っていくと、私たちの自由な時間が減り、IT企業は売り上げを落としてきています。

競争が激しく、スピーディーなIT業界では多くのサービスが誕生して盛り上がる一方、多くのサービスが終了します。その際、購入したデジタルデータが消えることになったり、預けていたデータを移行する必要が出てきたりします。何となくサービスを使うだけでなく、その会社やIT業界の動きを広く見て「ここはまだ続くのか」を見極める力も求められています。

~ 解説 ~

※ ABEMAが全試合無料配信 … W杯を放送するには、FIFA(国際サッカー連盟)から放送権を購入する必要がありますが、その価格は上がってきています。各テレビ局が試合を厳選して購入する一方、ABEMAは「認知度を向上」させるため約200億円を支払って購入したとも言われています。ABEMAが高額な放送権を購入できた理由の一つに、グループ会社が手がける大人気ゲーム『ウマ娘 プリティダービー』の存在が挙げられます。ウマ娘は1年で960億円ほどの利益が出たと発表されており、「ゲームの課金」が巡り巡ってサッカーの無料中継につながったということですね。

 

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」でも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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