寒い日が続いていますね。みなさん、お変わりありませんか? 先日、浦添市の港川に行ってきました。そこで自治会長さんから、今年初の採れたての、緑がとっても鮮やかなアーサをいただきました! 私は、これをゆし豆腐に入れて食べるのが大好き。シンプルなアーサ汁やてんぷらも、美味しいですよね。
でもアーサって、摘み取って食べる前に、葉にくっついた砂をきれいに洗うのがとっても大変。毎年アーサがたくさん茂ると、ついつい調子に乗って摘みすぎてしまい、小さな砂を一粒のこらず取り除くのに夜遅くまでかかってしまいます。これを一度経験すると、乾燥アーサのありがたさがよくわかる。
今回いただいたアーサは、潮が引く前に自治会長さんが冷たい海に入り、波に洗われるアーサを丁寧に摘み取って、さらに流水で洗ってある、とっても手間のかかったありがたいアーサでした。う~ん、食べるのがもったいない。
それにしても、まだまだ冷たい海の中ですが、生き物達は春に向けて静かに動きだしているようですね。
みなさんは、アーサ摘みをしたことがありますか? 沖縄では、早春の海の風物詩として、岩場にしゃがんで海藻を摘む姿が新聞やニュースでとりあげられます。
実はアーサは、沖縄での呼び名。和名はヒトエグサと言います。ちょっと専門的になりますが、あの薄い葉っぱは細胞のシートが1枚、つまり細胞が「一重」でできているのでこの名前がつけられました。向こうが透けて見えるほど薄い葉は、手触りがなめらかで柔らか。だから口当たりも優しいんです。
ちなみに、アーサがたくさん茂ると、そこだけ少し濃い緑色に見えます。今度アーサ採りに行ったら、広い岩場を眺めて見てください。明るい緑の海藻が絨毯のように広がる中で、岩の上の方が濃い緑になってる所があるはず。それが目指すアーサです。慣れてくると、遠くからでも見分けられるようになりますよ。
アーサ摘みの経験がある方は、アーサに似た別の海藻が、アーサと一緒に生えているのはよくご存知でしょう。緑の絨毯を作るもう1つの種類がアナアオサです。浅瀬にたくさん生えていて、色はちょっと薄くて明るい黄緑色。手触りはビニールみたいに硬くてゴワゴワしているので、初めての人にもすぐにわかります。沖縄では、他にも何種類かのアーサの仲間が混ざって生えています。
毎年早春になると生えてくる美味しいアーサ。これからも、海の自然を守りながらみんなで楽しみたい。
そこで、今年行われるおきなわサンゴ礁ウイーク2017のイベントの1つとして、2月26日、港川のカーミージーの海の未来図をみんなで考えるワークショップを行うことにしました。場所は、県立博物館・美術館の県民アトリエで、13時~16時。興味のある方はぜひ参加して、これからの海をこんなふうにしたいな~なんて夢を教えてくださいね。
さて今夜は、暖かいゆし豆腐に、旬のアーサをたっぷり入れていただこうかな。
鹿谷法一(しかたに自然案内)
しかたに・のりかず 琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島生まれ。海に憧れて沖縄に来て、もう30年以上。専門は甲殻類。生物の形と機能の関係に興味がある。趣味は本とパソコンとバイクいじり。植物を育てるのも好き。