佐久本宝 沖縄見詰め 演じたい 映画「怒り」で好演 役者に本格挑戦へ

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現代版組踊「肝高の阿麻和利」の阿麻和利役で存在感を放つ佐久本宝(18)=うるま市。昨年9月公開の「怒り」(李相日監督)で映画初出演を果たし、好演している。「普通の高校生ではあり得ない経験をさせてもらった」と振り返り、新たな目標を見定める。

「怒り」は未解決の殺人事件を軸に、米軍基地問題など重いテーマを絡めた人間ドラマだ。渡辺謙や松山ケンイチ、森山未來、広瀬すず、宮崎あおい、妻夫木聡ら豪華キャスト陣の中で、佐久本は外国人にレイプされた女子高生の小宮山泉(広瀬)に恋心を寄せる知念辰也を演じた。

「不安と期待でいっぱいだった」と振り返る佐久本。自分がいていいのかと悩むこともあったといい「沖縄の人間として自分にしかできない演技をやろう」と自らに言い聞かせた。

ワンシーンの撮影に3日間もかかり「早く帰りたい」と思うこともあったが、共演者の支えで撮影を乗り切った。「すずさんや森山さんがいつも気に掛けてくれたので自信が持てた。心強く演じることができた」

撮影期間中、監督の家に寝泊まりした。「沖縄のこと、学校のことを語り合った。笑いながら『彼女いるのか』と聞いてくるお父さんのような存在になった」と振り返る。撮影を通じて、連帯感が生まれた。「みんなで映画を作り上げた。『もっとみんなといたい』と惜しみながら撮影を終えた」と笑顔を浮かべた。

映画出演を通じて、沖縄と向き合う姿勢が変わったという。

「いつも通る場所や島の風、海など、当たり前の風景がいつもとは違って見えるようになった」と佐久本は語る。生まれ育った沖縄の風土がよりくっきりと自身に迫ってくるようになった。

昨年の米軍属女性暴行殺人事件に大きな衝撃を受けた。「いろんな感情が沸き起こった。監督に相談したら『たくさん考え、勉強して、これが一番だと思った時に行動に移せ』と言ってくれた。自分にできる範囲で行動していきたい」と語る。

高校卒業後、本作をきっかけに役者の道へ進む。「これからも沖縄に関わりながら舞台や映画などたくさん経験を積んでいきたい」と決意を新たにする。目標は県出身ベテラン俳優の津嘉山正種。「いつか、あこがれの津嘉山さんと共演できたらうれしい」と表情が緩んだ。

今年3月には最後の「肝高の阿麻和利」に出演する。「いつも通りの演技をする。お客さんが喜んでもらえたらうれしいし、後輩たちにつなげるような演技をしたい」と意気込む。

りりしさとたくましさが表情ににじむ。役者としての新たな挑戦が間もなく始まる。

(金城実倫)

 佐久本が出演する「肝高の阿麻和利 卒業公演」は3月4・5の両日、うるま市民芸術劇場響(ひびき)ホールである。4日は午後1時、同6時開演。5日は正午、午後5時開演。問い合わせはあまわり浪漫の会(電話)098(978)0608。

 さくもと・たから 1998年生まれ。うるま市出身の高校3年生。中学1年から「あまわり浪漫の会」に所属し現代版組踊「肝高の阿麻和利」に出演。2014年から「阿麻和利」役を務める。

(2017年1月6日 琉球新報掲載)

 



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