泡盛女子 気軽に一杯 広がるカクテル

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 「強い、臭い、おじさんのお酒」として若者や女性に敬遠されがちな泡盛。そのイメージを拭い去るため、THE泡盛カクテル推進協議会は昨年11月に沖縄を代表する新カクテル「ゴーヤー・カチャーシー」を発表した。泡盛をベースにゴーヤーとライムを合わせてトニックウオーターで割る新カクテルは、泡盛初心者でも気軽に飲めるおいしい仕上がりとなった。今、ちまたで泡盛カクテルがにわかに人気を呼んでいる。

女子力の高いお酒


「AWAMORI女子部」のイベントで、コーラやレモンティー、炭酸水などを泡盛に注いで、自分好みのカクテルを作って楽しむ女性たち=2月18日、豊見城市与根のアザナ

 2月18日午後6時半、豊見城市与根にある情報通信会社アザナのイベントスペースに約30人の女性が集まっていた。

 「泡盛は糖質ゼロで低カロリー。血液がさらさらになる効果がワインの1.5倍もある。肌艶が良くなり、冷え性の改善にもグッドです」。

 「AWAMORI女子部」の部長を務める元泡盛の女王の国吉真理さん(30)は、参加者に“女子力の高いお酒”として泡盛を薦めた。


オリジナルの泡盛カクテル作りを楽しむ参加者ら=豊見城市与根の「アザナ」

 元泡盛の女王や泡盛マイスターで結成されたAWAMORI女子部は「AWAMORIカクテル1WEEK(1週間)」と題して、泡盛の女性向け飲み方レッスンを開いた。

 この場で、泡盛のオレンジジュース割りや乳酸飲料・炭酸割りなど女性が家でも気軽に楽しめる飲み方を提案した。国吉さんは「泡盛を若い女性向けのお酒にイメージチェンジしたい」と狙いを話す。

 イベントでは泡盛の古酒や一般酒、リキュールなどを十数本そろえて、実際にブラックコーヒー割りや練乳、ライムを加えるなどのカクテル作りにも挑戦した。

 会社員の我喜屋希さん(28)は「初めて泡盛カクテルを作ったが、とてもおいしい。カクテルなら泡盛が苦手な人にもお薦めできる」と笑顔で話した。

カクテル発祥の店


泡盛を使用したカクテル=那覇市久茂地の「Bar DicK」

 那覇市牧志の一銀通りにある「Bar Dick」。オープンから28年になる老舗の看板には「泡盛カクテル発祥の店」と書かれている。2月23日午後9時、ドアを開けて店に入ると、カウンター席に2組のビジネスマンと観光客が座り、ゴーヤー・カチャーシーを飲んでいた。

 1988年のオープン当初、「強い、臭い、安い酒」として敬遠された泡盛を棚に飾るバーはなかった。オーナーの新垣勝信さんは「地元・沖縄の泡盛をみんなに飲んでもらいたい」という一心で、おしゃれな雰囲気のある泡盛カクテルを考案した。その後、泡盛マイスター協会を立ち上げ、コンテストを開くなどして、徐々に泡盛カクテルは県内の飲食店に広まっていった。

 泡盛にパインやレモンジュースを注いだ「サザンアイランドオキナワ」は、南国・沖縄の海をほうふつさせる透明感ある青色で、トロピカルドリンクのようなフルーティーな味わいだ。ジンにライムを加えてシェイクする「ギムレット」をジンの代わりに泡盛ベースで提供すると、相性の良さに思わず「本当にジンが入ってないの?」と訪ねる客もいる。

 観光客などの団体客が入れば、1日数十杯の泡盛カクテルの注文が入る。新垣さんは「泡盛の古酒、一般酒はストレートや水割りでも十分においしいが、世界中で飲まれるためには多様な飲み方の提案が大事だ。カクテルなら泡盛が初めての人でもおいしく飲める」と話した。

 取材を終えて帰るころ、若い地元客が県外の知人を連れて店に入ってきた。「取りあえずゴーヤーカクテル2杯下さい」。少々自慢気にその客は注文した。泡盛カクテルの広がりを実感する夜となった。

文・宮城征彦
写真・諸見里真利、新里圭蔵



嗜好に合わせた品を 大城勤さん(THE泡盛カクテル推進協会長)

 「四大スピリッツ」のジンやウオツカ、ラム、テキーラは、世界中のバーやホテルで飲まれている。同じ蒸留酒でも焼酎や泡盛は店に置かれていない。その違いは何か。

 ジンにはジントニック、ウオツカはマティーニなど、世界中で飲まれるハードリカー(蒸留酒)には代表するカクテルがある。だが、焼酎や泡盛にはない。酒の専門家であるバーテンダーが認識しない酒を客に提供することはない。カクテルを提案することで、バーテンダーの仕事を作り、味方にすることで泡盛を置いてもらえるようになる。

 忠孝酒造が昨年11月、アジア最大級のカクテルコンテストを主催するシンガポールバーテンダー&ソムリエ協会とスポンサーシップ契約を締結したのは、世界各地から集まる優秀なバーテンダーに泡盛の魅力を発信するためだ。

 世界のハードリカー市場に挑むためにはカクテルが必要だ。飲み方の多様化が進む中、泡盛も市場や消費者の嗜好(しこう)にマッチした商品を提供することが大事だ。

 



(2017年3月7日 琉球新報掲載)



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