「Startupの良し悪し」 山口豪志(株式会社54 代表取締役社長)

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 沖縄から次世代リーダーを発掘・育成する人材育成プログラム「Ryukyufrogs(リュウキュウ・フロッグス)」。“想い”をカタチにしようと、新サービスの構築に挑み続けた8期生9人を応援しようと、国内外で活躍する起業家やベンチャーキャピタリストら8人のスペシャルゲストが2016年12月11日の成果発表会「LEAP DAY」に駆け付けました。世の中に新しい価値を生み出し続ける8人の講演を全文書き起こしで順次紹介します。第7回は、日本最大のレシピ検索サイト「クックパッド」の成長に貢献したのち、クラウドソーシング最大手の株式会社ランサーズの創業時に携わった経験を持つ、株式会社54代表取締役社長の山口豪志(やまぐち ごうし)さんです。

(次回は1月6日公開予定)


学生時代は昆虫分類学を学ぶ


 スタートアップには、良いこと悪いことやっぱりどちらもあるので、フラットに話をしたいと思います。

 簡単に自己紹介しますと2006年から社会人になり、32歳です。もともとは大学を休学して人材の会社にインターンとしてジョインしました。そのインターン先の1つに見つけた会社がクックパッドでした。そのあとランサーズという会社に3人目で入り、事業の立ち上げをやり、今の会社をつくるという流れです。

 人材会社にインターンしたとことにヒントがあります。なんか新しいことを始めたい、興味があるけど何をしたらいいのか分からないと思うんですが、3つの業種は全ての会社にいけます。

 ITもそういう意味ではどこの会社にも入れるかもしれませんが、1つは金融です。銀行などのお金の貸し借りをしている業種は全ての業種、業界にコンタクトがとれます。2つ目は不動産です。いろんな会社がオフィスを借りるので、どこの会社にも入ることができる。3つめが人材系です。人材系のビジネスは、業界的に伸びている会社とか、これから育っていく会社には人が必要になるので、どこの業界が伸びているのかとか、どういった会社がマーケットで成長しているのだろうか、そういったことを知るのにすごくいいんです。


山口 豪志氏

 わたしは学生時代に昆虫の分類学というものをやっていまして、オーストラリアの寄生蜂っていう2ミリ、3ミリぐらいの小さな蜂がいるのですが、その蜂の研究をしていました。いわゆるビジネスのビの字も知らなかったし、学者になりたいと大学に進んでいたので、スタートアップとか、ベンチャーとか全く知らなかったですね。

 ただ、なぜ今私がこういうステージに立っているかというと、出会いがすごく大きい。友人がインターンをしている会社があって、インターンですごくいい経験ができたって話をしていたので、僕もやってみるってことで休学をしていったんですね。そんな、ちょっとしたヒントが周りから転がってくるので、それをつかんでください。

 ことしもアフリカを中心に世界中をあちこち回っていて、インド、インドネシア、シンガポール、アメリカなど。世界は本当に日々変わっている。10年前にバックパッカーとして回ったときは、周りはスマートフォンではなかった。ガラケーでしたし、旅の宿では、旅人ノートなるものがあって、それを見ながら旅をしていました。ここ10年で変わっています。

 今は54という会社と、ベンチャーキャピタルのアクセレーターで会社を育てるという役割をいただいています。情報工場スタディストではベンチャーですが、今から世の中に出ていこうという会社です。

スタートアップとは


 そしてスタートアップとは何か?

 まず1つ目。新しい会社です。ベンチャーという表現もあるのですが、ほぼ同義だと思っています。新しい技術とか、革新的なプロセスの改善、そういったところがある企業です。結構「うちベンチャーです」っていう会社はたくさんありますが、どの辺がベンチャーっぽいの?って聞くと、大したテクノロジーはなかったり、新しいプロセス改善ではなくて、普通の人材会社だったりとか、普通のWEB制作会社だったりということが多々あります。

 もし、ベンチャーに興味があって、話を聞きに行こうかなってときにはこんなことに気をつけてください。ざっくりと3つ。創業間もないです。基本的に創業5年、10年の会社で、まさに今研究開発をしている会社、あと大企業が手を出せないような技術革新とか、プロセスの改善がある会社。明確に強みがある。本当にニッチながら、テーマを設定していて、テーマにおいて世界一。そしてユニークであるということ。特にITの会社を指すのですが、今までのビジネスって、すでにサプライチェーンって言いますが、ビジネスのつながりができてしまっている。そこをITは改良、改善したり、プロセスを、まったく新しいプロセスを創出することができる。そういった意味においてITの会社が多いです。


メリットとデメリット


 メリットはやるとすぐに体感できます。大企業の承認プロセスはすごく長い。主任、課長、いろんな方のハンコをもらって、3カ月とかざらにかかったりして。大きな会社とやりとりすると、ベンチャー側はやきもきするんですね。ミーティングではすごい反応が良かったのに、全然反応が返ってこない。申し込みはいつくるの?みたいな。

 ベンチャーはすごい少人数でやっているので、ミーティングでそれこそ社長もいるし、そのミーティングでこれやろう、今すぐやろうとなり、すぐ動ける。本当にニッチなカテゴリーでも世界最強になれる可能性もある。

 僕も21歳でクックパッドに関わらせていただいて、当時年間2億円の広告を扱いましたが、その後5年で15億円ぐらい。21,2の若造ですが、そのぐらいの額を扱う、そういう体験をさせてもらいいました。今はクックパッドは上場しましたし、ランサーズは100人規模の会社になりました。つまり大化けする可能性があります。

 コレは完全にイメージ通りだと思いますが、企業の体力と言われる、お金も人も全然足りないです。昨今ブラック企業という言葉もありますが、労働環境は本当にぼろい、ガレージのようなところでやったりして、本当に不夜城のごとく働いていたりもします。会社にもよりますが。あと、マーケットの変化に弱い。ちょとした法改正などで変わってしまうので、そういった意味では非常に弱かったりします。

 あと、大学を出たのに、聞いたことのない会社にいくの?とか言われる。そこには信じているテクノロジーとか仲間がいて、ちょっと引け目を感じながらも楽しさがあります。

 まさに社会に変化を起こす、イノベーションには2つあると思っていて、1つは技術的イノベーション。あるテクノロジーを究めたりとか、新しいAIの技術とか、強みを持っていてイノベーションを起こす。もう1つはビジネスイノベーション。今この瞬間当たり前だと思われているものが、少しずつ変わる。これってこうなったら便利じゃん?って、ここはこうなったいいんじゃないのというポイントを見つける。この2つが大きなイノベーションと思っています。

 Googleとか創業して20年も経たない会社が世界第2の会社になっている。AirbnbとかUBERも大きな評価を得ている。UBERはHONDAとかGMよりも時価総額が高いんですね。BMWと同じぐらい。これも創業して5年、10年という非常にスピーディーな形で進んでいます。

自分自身が楽しめる


 ベンチャーに関わって非常に良かったと思っているのは、周りの方々の生活がかわるんです。僕の感動体験をお知らせすると、クックパッドという会社に入るときに、周りの皆さんになんて言われたのかっていうとクックドゥにはいるのかって言われたんですよ。味の素さんが出されている調味料なんですが、クックドゥに入るのか? 味の素じゃないのか?って言われて、いやいやクックパッドというレシピ検索サイトがあって、当時はユーザー数100万人ぐらいで、インターネットサービスとしてはそこそこ大きかったのですが、今は4000万人ぐらいが使っていて、世界中にサービスを提供しているという会社になっています。

 クックパッドに営業に行ったときに、佐野さんと打ち合わせをして営業の資料で説明していたら2分ぐらいして

「うんうんわかったと、今給料いくらもらっているんだ」って聞かれて
「月12万ぐらいですかね、インターンなんで」って言ったら
「うちは15万だすからウチにこい」って言われてですね。

 それがハイアリングで、御社は何をしている会社なんですか?って聞きながら、佐野さんも社の中にいる方もすごいエキサイティングな方だったので、ジョインすることにして、それから2年後会社は上場して、すごく大きな会社になっていくんですが、そういうワクワクする体験がベンチャーにはあった。

 もう1つクラウドソーシングランサーズという会社なのですが、3人目でジョインさせていただいて、もともと2011年3月11日、南極いたんですね。ちょうどバックパッカー旅行をしていて、船の中で地震のニュースを聞いて、地震なんて関東に住んでいればよくあるし、なんだろうなって思いながら、アルゼンチンの港についたのが3月18日で、テレビとかYahoo!をみたらヤバいことになっているんです。

 そのときに考えたのが、場所とか時間とかにこだわらずに、働く環境ってつくれないのかなと、働き方ってどんどん変わっている、変化の中において、なにか変えられないだろうかと。エンジニアでもなくデザインナーでもなく、ビジネスマンだったので、自分で起業しようかなっていうマインドだったんですが、2人の兄弟がやっていたランサーズを見つけたときに、3人目でジョインさせていただいて、約2年半、ご一緒させていただきました。今は100人を超えるような会社になっています。

 クラウドソーシングというキーワードで上場する会社も出てきて、100万人が利用する規模になっている。こういう変化。最初は誰も価値がないと思っています。そんなこと実現するのか? そんなこと起こるのかって皆が思っている。でも必ず起こります。昨日までの常識と明日からの常識が違います。そういう意味で世の中の変化をすごく楽しめるとうのがスタートアップなんです。


スタートアップの作法



 やり方はあります。ぜひ、このプロセスでやってみてください。特に尊敬できるメンターってのはとても大事で、スタートアップは、直接話を聞いてみないとわからないことが多い。自分でできそうだとか、自分でもできそうなところを探すっていうそこを始める。自分の過去のキャリアもそうですが、自分の情熱をかけられるテーマってなかなか見つけづらかったりするので、実際は自分が起業家にならなくてもいい、僕もそうなんですが、すごい情熱をもっている経営者ってのは、すごいたくさんいて、彼らと一緒に夢を実現するっていうのもすごい重要だと思います。起業家はすごいフィーチャーされるんですけど、その周りのチームもすごい大事。こういうことをやってみようというタイミングで仲間を集めるタイミングで、経営者になるだけでなく、その仲間になるのも選択肢としてあっていいと思います。
 
 スタートアップ3つの格言なんですが、「成長が全てを癒やす」結構究極で、なかなか伸びないと辛い。苦しんで苦しんで苦しんで扉がパカっと開くときがある。課題と向き合い続け、この壁を乗り越えるのか、下をくぐるのか、壊すのか。必ず抜け道は出ると思うので、頑張って成長の次の枠組みを探す。あと結構大事なのが、人と資本とビジネスモデル。採用の話もお金の話もすごく重要。ベンチャーキャピタルはその辺がすごく詳しかったりするので、エコシステムの知識のある先輩とか周りとか、そういう方々が増えることがベンチャーをスタートアップする上ですごく大事。

 あと「質より量で解決する」とあるのですが、行動するしか答えは見いだせない。兎にも角にも聞いてみる。お客さんを探すだとか、スマホでいろいろ探してみることもそうですが、行動で結果を導き出しましょう。基本的に何か始めたいと思ったなら、しっかりと準備はしてください。

 周りの人にどんどん聞いてください。周りに聞けば聞くほど、じゃあこういう人がいるだとか、こういうやり方があるだとか。いろんな人から情報をもらうことができる。準備をしっかりしましょう。そしてこのHR、PR、IR、これはちょうどRだから綺麗にまとめていますが、採用してみたり、情報発信をしてみたり、お金関係をちゃんと整えておく、きょうまさに出会う人たち、色んな方々とつながる、いろんなものに結びつく。その関係の中から、新しいビジネスが始まったりします。ビジネスの視点として、複雑なものを簡単にする。これは絶対にニーズがある。高いモノを安くする。あとは時間の短縮、料理するときに食材買って、あれしてこれして時間がかかるんで、食材を切ってセットにして届けるとか、色んな方法がおもいつくので、ちょっとあったらいいな、便利だなと思うモノ、そういう気づきを毎日を意識して、やってみてほしい。

(次回は1月6日公開予定)

★LEAP DAYスペシャルゲスト〈1〉 澤山陽平さん「ローカルからグローバルへ:地方におけるスタートアップの育て方」
 ★LEAP DAYスペシャルゲスト〈2〉 前田ヒロさん「世界から見える日本の未来に必要なもの」
★LEAP DAYスペシャルゲスト〈3〉 麻生要一さん『新規事業を生み続ける「仕組み」と「仕掛け」 』
★LEAP DAYスペシャルゲスト(4)アンティ・ソニンネンさん「SLUSHが目指す世界」
★LEAP DAYスペシャルゲスト(5) 澤円さん「テクノロジーが創る未来社会」
★LEAP DAYスペシャルゲスト(6)吉田大さん「シリコンバレーの弁護士が語る 沖縄とアイデンティティー」


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