沖縄の在来かんきつ 沖縄の植物漫歩(5)


沖縄の在来かんきつ 沖縄の植物漫歩(5)
この記事を書いた人 Avatar photo 玉城江梨子
ノビレチン豊富なシークヮーサーの青い果実

 シークヮーサーは南西諸島から台湾にかけて自生し、本土のタチバナと並ぶ日本固有の在来かんきつです。特に沖縄本島北部の大宜味村、名護市、本部町などで多く栽培されています。その中でも長寿で有名な大宜味村では最も栽培が盛んです。以前は芭蕉布の洗浄に利用され、自家消費としても食生活に密着したかんきつで、村の村木、村花に指定されています。

 シークヮーサーは、高血圧や高血糖抑制、抗がん作用などの機能性を持つ「ノビレチン」という物質をその他のかんきつ類より多く含んでいることが2000年ごろから報道されるようになり、注目されました。さらに最近の研究では内臓脂肪やアルツハイマー、成人T細胞白血病(ATL)を抑制することが判明し、現在も各機関で研究が続けられています。

 現在収穫されている果実はジュースの加工用として利用されています。多くの工場では「ノビレチン」を多く含む果皮も丸ごと果実を搾るのでジュースにはその機能性成分が豊富に含まれています。  「ノビレチン」はアルコールに溶ける性質があるので、泡盛にちょっと加えたり、サラダにかけるドレッシングに加えたりして利用すると効果的に「ノビレチン」を摂取することができます。飲料としては原液を5~8倍ほど薄めてお好みでシロップを加えるとおいしく頂けます。

 このようにシークヮーサーは昔から食生活など密接に関係するとともに科学的にも理にかなった在来のカンキツです。通常は露地で栽培しますが、家庭では鉢植えでの栽培も可能です。

(NPO法人沖縄有用植物研究会 住秀和)

(2014年11月14日琉球新報掲載)