じか火料理で絆結び 自宅に本格かまどの荒内紀子さん

  • 南部
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 深い緑色の木々が印象的な山に、太陽の光を浴びてぐんぐん伸びる道ばたの植物、背の低い平屋の家々。自然に囲まれながら、住民の静かな生活が営まれている南城市大里古堅で、荒内紀子さん(37)は、築50年のコンクリート建て一軒家に暮らす。地域と自然を大切にする荒内さん宅を中心に、人の輪が広がっている。


手作りの窯を隣に笑顔を見せる勝連盛輝さん(左)と荒内紀子さん=13日午後、南城市大里

 こだわりは、薪に火をおこすじか火のある生活。軒下に、耐火レンガとクチャで作ったお手製の簡易石窯と、クチャで覆われたドーム型の本格的なかまど「アースオーブンかまど」がある。かまど作りを趣味にする友人を県外から招き、古堅で農業を営む勝連盛輝さん(67)らと4日かけて作り上げた。


手作り窯で焼いたピザにバジルなどをトッピング

 近所のガラボス優子さん(44)=兵庫県出身=や、荒内さんと一緒に雑貨などを販売する金城晴香さん(37)=南城市=らが軒下に集まり、石窯で焼いたピザを味わいながらゆんたくを楽しむことも。ピザ生地に畑で取れたキンレンカやバジルなどの植物を散らすと、世界で一つの古堅の味になる。ガラボスさんが持ち寄る、ヨモギやカモミールなどの野草を発酵させたジュースで、のどをうるおす。

 東日本大震災をきっかけに、約3年前に東京都から移住してきた荒内さん。「人との関わりがある場所で育ってほしい」という5歳の娘への思いと、「沖縄の古民家に住みたい」という荒内さん自身の願いを知った勝連さんが、古堅の空き家を紹介。「実家は岐阜県で、山や田んぼがあった。(古堅の)山あいの雰囲気が落ち着く」と移住の決断を振り返る。

 人口が減り空き家が増えてきた。集落の過疎化に頭を悩ませていた勝連さんら地元の人にとっても喜ばしいことだったという。


勝連盛輝さんが栽培する新鮮な野菜

手作りの窯でチキンの丸焼きなども調理

 子どもの頃、祖父の家でじか火のお風呂に入り、火であぶったリンゴを食べた。4年前、鹿児島県・屋久島を旅行中にじか火生活を営む住民と出会い、じか火の暮らしを夢見ていた。荒内さんは「じか火には電気にはない力がある」とほほ笑む。

 家庭菜園でイチゴやシソを育て、豊年祭の練習に参加するなど、自然を大切にしつつ地域に積極的に関わる心掛けも忘れない。


古民家の軒下で勝連盛輝さんら友人との語らいを楽しみ、ゆったりくつろぐ荒内紀子さん(左から2人目)ら

 5月6日正午から、南城市文化センター・シュガーホールで開かれるイベント「アースデイふぇーかじ」で、荒内さんらは地球に優しい暮らし方の良さを伝える考えだ。

 「仲間を増やし、過疎化といわれるこの町を活気づけたい」とおだやかな表情で語った。

文・半嶺わかな
写真・大城直也

(2017年4月25日 琉球新報掲載)



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