週刊レキオの「あまくま情報局」のページで「おもちゃ病院in那覇」のことを知りました。壊れたおもちゃを直してくれるようですが、どんな活動をしているのか興味があります。ぜひ調べてください。
(那覇市 トイステーション)
おもちゃ病院のこと、実は調査員も気になっていました。さっそく調査開始です。情報を基にやってきたのは那覇市の繁多川図書館。開院前に到着すると代表の玉城善伸さん(70)がロビーで「おもちゃ病院in那覇」の準備をしていました。他のドクターたちも、道具箱や自宅で修理したおもちゃを持って集まってきました。
思い出の玩具を復元
開院の時間を迎えると、修理の依頼や直ったおもちゃの引き取りに来る人が駆けつけてきました。依頼者は診察申込書に症状などを書き込んでいき、ドクターはおもちゃの状態を確認しながら問題を説明していきます。すぐ直るのもあれば、手術が必要なものも。「孫のおもちゃが動かなくなった」「子どものおもちゃを孫にあげたい」「思い入れがあって捨てられないという人」や30年前に今は亡き祖母からもらったゴジラのフィギュアを持ち込む親子の姿も。それぞれのおもちゃにストーリーがあり、「是が非でも直したい」と玉城さんたちも気合が入ります。
直ったおもちゃに対面した人たちは「やったー、生き返った」「もう動かないと思った」と笑顔。「二度と同じようなものはないじゃないですか。助かります」と金城菊さん(68)は感謝しています。
「おもちゃ病院in那覇」は初代代表の宮里勉さん(69)が奈良県から帰沖した2019年に始めたそうです。「定年の3年前から奈良県のおもちゃ病院でインターンをしていたので、沖縄でもやりたいと始めた」と宮里さん。「日本おもちゃ病院協会」という全国組織が主催する研修を受けてドクターになりました。当初は宮里さん一人で県立南部医療センター・こども医療センターで入院する子どもたちを対象に活動していましたが、約半年後におもちゃドクター養成講座を開きドクターを募集。集まったドクターたちと那覇市で一般向けにも始めたそうです。現在代表を務める玉城さんは、宮里さんが半年前に一時体調を崩したことから2代目に。元沖縄気象台の観測課技術専門官で、退職後に新聞でドクターの募集を見つけて、講習を受けたといいます。
今のところ、繁多川図書館とまーいまーいNaha、県立南部医療センター・こども医療センター(入院患者限定)の3カ所で、それぞれ月1回開院しているそう。ドクターは無償で働くボランティア。定年退職した人たちを中心に、23歳~76歳までの7人が所属しています。ドクターは航空管制技術官やエンジニアなどの技術者だった人が大半。おもちゃ好きが高じておもちゃ屋で働く最年少の大城裕斗さん( 23)は社会奉仕がしたいとドクターの養成講座を東京まで受けに行ったといいます!
子どもの笑顔が励みに
料金は基本無料で、部品が必要になる場合、適合するストックがあれば料金はかからないそうです。
これまで診断したおもちゃの数は、495個(3月24日現在)。1日に約10~20個の持ち込みがあるそうです。直る確率は95パーセント。30パーセントは電池ボックスが原因で、電池の液漏れやさびによる通電不良、20パーセントはオンオフスイッチの接触不良でいずれもすぐ直るとのこと。入院するケースが多く、各ドクターが自宅に持ち帰り、おもちゃと奮闘しているそうです。
「直ったおもちゃを見て喜ぶ子どもを見ると刺激にもなるしうれしい」と宮里さん。「『ありがとうございます』とか言われるとやめられないなと思う」と玉城さんも続けます。思い出の詰まったおもちゃをよみがえらせてくれる病院。依頼人とドクターたちの笑顔があふれる場所でした。
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おもちゃ病院in那覇
・繁多川図書館 第3(土)10時~15時
・那覇市人材育成支援センターまーいまーい Naha 第4(日)10時~15時
TEL 080‐6494‐7749(玉城さん)
(2023年3月30日 週刊レキオ掲載)