動物と共に、自然体で きゆな牧場の喜友名慶子さん

  • 北部
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約40度に温めたミルクを子牛にやる喜友名慶子さん(中央)。孫の泰那ちゃん(左)、菜雪ちゃんもはしゃいでお手伝い

 山と川に囲まれた約7ヘクタールの土地に、牛舎や放牧のための草地が広がる。大宜味村津波の丘の上にある「きゆな牧場」(酪農教育ファーム認定牧場)で牛、ヤギ、イノシシ、ニワトリ、ウサギ、犬、猫と共に暮らすのは喜友名慶子さん(64)家族だ。建築業出身の喜友名さんは1997年、家族で仕事の分担や給料を定める「家族経営協定」を県内で初めて取り入れた酪農家として知られる。現在は県内の子どもたちから海外旅行客まで、幅広い人々に自然の中で動物と触れ合いながら暮らす魅力を伝える。

 嘉手納町で生まれ育った喜友名さんは、高校卒業後に上京した。設計事務所で働きながら、専門学校で建築を学んだ。建築士免許を取って沖縄に戻ると、嘉手納町で兄が開いた設計事務所で働いた。「時間の制約も大きくハードな仕事。都会で働きながらの子育ては大変だった」と振り返る。自然の中で伸び伸びと子育てしたいという思いが募った。


牛やヤギの鳴き声が響くきゆな牧場では、喜友名慶子さん(左端)と家族、来訪者の笑顔が絶えない=大宜味村津波のきゆな牧場

 養豚業を営み「牧場を持ちたい」と夢を語っていた夫の朝秀さん(66)と共に87年、慶子さんの父親の出身地、大宜味村に牧場を開くため引っ越した。「酪農は朝が早く休みもない。でも子どもたちを預ける必要がなく、働く姿も見せることができる。自然が子どもたちを育ててくれ、家族みんなが人間らしく生きられる。動物たちは優しい気持ちで接すれば、ちゃんと優しく反応してくれる」。動物が生まれ、死んでいく姿も間近に見た子どもたち。自然が感受性を豊かにした。

 「家族経営協定」は子どもたちの仕事を「搾乳」から「犬、猫、ヤギの世話」まで年代ごとに分担。時給も数百円単位で明記した。家事の手伝いとは別で酪農の仕事を手伝えば子どもたちも給料がもらえる。「もちろん学業が最優先だが、ほしいものがあればいつもよりたくさん働く。そうして買ったものは粗末には扱わない」という。


自由に動き回るニワトリ。夜は止まり木で寝る。朝には産みたての卵が朝食になる

 現在は子どもたちが独立し、県内の子どもたちや幅広い年代の人々がが牧場を訪れる。搾乳や動物の世話を体験し、動物の温かさに接する。観光客の多くは化学肥料や除草剤、抗生物質を使わない喜友名さんの酪農に感銘を受け、帰っていく。「牧場に定年はない。子どもたちが継ぐかもしれないし、その時々のライフスタイルに合わせ、できる形で続けていきたい」と展望した。

文・宮城隆尋
写真・具志堅千恵子



のんびりと育つ牛。草地での放牧により足腰が鍛えられ、健康だ

自然に優しい酪農を体験しようと、海外からの来訪者も絶えない。喜友名さんの家族と触れ合いながら、動物たちを世話する


(2016年7月26日 琉球新報掲載)



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