成育環境知ることから 沖縄の植物漫歩(9)


成育環境知ることから 沖縄の植物漫歩(9)
この記事を書いた人 Avatar photo 玉城江梨子

 有用植物研究会では海外からの植物を扱うことがよくあります。初めて出合う植物にどう対応するのか一例手順を紹介します。まず出合った植物の名前を調べます。名前を知ることでさまざまな情報が得られます。

 例えばパソコンでその名前を入れると、植物の科名や属名、原産地などが分かります。生育している地域が熱帯なのか熱帯でも砂漠なのか、密林なのか、高山なのかなど、周りの環境を知ることができれば栽培の判断材料になります。原産地での光線量、雨量、土質(PH)などが分かれば、その植物が普段過ごしている環境を知ることができます。環境が分かったら、自分が住んでいる所の環境の温度や光線量、土質などと比較します。  露地栽培での環境比較は難しくても鉢植えの場合はある程度の環境を合わせられます。植え込む鉢の種類や植え込み用土によって水分量、土質などはその植物の好む環境に調整できます。光線量、通風などは鉢の移動によって調整できます。

 以上は自分の環境を植物の好む環境にできるだけ近づける工夫ですが、その植物を自分の環境に合わせることで栽培がうまくいく場合もあります。種子をまいてみると、種子にはさまざまな可能性が期待できます。

 また、自分の環境でうまく育っている仲間たちと交配して雑種ができれば、環境に適応できる個体が得られるかもしれません。もう一つは一番早く結果が分かる方法です。枝を入手して順調に生育している仲間たちに接ぎ木をしてみます。その環境でうまい具合に育っている台木の力で調子よく育つ場合があります。  

(NPO法人沖縄有用植物研究会 仲田実)

(2014年12月4日琉球新報掲載)