中学受験する?しない?(5) 親ができることって?


中学受験する?しない?(5) 親ができることって?
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一生懸命勉強するわが子をどう支えよう?

 中学受験をすると決めたなら、親はどんなことをすればいい? どんな心構えが必要? シリーズ最終回はそんな疑問、不安に専門家がお答えします。

「受験に向けての情報収集はどの程度やればいいのでしょうか?精神的なサポートはどうすればいいのでしょうか?」(中部地区の6年生女子の保護者)

ガゼットの松原広喜さん
「子どもに前向きな言葉をかけて」

松原広喜さん

 「一つ目は塾やインターネット、学校の説明会、在校生の保護者から話を聞くなどして志望校の情報を集めてください。

 二つ目は模試を受けさせてください。塾に通っていなくても模試は受けられます。受験させ、子どもの学力を把握し、一緒に対策を考えてください。

 三つ目は子どものがんばりやよい行い、伸びたところを具体的にほめてください。子どもは両親にほめられるとうれしくてさらに頑張ります。

 四つ目は子どもに前向きな言葉をかけてください。受験勉強ではなかなか成果が見えずスランプに陥る時期もあります。そんな時保護者が前向きな言葉をかけることで、気持ちの切り替えができるようになります。これは勉強以外のことでも必要なことです。

 大切なのは子どもが自分で考え解決する力をつけるように導くことです」

屋宜塾の屋宜成芳塾長
「コーチになってください」

屋宜成芳塾長

「子どもの点数だけを見て叱るのは、プロ野球の試合を見てヤジを飛ばしている観客と同じです。親は子どもにとってコーチでなければなりません。コーチとは目標や課題を共有し、一緒に考え、一緒に汗を流してくれる存在です。

 受験は競争です。親と子がお勉強のチームになり、分からないことを一緒に楽しむ。確かに受験勉強は難しい。『教えられない』ではなく、一緒に考え解決策を模索する姿勢が大切です。例えば分からない問題があれば『塾で聞いてきて、お父さん、お母さんにも教えて』と言う。

 一つ一つ面倒ではあります。でも目標達成のプロセスを一緒に歩んでいけばこれほど充実した時間はありません」

「受験に失敗したらと考えると超不安です」(南部地区の6年生男子の保護者)

琉球大の平田幹夫教授
「子どもたちはしなやかです」

平田幹夫教授

「12歳で不合格はかわいそう、というのは過保護では?

 高校入試の場合、浪人する可能性もありますが、中学入試は落ちても地域の公立校に行ける。公立校で上位にいることでモチベーションが上がる子もいる。

子どもたちは大人が考えているよりもしなやかです!」

屋宜塾の屋宜成芳塾長
「受験は1回戦に過ぎない」

 「受験は勉強させるためのツールに過ぎません。

 勉強の大会が受験です。中学受験は1回戦に過ぎず、それで人生が決まるわけじゃありません。喜びすぎても悲しみすぎてもいけません。

 成功しても失敗しても通過点に過ぎず、学校に入ってから勉強すること、立派な大人になることの方が大事です」

伸びる土台をつくるには?

 まだ子どもは受験生じゃないけど、できれば賢い子に育てたいという保護者の方もいらっしゃると思います。次は番外編。「伸びる土台をつくるには?」

三村和則教授

 学力に詳しい沖国大の三村和則教授は「中高一貫校は5年間で6年分のカリキュラムが終わり、最後の1年間で大学受験の勉強をするので、大学進学には有利です。しかし、現実には中高一貫校でなくても頑張っている高校もある。大事なのは地頭をよくすること。それには小学校生活を楽しく過ごすこと。少年期を豊かに過ごすことが後の力につながっていきます」と話します。

 屋宜塾長も「勉強のできる子には二つのパターンがある。点数を取ることに興味がある子と知りたいという欲求が強い子。後者の子は将来的に伸びます」と話します。

 では、知的欲求が強い子はどう育てればいいのでしょうか。

 屋宜塾長は「知的快感は親しか与えられない」と指摘します。「小さい子ほど何も知らない。だから何でも知りたい。親子でいろんな会話をしてください。一緒に調べてください」と幼少期の「なぜ、なぜ」にしっかり向き合うことが大切だとします。

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~この記事を書いた人~

 玉城江梨子(たまき・えりこ) 琉球新報style編集部。今年3月までは編集局社会部の記者(=紙の新聞の記者)として医療・福祉や沖縄戦などをテーマに取材。子育て中であることや自身が私立中、高校出身のため、県内で盛り上がる中学受験に興味津々。