生活を便利に、楽しく 沖縄発IoT(モノのインターネット)

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 あらゆるモノがインターネットにつながる「モノのインターネット(IoT)」が注目を集める中、沖縄発のIoT機器が生まれ始めている。犬の運動を管理するウェアラブル端末や、水耕栽培ができるセット-。難しそうなIoTを身近に感じさせる視点で開発された商品は、生活の利便性を高め、沖縄の新たな可能性を切り開くきっかけになるかもしれない。

愛犬の体調管理に


歩数計などペットの健康管理に使われるIoT製品(中央)。飼い主も安心だ=12日、那覇市内

 システム開発のレキサス(うるま市、比屋根隆社長)は、愛犬の健康管理ができるIoT機器「ハロペiz(アイズ)」を開発した。重さ9グラム、手のひらに軽く収まる本体に活動量計と温度計を組み込んだ。これを首輪に付けることで「寝ている」「走っている」といった愛犬の1日の運動量や、犬の周辺温度がアイフォーン上から観察できる。

 神奈川県で暮らす橋田敏季さん(41)、芳子さん(47)夫妻は3月末からジャーマンボクサー種のシナモンくん(7)にハロペizを装着している。敏季さんは「犬はしゃべれないので、日々の様子を細かく記録し、体調の変化に気付くことが大切だ」と意義を語る。

 暑さに弱い犬種で「温度計があるのもとても役に立つ」と話す。犬が家で留守番している間の行動が分かることも、意外な発見だった。芳子さんは「IT機器っぽくないおしゃれなデザインでアクセサリー感覚で着けられる。友だちからも驚かれる」「IoT機器らしくない」と魅力を語った。

 現在はハロペizとスマホアプリだけのやりとりだが、機能拡張も検討されている。犬種により大きさや成長速度はさまざまだ。愛犬の成長確認のため飼い主たちは同じ犬種の情報を求めるといい、アプリではそういった仕組みの提供も検討する。機器についているのは最小限のセンサーのみで、センサーから得た情報の解釈はアプリの更新で自在に拡張できるのもIoTの魅力だ。
 

家庭で野菜


IoT水耕栽培キット「やさい物語」を愛用する亀川智子さん(右)と娘の愛さんの家族=那覇市内

 携帯電話会社の沖縄セルラー電話(那覇市、湯淺英雄社長)は、家庭で簡単に野菜づくりができるIoT水耕栽培キット「やさい物語」を販売。同社が2013年から南城市玉城で運営している植物工場で得たノウハウを活用した。利用者はスマートフォンの専用アプリを通じて野菜の成長過程を画像で確認し、温度や水量が適正かなど、栽培環境を把握できる。

 4月から使っている亀川智子さん=那覇市=は「新鮮な野菜が食べられる。出張が多い仕事だが、カメラを通し出先からでも成長が確認できる」と魅力を語る。野菜が苦手な娘がいるが「やさい物語」で育てた野菜は成長過程を見ているからか、おいしそうに食べているという。「見た目がきれいなので、家のインテリアにもいい。今度はパクチーなど香草にも挑戦したい」と意欲的だ。

 開発に携わった沖縄セルラー電話の加賀武史課長は「施設園芸で付加価値の高い作物を中心に、技術が幅広く応用できる。輸送手段の問題から野菜が高くなりがちな離島地域でも役立てられるのではないか」と期待を寄せた。
 

文・知念征尚
写真・上原修



沖縄の可能性 高める 玉城史朗(琉球大教授)


名護城にある神社横の「恋ざくら」の前で記念撮影する参加者=1月28日

 IoTとはいろいろなモノがインターネットにつながることを指す。情報通信技術の発達により、モノに装着されたさまざまなセンサーから情報を取得し、それを頭脳となるコンピューターに伝送して解析し、フィードバックし、活用できるようになった。

 想像もできなかったものがネットとつながるようになり、運動量が少ない人に運動を促したり、観光客の行きたがるポイントを自動で案内したりといったことが人の手を介さずできるようになった。

 核となるセンサーは温度計や湿度計から活動量計まで市販の商品が多くあり、自社で新たに開発する必要性が低い。製造業が苦手だった沖縄でも知恵と工夫でいろんなIoT機器やサービスが生まれるため、情報産業の集積が進む沖縄の競争力が生かせる分野だ。

 農業分野で気温や二酸化炭素濃度、日照、土中水分量を測って、より良い生育環境をつくり出せる。マンゴーの生産量を増やすほか、収穫期間を延ばす研究をしている。実現できれば、沖縄発のIoTシステムとしてアジアにも輸出できると期待している。



(2017年5月16日 琉球新報掲載)



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