夏が来た、海に行こう しかたにさんちの自然暮らし(1) 


夏が来た、海に行こう しかたにさんちの自然暮らし(1) 
この記事を書いた人 座波 幸代
真っ白な砂の人工ビーチ(アラハビーチ)

 朝、降りしきるようなセミの声で目を覚ます季節。街の中は、コンクリートやアスファルトの照り返しで、余計に暑いですね。だったら、たまには海風を感じに出かけませんか? 沖縄は海に囲まれた島、この海を楽しまない手はありません。

 でも、海は危ないとよく言われます。そこで、まずは海遊びの初心者さんでも安心なビーチはいかがでしょうか。

最近のビーチは便利です。駐車場が近く、トイレやシャワー、売店があり、ビーチの監視人もいます。砂は均一に細かくそろい、ごみも混ざっていません。暑ささえ平気なら、素足で歩いても大丈夫。遊泳区域にはクラゲよけのネットも張ってあります。小さいお子さんの海デビューは、こうした場所が便利でしょう。宜野湾のトロピカルビーチ、北谷のアラハビーチ、西原のきらきらビーチ、知念のあざまサンサンビーチ、豊見城の美らSUNビーチ、糸満の美々ビーチ…。ビーチは他にも各地にたくさんあります。

 ただし、これらはみんな人工ビーチです。人工ビーチの多くは、もともとの海岸を埋め立てて、その埋め立て地の先によその海底から掘ってきた砂を運び入れて、造成した場所です。台風が来ると、砂が打ち上げられたり、逆に流出したりするので、ビーチの維持のために定期的に砂を補充しています。砂の下はコンクリートなどの基盤です。こうした環境では、本来なら砂浜にいるはずの生き物たちの姿はないか、あってもごくわずかです。
 

昔ながらの自然のビーチの入口(百名ビーチ)

 そこで、人工ビーチを卒業したら、今度は自然のビーチに行ってみましょう。自然のビーチは、サンゴのかけらや貝殻がごろごろ混ざり、こうしたものを拾って歩く「ビーチコーミング」も楽しいですね。でも、サンゴがごろごろした場所を素足で歩くのは無理。残念ながら漂着ごみやガラスの破片が落ちていることもあるので、サンダルかマリンシューズを用意して。

 自然のビーチには便利な施設はありませんが、生き物はたくさんいます。天然記念物のオカヤドカリや、砂浜に穴を掘るスナガニの仲間。岩には貝も付いています。水の中には危ない生き物も隠れているけれど、波打ち際で砂遊びや水遊び程度なら、それほど危ないことはありません。

 ビーチで必ず注意してほしいのは、日焼けとクラゲ対策、そして熱中症です。日焼けには、帽子をかぶって日焼け止めを塗るのが定番ですが、沖縄の日差しの下では、風通しの良い薄手の生地で肌を覆った方が、かえって体が楽かもしれません。できれば天然素材の生地の方が、肌触りが良いですね。日焼け止めの多くは化学薬品なので、たくさんの人が泳ぐビーチでは、海に溶け出した成分が、サンゴや生き物に影響することが心配されています。だから、泳ぐ時はラッシュガードで肌を保護し、日焼け止めは、顔など露出する最小限の場所に塗るのが良さそうです。

 クラゲと熱中症への対策は、また次の機会に。海を安全に楽しむポイント、要チェックですよ!

サンゴのかけらの上で、ナキオカヤドカリ(百名ビーチ)

鹿谷麻夕(しかたに自然案内)

 しかたに・まゆ 東洋大、琉球大卒。東大大学院中退。東京で生まれ育ち、20代半ばで文系から理系に転向、沖縄に来てサンゴ礁を学ぶ。その後、しかたに自然案内を主宰し、県内で海の環境教育を行う。本と音楽と野良猫を好む。