沖縄素材でチーズ作り イギリス出身のデイビスさん

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 ウコンやフーチバー、島らっきょうなど、沖縄の素材を生かしたチーズが次々にテーブルに並べられる。南城市大里の牧場で取れた牛乳の香りが染み込んだチーズ。イギリス人のジョン・デイビスさん(69)は毎日、妻の作る料理に合うチーズを選び、一緒に食べる。ジョンさんがこれまでに作ったチーズは50種類以上。2007年59歳の時、沖縄への移住をきっかけにチーズ作りを始めた。


「ザ・チーズ・ガイ」と書かれた、チーズ型の帽子をかぶったジョン・デイビスさん(右)。「いつも笑わせてくれる」と笑顔の妻デイビス貞子さん=南城市大里

 「当時、沖縄には新鮮なチーズが出回っていなかった。なければ自分で作ればいい」。試作第1号のチーズが大成功。一気にチーズ作りにはまり、沖縄ならではの素材を集めてはオリジナルチーズを作り、妻のデイビス貞子さん(61)と友人に振る舞った。


チーズを切るのは慣れているが「新しいチーズがおいしくできているか、一口目は毎回、少し緊張するよ」

 ジョンさんは1948年、イギリスのケンブリッジ近くの田舎町で生まれた。幼い頃から、食卓にチーズのある風景が当たり前だった。27歳まで5年ほど小学校教員を務めた後「都会に住んでみたい」と思い立ち、何となく選んだ東京へ居を移した。英会話教室や大学で約15年、英語教師を続けた。その後北海道札幌市で英会話教室を開き、再び15年ほど暮らした。ジョンさんは59歳になっていた。

 「人生の最後は、暖かい場所でのんびり過ごしたい」。年を重ねた後で思うのは、生まれ故郷のようなゆったりとした時間の流れる場所での生活だった。ジョンさんは北海道で出会った妻貞子さんと共に、沖縄へ渡った。

 「沖縄にはかつての人間らしい暮らし方が残っている。出会った人と会話を楽しみ、育てた物で食事を作る」。すぐに友人もでき、陽気な気候の中で心穏やかに貞子さんと暮らした。しかしジョンさんにとっては大きな問題があった。「チーズがない」。当時の沖縄では米軍基地内でもあまり手に入らなかったという。

 もともと料理好きのジョンさん。インターネットでチーズの作り方を調べ、試しに作ってみた。チーズは発酵して固めるまでに時間がかかる。試食までに数日から、長くて数カ月かかる。初めてのチーズは2日待った。妻の貞子さんと、恐る恐るスプーン一さじを口に入れた。大成功だった。そこからジョンさんはフーチバーやウコンなど、沖縄の素材を調達しては次々と新作を作り出していった。


ウコンやフーチバー、ミカンなどを使ったチーズ。彩りも鮮やか

実はジョンさん、趣味はチーズ作りだけにとどまらない。オリジナルのジャムやチャツネも作っている

 友人を中心に評判を呼び、今では県内にあるいくつかのホテルや、南城市大里に小さな店舗を構えるまでに至った。「面白そうだからやってみよう」と、59歳で始めたチーズ作り。「今では妻や友人以外にも喜んでもらえて、さらに幸せを感じる」。トレードマークの白ひげを揺らして笑った。

文・嘉数陽
写真・大城直也

(2017年3月28日 琉球新報掲載)



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