歯の痛み やんばるからの手紙(2)


社会
歯の痛み やんばるからの手紙(2)
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うちの子たちは、お父さん似で歯が大きいのです

 数日前からの歯の痛み。奥歯なので、ものを食べるのがとても困難になりつつある。が、そんな私も(?)歯医者さんは苦手だ。無防備に口を大きく開けて、鋭利な器具であれやこれやされるのは非常に怖い。特に注射のあの形容しがたい痛み。地獄の底に突き落とされるようなドーンとした感覚と共に訪れるまひは、これから始まる治療に無条件で降伏するようなもの。だから、行かない。いや、行けない。もちろん「行かない」という選択が何を意味するのかも、40年生きていればよく分かる。すいません、ほんと。

 まずは、ホメオパシーのレメディで歯の痛みに対処するものを取った。マグフォス、ベラドーナ、ヘパーソーファ。緩やかながら、微小に痛みが弱まったような。しかし、食べるとまた痛む。ズキーンズキーン。歯茎も腫れているようだ。インターネットで「ホリステック 虫歯」と検索してみた。

 ホリステックとは全体のこと。「歯」という一部分を見るのではなくて、体とどういう関係があるのか探り、根底から治療するやり方だ。そしたら歯の痛み(特に奥歯)は、大腸からくるらしい。内臓が弱っていると歯に症状が出て、「痛いから食べない」ことによって、内臓を休ませる。

 それから「冷え」も虫歯に大いに関係があるよう。クローブ(スパイス)を歯に詰めて、靴下を履いて温めて、なるべく食べずにいれば痛みが治まることもある、と知れば即実践。おおお、効いてきた。

 わが家の歯磨き粉は手作りだ。超アルカリ性のホタテの殻の粉と重曹少し、ティーツリーオイルを混ぜたもの。虫歯は口腔(こうくう)内の菌が原因なので、菌が繁殖しないよう口の中をアルカリ性にする。歯周病の予防にも効果が期待できるとのこと。子どもたちもそれでうがいをしている。

 考えれば、虫歯の治療で神経を抜くことはよくあること。でも、普通に考えたらいささか短絡的なような気もする。「虫の痛みは毒出し。その穴を埋めれば、他に影響がある」そんな意見もあるらしい。そして一番大事なのは食べ物だ。健康に良い食事をしていれば、虫歯と縁を切れることも夢ではない?

(2016年7月19日 琉球新報掲載)

根本きこさん

根本きこ(ねもと・きこ) 
 1974年生まれ。2003年逗子市に「coya」を開業。カフェブームの先駆けに。東日本大震災を機に2011年3月閉店し、沖縄県東村に夫と子ども2人で移住。現在は名護市に暮らす。2013年4月から琉球新報でコラム「やんばるからの手紙」を好評連載中。雑誌にエッセーを連載、著書「島りょうり 島くらし」「おとな時間」など多数ある。