私はウチナーンチュ 私のポジション(27)

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幸地ルシアさん(宜野湾市)〈上〉


「沖縄で育っているからウチナーンチュ」と話す幸地ルシアさん=7月12日、宜野湾市

 「戦争体験者の人から、私のようなハーフはどう見えますか?」。6月、県内高校生が中心となって開催した「沖縄平和フォーラム」で、幸地ルシアさん(17)=宜野湾市=は沖縄戦の体験者に質問した。話を聞きながら、2年前の体験を思い出した。宜野湾高校に進み、夏休みに参加した福祉ボランティアで高齢者に言われた。

「あんた、アメリカーの血、入っているでしょ」

「はい」

「あっち行けー」

 認知症が進んだ高齢者もいる施設だった。「仕方ないですよね」と優しく受け止めるが、苦い経験として心に残った。

 1998年生まれ。メキシコ系アメリカ人の米兵だった父とウチナーンチュの母の間に生まれた。母は結婚をせず、シングルマザーとなることを選んだ。

 2国のルーツを「ハーフ」「ダブル」と説明する。では自分は“何人”か。「真ん中?分かんないですよ」と首をかしげ、「沖縄の人だって思う。ずっと沖縄にいるし、沖縄で育っているから。ウチナーンチュ!」と笑う。

 考えることや議論が好きだ。慰霊の日を前に戦争や平和を学ぶ授業もウチナーンチュとして勉強している。平和フォーラムの会場でも最前列で戦争体験者の講話を聴いた。

 「一番前で聞いていると、私の存在が相手を傷つけていないか」と気になる。それでも戦争に対しては客観的な態度で向き合いたい。「私がハーフだからといって、『自分の先祖が戦争でこの人たちを傷つけた』と考えるより、『人間はどうして争わずにいられないのかな』と思うんですよ」

 沖縄戦と米軍基地のつながりは分かる。しかし、基地を介して父と母が出会い、自分が生まれたということを深く問い詰めることはしない。「自分はこうやって生まれてきたんだから」と堂々としていたい。それができるのも母のおかげで「強くなれたから」。

 高校3年生。「いろんな意見を持っている人が仲良くしてほしい」と思う。そのためにも「もっと議論をしたい」。“自分だから”できることは何か。大学で学び、周りに力を与えられる人になりたいと目標を掲げている。

(東江亜季子)


 「アメリカ系うちなーんちゅ」を名乗る人たちが会を発足させた。ハーフ、ダブル、アメラジアン―。アメリカと沖縄の二つのルーツを持つ人のアイデンティティーはいつも周りに決められ、彼らの居場所や生き方は戦後の社会に翻弄(ほんろう)された。終戦70年を前に彼らの生きた沖縄、彼らの声を聞く。 ※年齢は紙面掲載当時のものです。

 

(2015年7月20日 琉球新報掲載)



私のポジション「沖縄×アメリカ」ルーツを生きる
東江亜季子著 琉球新報社編
新書 111頁

¥920(税抜き)

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