譲れないもの ぬちぐすいレシピ蝶〈2〉

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 フローリストのひがあいさんが、お花の仕事を20年続けて出会った人や花、家族への愛情をつづります。
 仕事や子育て、夢に向かって奮闘するすべての女性に向けて、応援メッセージを寄せます。

 譲れないもの。それは“水揚げ”という作業。農家さんからの愛情をそのまま引き継ぎ、大地から切り取られたお花たちに、再度息吹を与える作業。


花の茎をたたく作業。たたいて茎に衝撃を与えることで、一気に水を吸い上げます

 「自分が飲めるぐらいお水はきれいにしておきなさい、お花はあなたと同じ生き物です」「お花は動けず、声が出ない分、最初の水揚げが命。ベストな環境を作ってあげなさい」

 そう言う先生がいて、その教えをいまだに守っています。水揚げの職人になりたいという思いで。

 同じ稼業でも、入り口や目指す方向性は人それぞれ。うちの仕事内容は、相変わらずアナログです。

 基本的に水揚げは、薬などを使用せず、それぞれの花たちに合わせた「切る」「焼く」「たたく」「煮る」などを行います。その後、たっぷりの水に花を「寝かせ」、花の種類によって寝かせる時間や水の量を調整していきます。そうすることで、花の習性を知り、顔を見て体調が分かるぐらい友達になります。


和洋南国の花、実物、葉物など組み合わせは無限に

 次に配置。色彩感覚や花同士、葉や枝物、器との相性を探っていきます。この二つを追求し続けることが大切。私は、デザインや技術は後から付いてくると思っています。花屋で働かなくても、本を開けばあらゆる工程が載っているけれど、一番大切なものは、結局花たちからしか学べない。

 寒い時でも、忙しく疲れ果てた時でも、水揚げや配置に時間を費やして五感を磨いています。そして、水揚げの後の花たちを、くるんでいた新聞紙から解放し逢(あ)える瞬間は、20年以上たった今も新鮮に感じられて大好きなんです。

 ひが・あい 1973年生まれ。読谷村出身。フローリスト。北谷町港で97年に開店した花屋Delphiに続き、2015年にブーケオンラインショップflower nicoをオープン。1男1女の母。

(2017年2月9日 琉球新報掲載)



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