鉄棒で心も体も軽く ストリートワークアウト

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 ビーチや公園に設置された鉄棒や平行棒、遊具を使って筋トレをするストリートワークアウト(SW)。自分の体重を利用して体を鍛える欧米で人気のトレーニング法だ。子どもから大人が参加し、運動不足解消から競技性の高いパフォーマンスの習得まで幅広い目的で取り組めるのも魅力の一つ。一年中屋外で運動できる沖縄は、SW先進地として熱い視線を集めている。

逆上がりで笑顔に


SWJのメンバーと鉄棒にぶら下がる子どもたち。準備体操や鉄棒の握り方も教わっていた=4月6日、沖縄市役所

 4月上旬の昼休み。ストリートワークアウトジャパン(SWJ)主催の「逆上がり教室」が沖縄市役所ロビーで開かれた。

 市役所を訪れた市民や職員は、SWJメンバーから逆上がりのこつや鉄棒を使った運動方法を学んだ後、実際に逆上がりに挑戦。

 初めて逆上がりにチャレンジする子どもから、「20年ぶり」「体が重くなってる」などと笑い合う大人まで、約50人が鉄棒の感触を楽しんでいた。

 鉄棒にぶら下がって両足を上げる運動に挑戦した石原優子さん(74)は「体幹を鍛える効果がありそう。社交ダンスをしてるので続けてやっていきたい」と汗を拭った。



夢はマッスルビーチ


 逆上がり教室を企画したSWJ代表の仲宗根雄三さん(32)は、日本代表として初めてSW世界大会に出場した斯界の第一人者だ。SWの裾野を広げようと2016年に世界ストリートワークアウト連盟(WSWCF)の日本支部としてSWJを立ち上げた。世界に通用するアスリートの育成と啓発活動が活動の柱だ。


鉄棒を使ったパフォーマンスを披露するSWJ代表の仲宗根雄三さん=沖縄市役所

 仲宗根さんは「鉄棒は全身運動。体を鍛えるだけでなく、1日1分の運動で体をケアし、未病予防につながる」とその効果を説明する。公園の鉄棒を利用するので費用もかからない。見ず知らずの人とおしゃべりしたり仲良くなれたりすることも魅力だという。「鉄棒を中心にコミュニティーが広がる。仲間と共に運動することでモチベーションも上がる」

 11月には地元沖縄市で日本初のWSWCF公式のSW日本大会も開催予定だ。「夢はアメリカのマッスルビーチのような環境を沖縄につくること。心も体も強くなれる鉄棒の魅力を伝えたい」


バーファミリー


 気持ちいい潮風が頬をなでる夕暮れ。北谷町のアラハビーチでSW沖縄の交流会があった。SW沖縄のメンバーが鉄棒を使い運動する。鉄棒で地面と水平に体をキープしたり、平行棒をつかんで逆立ちしたり。立派な体格を誇る男性から家族連れまで顔ぶれはさまざま。散歩の途中でふらりと鉄棒で遊ぶ親子もいる。


開放的な空間で鉄棒を楽しむSW沖縄のメンバーら。毎回交流会に参加する人もいれば、偶然立ち寄った人も。意外な出会いも魅力だ=4月16日、北谷町のアラハビーチ

「毎回一期一会。レベルの高い人もまだまだの人も楽しめる」と代表の仲宗根典秀さん。SWJ代表の仲宗根雄三さんの弟だ。愛好家同士で技を教え合うだけでなく、子どもに安全な鉄棒の遊び方も伝授する。

 月2回の交流会にほぼ毎回親子で参加するという比嘉虹奈さん(8)=北中城村=は、空中逆上がりを十数回披露。「運動の中で一番鉄棒が好き」と笑顔を見せた。

 海外では、鉄棒から広がるコミュニティーを「バーファミリー」と呼ぶ。「鉄棒があるだけで仲間にも家族にもなれる」と雄三さん。典秀さんは「公園で楽しく運動できることを広めたい」と力を込めた。

文・熊谷樹
写真・諸見里真利

 



人とつながる楽しさ
山口清明さん(NPO法人はびりす代表)



 人間は重力のある中、二足歩行で生活しているため体に大きな負担をかけている。肩こりや腰痛はその影響だ。また老人や身体に障がいのある人の中には重力に負けてうまく体を動かせない人もいる。鉄棒を使った運動はその3次元的な動きで体の偏りや不調を正し、その時点での体調や能力に応じた一番いいバランスにリセットする効果がある。

 ストリートという開かれた舞台でのワークアウトはプロセスそのものが社会参加。人と人がつながることでコミュニティーが生まれ、その中で意思疎通ができるようになれば貧困や孤独など社会問題にも効果的だろう。SWを通して自己実現を果たしたり、社会的環境が豊かになることも期待できる。

 先進国の不健康の多くは生活習慣が原因。運動を習慣化することで予防は可能だがなかなか難しい。1人で筋トレするよりは公園で仲間と競い合い声を掛け合って運動する方が習慣化しやすい。そこがただのワークアウトではなく“ストリート”の魅力であり奥深さといえるだろう。



(2017年5月2日 琉球新報掲載)



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