潤いと癒やし生む水場 小さな自然・ビオトープ

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ビオトープになっている庭で遊ぶ島重夫さん一家の子どもたち=沖縄市池原

 交通量の多い沖縄市池原の国道から1本奥の道に入るとプールのある美容室「ビオトープ」がある。美容師の島重夫さん(48)は「鳥が来て、水浴びをしたり水を飲んだりしていてかわいい。猫も来る」とほほ笑む。芝生の庭に造られたプールがきらきらと太陽に揺らめく。島さん夫妻は、動物や虫を誘い込むプールや庭をビオトープと呼んでいる。動物好きの妻・亜由美さん(30)は「1年を通して動物たちが何かと集まってくる」と小さな来訪者を歓迎する。


「あ、虫来てるよ」「どこ?」。親子の会話も弾む

 美容室と同じ敷地内に自宅があり、どちらからもプールが見える。朝、メジロやヒヨドリが文字通り羽を伸ばしてほっと一息つく。夕頃には太陽が水面(みなも)に反射して花ブロックや室内に幻想的な模様を映し出し、小さなアートを作る。プールが一日を彩り、癒やしを生んでいる。

 長女の一花ちゃん(7)、次女の二葉ちゃん(3)もシャボン玉を水辺に飛ばしたり、プールにハイビスカスの葉を浮かべたりして遊ぶのが好きだ。夏には友人を庭に呼び、バーベキューを楽しむ。重夫さんは「安全のため、子どもたちがプールに入らないようにと思っていたのに娘が一番に足を漬けてしまい、すると次々と子どもたちが入って遊び始めた」と苦笑いするが、いい思い出となっている。


ゆらゆらと花ブロックに反射して映る水面が癒やしを生む

 心地よい空間を維持するには苦労もある。プールの底まで全部きれいにしようとすると5時間かかる。だが、重夫さんは「美容室をやっている以上、一定の清潔さは保たないといけない」と話し、少しずつでも掃除は欠かさない。

 重夫さんは20年以上東京都渋谷区の美容室で働いた後、実家のある沖縄市へ帰って美容室を開店した。髪にダメージを与えない手法や薬剤にこだわり、シャンプーからカットやカラー、パーマまで丁寧に1人で担当する。「かつての店舗では効率のために丁寧にできなかった部分もあった。今は納得のいくように時間をかけて施術できる」と満足げに話す。

 待ち時間に読めるようにと置いてある本はファッション誌だけでなく、亜由美さんが好きな「暮しの手帖」など生活に関する雑誌や本も多い。亜由美さんは「シンプルに丁寧に暮らせたらいいと思っている。現実には子どももいて、試行錯誤しながらですが」と笑う。プールがつくり出した小さな自然「ビオトープ」を中心に、暮らしも仕事も丁寧に営む循環が生まれている。

文と写真・清水柚里


美容店の窓からもプールが見える。午前中は鳥の姿も多い

美容室の本棚にずらりと並ぶライフスタイルの本

(2016年12月27日 琉球新報掲載)



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