ガンダム愛を形に 「モビルスーツ」製作


社会
ガンダム愛を形に 「モビルスーツ」製作
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金城健さんが製作したモビルスーツのガンダム(右)とシャア専用ザク=2月21日、那覇市の国際通り

 世代を超えて愛される「機動戦士ガンダム」。「モビルスーツ」(有人機動兵器)が登場するロボットアニメだ。アムロ・レイが乗り込む「ガンダム」、アムロと敵対するシャア・アズナブルが乗り込む「シャア専用ザク」の戦いを描いたテレビアニメに夢中になった少年は、大人になった今も作品への愛着を抱き続ける。そのガンダムが沖縄にお目見えした。

自宅そばの作業場でガンダムを修復する金城健さん=2月21日、うるま市兼箇段

■きっかけは余興

 2体の「モビルスーツ」を製作したのは金城健さん(48)=うるま市兼箇段。ごく普通の会社員だ。7年ほど前、結婚式の余興用に、子どもたちに人気の地域ヒーロー「琉神マブヤー」と「龍神ガナシー」を作った経験があり、「インパクトのあるものを作りたい」と考えた。自然とガンダムに行き着いた。

 「ガンダム」の製作期間は約3カ月で製作費は約3万円。「シャア専用ザク」は約6カ月で4万円ほどだ。材料のほとんどを100円ショップで購入し、家計に配慮した。プラモデルを基に設計図となるイラストを描いたという。各部品もアニメやプラモデルを細かく再現した。「360度どこから見てもリアルに見えるよう、試行錯誤した」と苦労を語る。

モビルスーツの材料。製作費を浮かすため、100円ショップで購入した材料がほとんど

■仮装で1位

 出来上がった2体は巨大プラモデルのようだ。実際には人が各パーツを装着しており、自由に動くこともできる。高さは190センチ余り。軽量化を意識し、材料のほとんどはスポンジ剤やクッションで占める。重さは10キロにも満たず、身軽に歩いたり、走ったりできる。

 「ガンダム」と「シャア専用ザク」は昨年10月31日に北谷で開かれた「ザ・ハロウィーンミハマ2015仮装コンテスト」に出場し、1位にあたる「ミハマアメリカンビレッジ賞」に輝いた。美浜アメリカンビレッジ事業者会会長で、審査員を務めた時任純孝さんは「手作り感がありつつも、質の高さが高評価だった」と振り返る。

写真撮影などで行き交う人たちと触れ合う手作りガンダム(右)とシャア専用ザク=2月21日、那覇市の国際通り

■夢の塊

 イベントで出動要請があると、手伝ってくれるのは長男の健人さん(21)、次男の勇人さん(16)。健人さんは「ガンダムを通して親子の会話が盛り上がる」と笑顔を見せる。妻の直子さん(47)は夫の趣味を褒めもしないが、静かに見守っているという。

 トランジットモールでにぎわう国際通りで2月21日、ガンダムやシャア専用ザクが100メートル余りを練り歩いた。行く先々で人に囲まれ、カメラや携帯での記念撮影に応じた。

 豊島鉄博さん(21)は「夢が詰まってる」と絶賛した。ミュージシャンのKEN子さんは、金城さんが一人で製作したことに驚き「行きすぎた趣味ですね」と冗談を交えながら賛辞を贈った。

文・大城三太 写真・普久原裕南

シャア専用ザクやガンダムの魅力について語るエフエム沖縄アナウンサーの西向幸三さん

◆細部こだわりリアル 西向幸三さん(エフエム沖縄アナウンサー)

 ガンダムの魅力は朝まで語っても語り尽くせない。一時代を築いたアニメーションで、独自の世界観を紡ぎ出した。1988年の映画「逆襲のシャア」を見たのが高校生のころで、その辺りからガンダムへの見方が変わり始めた。

 大人になって見返してみるとストーリーの奥深さに魅力を感じる。「正義とは何か、悪とは何か」「人は分かり合えるのか」などを考えさせられる。こっち側から見たら正義と思えることも、あっち側から見ると悪にしか見えないという風に、モノの見方を教えてくれた。

 私たちぐらいの世代は皆、マンガに熱中したし、ガンダムのプラモデル(ガンプラ)にも夢中になった。いろんなタイプのロボットが登場するのも魅力だ。個人的には曲線的なデザインが特徴の「ザク」が1番好き。赤く光るモノアイ(単眼)や肩部分のデザインなど、斬新な造りのロボットに衝撃を受けた。

 金城さんが製作したガンダムとシャア専用ザクを写真で見せてもらったが、細部にこだわりリアル感が素晴らしい。ぜひ直接自分の目で見てみたい。

(2016年3月8日 琉球新報掲載)