あんまーパワーで今帰仁の魅力を発信中　有限会社そーれの会

地域密着型の農産物直売所

代表取締役・鈴木江美子さん（前列右端）の「並んでー！」の声で集合したそーれの会メンバーたち。写真撮影が始まると猫の「駅長」ミーちゃんもやって来た＝今帰仁村玉城の「今帰仁の駅そ～れ」　写真・村山望

パワフルでとびきり明るい女性たちが出迎えてくれる「今帰仁の駅そ～れ」。「有限会社そーれの会」が1998年から運営している直売所だ。「めんそーれ」「ゆくいそーれ（休んでください）」「うさがみそーれ（召し上がってください）」など、もてなすときに使う「そーれ」と掛け声の｢ソーレ！ソーレ！｣にちなんで名付けられた。女性だけのチームを率いる代表取締役の鈴木江美子さんに話を聞いた。

沖縄島北部の本部半島の北側にある今帰仁村。青い海と緑豊かな山々に恵まれたのどかな場所にある「今帰仁の駅そ～れ」。村特産のスイカの屋根が目印の農産物直売所だ。

朝から地元の買い物客などでにぎわう「今帰仁の駅そ～れ」は、直売所やレストラン（現在は新型コロナ感染拡大防止のため休業中）、加工場を併設。地元農家の安くて新鮮な朝採れ野菜や果物、加工品、調味料、民芸品などが店内に並ぶ。

そ～れを経営するのは「有限会社そーれの会」。1953年から活動を続けてきた主婦を中心とした生活改善グループだ。村で農産物直売所を建てる計画が進められた時、経営の担い手として声がかかり「今帰仁の農産物の素晴らしさを知ってほしい」と経営を決意。98年の「今帰仁の駅そ～れ」開業以来、活動を続けてきた。

女性だけで経営を継続

今でこそ地元客や観光客が多く訪れるが、オープン当初は試行錯誤が続いた。そーれの会代表取締役の鈴木江美子さんは「最初は今帰仁村民も来たこともなく、通り過ぎるだけの施設だった」と振り返る。メンバー12人は「本当にボランティア状態で働いていた。補助金も3名分の給料しかもらえなかったから、自分たちで稼がないと立ち行かない。いろいろなことをした」と話す。イベントがあればチラシとシンメー鍋を携えてサーターアンダギーの実演販売をしに行った。ゴーヤーが余った農家がいると聞けば、それを橘餅（きっぱん）などに加工して販売。農家のメンバーや近所のおばぁも余った野菜を納めてくれた。次第に地元の農家から喜ばれるようになり、登録農家は700件以上に上る。1年に1度「庭に梅ができたよ」「タンカンがとれた」という農家や、家庭菜園でできた野菜が食べきれないからという人もいるという。

名物のサーターアンダギーは生地を手で絞り出す昔ながらの「手びねり」手法で作られている。黒糖、紅イモ、ドラゴンフルーツ、ヨモギや季節限定の種類もある。

順調に売り上げを増やしていく中、2006年に有限会社として法人化。今も変わらず地元密着型を貫く。清明祭（シーミー）など地域の行事や法事に欠かせないオードブルや弁当の注文が多く、弁当は300個の予約が入ることも。メニュー内容の要望や相談も受け入れ、柔軟に対応できるのが強みだ。

店頭に並ぶ日替わり弁当は人気で一日150個売れる。「農家さんは繁忙時に毎日買っていく。健康面も考えて、今日は魚、明日は肉など、なるべく変えるようにしている。『ゴーヤーがいいとか、パパイアがいいとか、ニンジンしりしりがいいとか（なじみ客が）言うから、『ああ、もう！』とか言いながらも作ったりしている」とまるで母親のよう。忙しく大変だが、「おいしかったって言われるのが一番の喜び」だ。

現在メンバーは30代後半から70代後半まで16人、正社員もパートもいて、それぞれのライフステージに合わせた働き方をしている。勤務年数も長い人が多く、平均年齢は65歳を超えたという。