手作りの楽しさ教える生地専門店 FABRIC SHOP MINAMI オーナー 伊波美津乃さん


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体験型の店舗がコンセプト

カラフルでビビッドな生地が並ぶ沖縄市八重島の生地専門店「FABRIC SHOP MINAMI(ファブリックショップミナミ)」。店内の洋服やバッグも、生地から手作りされたもの。体験型の店舗として、ソーイングクラスも開催し、手作りをサポートしているのも特徴 写真・村山望

沖縄市八重島の「FABRIC SHOP MINAMI(ファブリックショップ ミナミ)」は、ファブリック、すなわち生地の専門店だ。オーナーの伊波美津乃さんいわく、同店は「体験型の店舗がコンセプト」。生地を買えるだけでなく、購入した生地を洋服や小物に仕立てられるソーイングクラス(洋裁教室)を開催し、人気を集めている。沖縄の伝統織物を学べる織物工房も併設しており、自分の手で織った織物から服やバッグなど布製品を自作できるのも特徴だ。

「ファブリックショップ ミナミ」のドアを開けると、色とりどりの生地が目に飛び込んできた。店内には、カラフルな布地から作られた洋服やバッグも並ぶ。これらはすべて、同店で手作りされたものだという。

店舗の奥からは、心地よいミシンの音が聞こえてきた。ソーイングクラスの授業中だと聞き、のぞいてみると、数人の受講者が洋裁に取り組んでいた。

「当店は生地の専門店。販売やオーダーメードも承っていますが、『体験型の店舗』であることが特徴。ソーイングクラスを開催し、完成までサポートしています」とオーナーの伊波さんは話す。

異業種からオーナーに

「実は前職では、生地とは関係ない仕事に就いていたんです」と伊波さん。

「人と接するのが好き」という伊波さんは、専門学校の観光学課を卒業後、県内のホテルに就職。その後、大手自動車販売会社で勤務していたが、結婚が転機となった。

夫の祖母・伊波なつえさん(故人)は、復帰直前の1971年から銀天街でミナミの前身である「生地の店 美奈美」を営んでおり、店の後継ぎを探していた。そこで白羽の矢が立ったのが、伊波さんだった。前職とは畑違いだったものの、接客は得意だったため、手伝いを始めた。

店内の様子

「お客さまが普段選ばれないカラーや柄の生地をお薦めした事があって、それで服を作られたら『こんな色が似合うなんて新鮮』と常連さんに。接客業の魅力をあらためて感じ、継ぐきっかけになった」と振り返る。

しかし、世の中は既製服があふれ、生地店には厳しい時代。「そこで洋裁教室を中心に生地を展開をしようと思いました。生地種類の取り扱いも見直し、作りやすく素材映えし着心地の良さを感じる上質素材をそろえるようにしました」

手伝いを始めて2年後の13年前、オーナーに。同じタイミングで銀天街から同市内美里に移転した。専門のスタッフを雇い、洋裁教室を本格的に展開したところ、若者からシニアまで、幅広い生徒が集まり、口コミでリピーターも増加。おととしの5月、現在の八重島で店舗・教室スペースを大幅に拡大し、リニューアルオープンした。

ブロッサムクロス琉球では沖縄の伝統織物が学べる。1日でタペストリーを仕上げることも可能

初心者でも美しく仕上がる

クラスは2種類。「チョイスクラス」では、受講者自身が作りたいものを決め、担当講師が型紙を用意する。もう一つの「フリークラス」では、月替りで用意されたデザインにそって洋裁を進める。

チョイスクラスは1回3時間、月謝制ではなく1回ごとの予約制だ。そのつど2000円の授業料を支払う形で、受講しやすいのが特徴。一方、フリークラスは生地の実費だけで受講でき、手作りの楽しさを多くの人に伝えられるよう間口を広げている。

ソーイングクラスの風景

「初心者でも簡単に縫え、きれいに見える方法を教えています。短時間で仕上げられるよう、提案するデザインも工夫していますね」。何を作るか、またデザインにもよるが、「今日作って明日着れる」よう1回のクラスで完成することも多いそうだ。

「買い物感覚で、気軽に服作りに来てほしい。作れると服選びがもっと楽しくなります」と伊波さん。受講生が作った洋服を「どこで買ったの?」と言われたり、家族から『私にも作って』と頼まれたりすることもある、と笑う。

店舗の隣には、義母・伊波順子さんが主宰し、知花花織など伝統織物が学べる織物工房「ブロッサムクロス琉球」を併設。観光客を対象に、自分で織った布を使って、バッグやタペストリーを作れる1日コースも準備中とのこと。

手作りの楽しさを多くの人に伝えるファブリックショップミナミ。興味のある人はぜひ訪れてみてほしい。

(日平勝也)


FABRIC SHOP MINAMI

沖縄市八重島3-5-1
TEL 098(937)0564
営業時間
月曜~金曜 10~18時
   土曜 10~17時
定休日=日曜・祝日

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(2023年3月9日付 週刊レキオ掲載)