ハーブや野菜も「リサイクル」 しかたにさんちの自然暮らし(7)


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 先日、ちょっと出掛けている間に、台風13号が発達して急接近。ベランダのグレープフルーツの植木鉢をひっくり返し、ブーゲンビレアの葉っぱをむしり取ってしまいました。雨が吹き込んだベランダの床や窓には、飛び散った葉っぱがペタペタ。葉っぱは乾くと取れなくなるので、急いでホースで水をかけてベランダ掃除です。掃除して集まった葉っぱや土は、ハーブを植えた大きめのプランターにポンと載せました。こうしておけば、ゆっくり分解されて、いずれは腐葉土に生まれ変わります。腐葉土は養分や水をたっぷりと保つことができるので、大きめのプランターなら水やりは時々でも大丈夫。乾燥と日当たりが好きなハーブなら、真夏の沖縄でもそうそう枯れることはありません。少ししおれても、水をあげればすぐ復活!

4~5日で、元気な根が伸びてきました

 沖縄のベランダで育てやすいハーブは、乾燥に強いローズマリーやセージ。苗を買ってきて育てることもできますが、挿し木でもよく増えます。うちのローズマリーは、剪定(せんてい)された小枝をもらってプランターに挿しておいたもの。これもひとつの「リサイクル」かな?

 ほかに挿し木で増えやすいのは、バジル、ミント、オレガノなど。特にバジルとミントは、長さ10センチくらいをコップの水に生けておくだけで、数日すれば根が出てきます。あとは、好みの植木鉢に植えればOK。料理用の生のハーブを買って使い切れない残りや、茎の部分を捨てずに生けてみてもいいでしょう。同じハーブでも、株によって香りが微妙に異なりますから、気に入った香りの株を見つけて増やしてみても良いですね。

 挿し木が大きく成長してきたら、取り木もできます。オレガノは、長い茎の途中に土をかぶせて埋めておくと、そこから根が出ます。根が伸びてきたら、切り離して新しい植木鉢に植えましょう。茂り過ぎたら刈り取って日陰で乾燥させ、葉っぱだけ冷蔵庫で保管しておけば、手軽にパスタやサラダにつかえます。

香りと辛みの強い、ワイルドルッコラ
ワイルドルッコラに黄色い花

 最近気に入っているのは、ワイルドルッコラ。こちらは、明るい半日陰くらいの場所に植えてあります。種から育てると収穫まで時間がかかりますが、強いゴマの香りとピリッ!とした辛さは、毎日のサラダのアクセントになります。柔らかい新芽の部分を摘み取れば、脇芽が伸びて枝分かれし、葉っぱが増えていきますよ。

ミツバは、ちょっと夏バテ気味

 日本のハーブと言えるミツバも育ちます。お正月のお雑煮に使ったミツバの根っこを植えておいたら、夏前に花が咲き、夏には種ができました。9月になった今も、グレープフルーツの木陰で元気に葉を茂らせて、時々料理に添えて楽しんでいます。日陰ならニラもおすすめ。露地栽培よりも柔らかい葉っぱが伸びてくるので、炒めても食べやすい。これも、根っこ付きを買って増やしました。

 ちなみにグレープフルーツは、国産のものを手に入れて、食べたあとの種を植えてから3年目。丈は2mに届きそう。

 野菜やハーブの「リサイクル」って、結構楽しいんですよ。

鹿谷法一(しかたに自然案内)

 しかたに・のりかず 琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島生まれ。海に憧れて沖縄に来て、もう30年以上。専門は甲殻類。生物の形と機能の関係に興味がある。趣味は本とパソコンとバイクいじり。植物を育てるのも好き。