春のおでかけ 日本で一番早く咲く桜を探しに行こう しかたにさんちの自然暮らし(17)


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 2月も半ばを過ぎたある日。柔らかな日差しに、うっすらと白く霞んだ青い空の色。夏ほどではないけれど、先週よりもぐっと鮮やかになりました。薄っすらたなびく雲を眺めていると、暖かな東風がふわりと通り過ぎていきます。

 海や山に行かなくても、毎日自然に目を向けていると、小さな変化を感じとれるようになります。

海の中の桜色、見つけました。

 やさしい日差しを見上げていたら、青い空に映えるピンクの桜の花を見に行きたくなりました。せっかくのいいお天気なので、散歩がてら、近所の桜の花を探して歩きました。

青空に映えるピンクの花びら。

 沖縄で普通に見られる桜はヒカンザクラ(緋寒桜)。この桜、名前の通り寒くなると咲く濃いピンクの花が特徴。暖かい沖縄では、冷え込みが早い北部から南に向かって桜前線が南下して行きます。

 車を使わずゆっくり歩いてみると、花が咲いたことで、今まで気づかなかった桜の木を通りのあちこちに見つけることができました。

 桜は、それぞれの木によって微妙に色の濃さが違います。遠くから、満開の桜の佇まいを眺めるのもいいですが、桜の木の下に入って花を見上げると、日の光を浴びた花びらはいっそう鮮やか。

 さらに花に近づいてよく見ると、一つの枝でも花びらの色に薄い濃いがあり、おまけにおしべの色も赤や黄や白などがあって、花の色合いに深みを加えています。

 花の蜜を求めて、ミツバチも忙しそうに飛んでいます。ピンクの桜から採れたピンクのハチミツがあったら、食べてみたいですね。桜餅の味がしたりして…。

 暖かい沖縄では一年中昆虫が活動しています。でも、雪が降る内地では、二十四節気の啓蟄を過ぎるとやっと春が訪れます。啓蟄というのは、冬ごもりしていた虫が活動を始める頃という意味。今年の啓蟄は3月5日です。

サンゴ礁ウイーク2017

 この3月5日、沖縄では語呂合わせでサンゴの日です。そこで、このサンゴの日を挟んだ2月25日~3月12日までの約2週間、「サンゴ礁ウイーク2017」として県内各地でイベントが開催されます。

 野外での観察会や室内ワークショップ、講演会など、サンゴのことや海の自然を楽しく学べるチャンスです。ほとんどが無料で、親子で参加できるものもたくさんあります。詳しい情報を載せたポスターは、桜のようなピンクのロゴが目印。もちろん、私たちもこれに参加しています!

 今週末の26日には、県立博物館・美術館の県民アトリエで「カーミージーの夢づくり」ワークショップを行います。浦添に残された海の未来図をみんなで考え、これからの海の利用のルール作りに役立てたいと思っています。また、3月5日には漫湖水鳥・湿地センターにて、リアルな手作りのぬいぐるみで海の自然を紹介する「あーまんシアター」と、サンゴの暮らしを遊びながら学ぶ「サンゴすごろく」を行います。

 これから暖かくなり、春の浜下りや日本一早い海開きを迎える前に、みんなでサンゴの海のことを一緒に考えてみませんか。

 

鹿谷法一(しかたに自然案内)

 しかたに・のりかず 琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島生まれ。海に憧れて沖縄に来て、もう30年以上。専門は甲殻類。生物の形と機能の関係に興味がある。趣味は本とパソコンとバイクいじり。植物を育てるのも好き。