歩いて見つけた 石獅子探訪記(その16) ~スタジオde-Jinの印象深い石獅子たち~

  • 南部
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 私たちは約6年前に石獅子を探し始めました。

 はじめは、なんとなく面白いな~という感じで探し始め、まるでゲーム感覚でした。

 夫婦そろって大学で彫刻を専門としていたので、気になる箇所といえば形や石の質などで、敬する気持ちや安置の意味や集落の人がどのような思いで保存してきたなどは二の次でした。

 しかし、どんどん石獅子を見る数が増えていくうちに彫刻と同じだと思うようになりました。人の思いの上に形があるということです。それは昔も今も変わらないと思います。

 それからは自然と石獅子を拝み、声をかけてから、写真や寸法などを測るようになりました。

 今回は中でも、その思いがガンガンと伝わってくる、私たちが石獅子の仕事をするきっかけとなった石獅子と、とてつもないオーラをまとっている石獅子を紹介したいと思います。


那覇市上間のカンクウカンクウ


【那覇市上間 カンクウカンクウ】石獅子の顔が向いている方向:南 発見率90% 危険率0% 国道507号線から上間集落へ上り、上間中央公園東側道沿い右側 看板が出ているのですぐわかります。

 石獅子を最初に見たのは友人に教えてもらった那覇市上間の高台にあるカンクウカンクウでした。

 なんと沖縄にも石彫があるじゃないか!それまでどうしても建築としての石の使い方ばかりを気にしていたので衝撃的でした。

 大きなチブル(頭)に強烈な表情!この石獅子を見て直感的に、琉球石灰岩で仕事をしていけるかも!?自分の好きな沖縄で、ずっと勉強してきた石彫で暮らしたい!と、なにやら私たちの生きる道を開いてくれたようなのです。

 その後、じゃんじゃんと家族で石獅子を探して、色んな石獅子を見て集落の人のお話を聞いたりして琉球石灰岩の小物やオリジナルの石獅子を制作しています。

 このカンクウカンクウは、設置年代や製作者や名前由来などは不明です。部落の守護とヒーチゲーシ(悪風返し)のために八重瀬獄に向けられ火よけとして安置されたと言われていましたが、高齢の方によると火よけの伝承はなくフーチ(風気)返す本尊といわれていることがわかったそうです。本尊と言われるだけあり、すさまじい眼力のある石獅子です。

 ぜひ、石獅子の旅に出掛けることがありましたら、早いうちに見に行くのがおススメです!


八重瀬町宜次の石獅子


 宜次集落の北東のこんもりとした竹やぶの高台に位置しています。場所がわからなかったので集落の人にお話をうかがってから行きました。

 しかし、本当にここにあるのかというぐらいやぶの中で、沈む落ち葉の上を200mほど登りました。そうするときれいに草刈りがされ空から光が差している開けた場所にでました。

 そこの真ん中に石獅子がありました。足がすくみました。この石獅子の聖域と言わんばかりの空間で、入ってよいものかどうなのか……。「失礼します失礼します」と何度も言いながら恐る恐る近づきました。

 顔の表情を見て背筋が凍りました。口角が上がり“ヒッヒッヒ”と声が漏れてきそうなぐらいニンマリと笑っているのです。このときは一人で来ていて、しばしこの圧巻な雰囲気にぼうぜんとしながら動けなくなってしまいました。

 立ちつくしていると足、顔、手が膨大な蚊に刺されていることに気づき、お礼をして帰りました。

 昔からここにこの石があり、その場で制作されたのか、下から運ばれてきたのか不明ですが、石獅子を拝むまでの道がきれいに刈られており非常に大事にされていると思いました。

 集落の人と石獅子の関係が深くつながっているような気がして、集落の人でないと知らないことがたくさんあるような疎外感を抱いたのは初めてでした。



【八重瀬町宜次】

石獅子の顔が向いている方向:西
発見率5%
危険率40%

宜次公民館を100m北へ左側の高台にある。
集落の中から入っていくので、少し難しいルートです。
集落の人に聞いてみてくださいね。蚊にかまれます。

 





(2017年4月7日  週刊かふう掲載)




 各地に鎮座する村落獅子を訪ね歩き、調査を続ける若山夫妻。石獅子をめぐるレポートを毎月お届けします。

※危険率とは:石獅子は眺めの良い高台にあることが多く、足を滑らせると大けがをする可能性があります。子ども連れの方は細心の注意をしてください!





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