祈るように歌う Cocco

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 県出身アーティスト、Coccoのアルバム「アダンバレエ」発売に伴うライブツアーの最終公演が10月25日、大阪府のオリックス劇場で開催された。アダンバレエはCoccoいわく「生存者(サバイバー)による生存者のためのアルバム」だ。「いつの間にか大人になって、図らずも生き残った」Coccoが、同時代を生き抜いたファンたちのために強く優しい21曲を歌い上げた。


力強く歌うCocco=10月25日、大阪府大阪市のオリックス劇場(提供・西槇太一さん撮影)

 「愛しい人」で幕を開け、「希望の光」を続けた。激しい曲では時折、歌を超えて叫びになる。そういう時は会場が一体になるというより、Coccoは独りで闘い、観客は圧倒されつつも引き付けられた。Coccoの歌は古くからの祭祀(さいし)の歌のように、生きること、祈ることと直結しているように感じる。

 9曲目の「Rosheen」を歌い終えると、客席で赤ちゃんが泣き出した。ぶっ続けで歌っていたCoccoが「赤ちゃんは泣くのが仕事だからね。おれたちは歌うのが仕事だから」とつぶやき、場がなごんだ。思春期にCoccoの歌に支えられたであろうファンも大人になり、親になった。「樹海の糸」「強く儚い者たち」といった初期の歌は10代、20代のひりひりした痛みと魅力を超えて、普遍的な輝きを放った。

 昨年、「沖縄のウタ拝」公演で初披露した踊りの映像も上映した。沖縄のことを歌ったという曲「楽園」では名護市辺野古の海や米軍普天間飛行場、コザ騒動などの写真や映像を映した。思いが観客に届いたのか、大きな拍手が湧いた。

 最後の曲の前に「質問タイム」と初めて長いMCの時間を設けた。「どうしたらバレエがうまくなれますか」という子どもの質問に「Coccoも毎日思ってる。挑戦を続けて」と答えた。

 最後の「ひばり」を歌い終えると、出し切った様子で深々と礼をし、メンバーと抱擁した。何分間も拍手がやまない中、涙をこらえ、手を振りながら去っていった。圧倒的な表現に記者もしばらく放心し、沖縄の人にもCoccoのライブを見てほしいと強く思った。

(伊佐尚記)

(2016年11月8日 琉球新報掲載)

☆ツアーのDVDが来年3月21日に発売される



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