やぎ料理がオシャレに進化!? 【島ネタCHOSA班】


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知人が「あるお店の洋食メニューでやぎのお肉を食べておいしかった」と言っていました。ぜひ食べてみたいので、そのお店について調べてほしいです。

(那覇市 洋食まにあ)

イチオシの「やぎ鉄板焼き定食」は1760円

お祝いで振る舞われる「やぎ汁」にお酒のつまみに合う「やぎ刺し」。数ある沖縄の伝統食の中で、特別感を放つのがやぎ料理。一度食べるとクセになりファンが多い一方で、独特の風味を苦手に感じる人もいるのが現状ではないでしょうか。そんなやぎ料理が洋食メニューになると、どう変化するのでしょう? 調査員は洋食まにあさんの知人が訪れたという、うるま市の「やぎとそば 太陽」に足を運びました。

若い女性にアプローチ

調査に応じてくれた仲西洋陽(なかにし・ひろや)さんと妹の池宮城新奈(いけみやぎ・にいな)さん
 ラーメン、ボロネーゼ、シチューもやぎ料理

メニューを見ると「やぎラーメン」が目に飛び込んできました。2017年1月に開催、おいしいごはんを投票で決める食フェス「ガチめしグランプリ」にて初代グランプリに輝いた一品です。オーナーの仲西洋陽さんに聞くと「家族で試食を重ねおいしさを追求しました。その頑張りが実を結んで優勝し、今でも看板メニューです。実は受賞がきっかけで、店舗をオープンしたんですよ」とのこと。学校卒業後、会社員だった仲西さん。飲食業に興味があり、やぎを飼育していたお父さまの影響でアイデアがひらめいたそうです。「やぎ汁のキッチンカーは見たことがなかったので、軽自動車を改造して販売を始めました。週末だけの副業からスタートしたんですよ」

やがてやぎラーメンが注目され、17年2月に現店舗を開業。現在は、妹の池宮城新奈さんと、店を切り盛りしています。餌にハーブなどを加え、大鍋「シンメーナービ」で約8時間煮込む他工夫をこらし、やぎ特有の臭みを取るのがこのお店のこだわり。「定番のやぎ料理をおいしく提供するのはもちろんですが、おじさんが食べるイメージですよね。若い女性をはじめ、食べたことがない層にアプローチできるメニューを考えました」と誕生秘話を語ってくれました。

自宅でも味わえるやぎ料理

お土産用のやぎ料理、調味料などのプロデュース商品

仲西さんのアイデアで進化するやぎ料理ですが、味が気になり食べてみました。やぎラーメンはまろやかなスープに麺が絡み、やわらかく煮込んだやぎ肉がうま味を引き立て、やぎ初心者もおいしくいただける一品です。沖縄そばを使う「やぎボロネーゼ」は、モチモチ麺とやぎのひき肉が絶妙なハーモニーを生み上品な味わい。他にもカレー、シチューといった洋食メニューが並びます。仲西さんの狙い通りラーメンやボロネーゼを食べて、定番のやぎ汁にハマっていくお客さんも多いそう。

やぎのチーイリチーなど、他では見ない料理も並びます。中でもイチオシは「やぎ鉄板焼き定食」。鉄板で焼いたやぎ肉はしっかりと味が付きジューシーで、ごはんが進みます。

さらに自宅で気軽に食べられる冷凍のやぎ汁、やぎ刺しなどもあります。「CUPでYAGI SOUP」はレンジでチンするだけの画期的なやぎ汁。優良県産品に選ばれた自社牧場産のやぎ肉だけで作った「ヤギシチュー」は、レトルト入りでお土産向きです。

「沖縄のソウルフードであるやぎ料理を残すために、新しい層を獲得しながら消費者を増やしていくことが重要」と考える仲西さん。県全体で協力しながらやぎ料理を広める環境をつくっていきたいそうです。メニューとしては「栄養価が高く意外に低カロリーなので健康食として注目し、薬膳料理の可能性を追求したいですね」と展望を語ります。

進化させながらやぎ料理の次のステージを目指す仲西さん。その熱い思いに心を揺さぶられた調査員でした。


〈やぎとそば 太陽〉

うるま市石川2-10-18

TEL 098-965-3133
 

(2023年2月23日 週刊レキオ掲載)