沖縄そばの魅力 探究 うまさ伝える呉屋博典さん

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 「小さい頃から一番好きな食べ物は沖縄そば。これはぶれない」と胸を張る呉屋博典さん(39)=沖縄市宮里=の生活は、沖縄そば無しでは語れない。週5日はそば屋に通い、家では極上の一杯を家族に振る舞う。戦前、麺作りに欠かせなかった木灰を、集めたまきを釜で焼いて作ったり、麺やスープ用に県内各地のさまざまな塩を試したりするこだわりぶりだ。


慣れた手付きで麺を作る呉屋博典さん。「強力粉や薄力粉の割合で全然硬さが変わるんですよ」=沖縄市胡屋の沖縄こどもの国

 呉屋さんの職場は沖縄こどもの国。その敷地内にある古民家「ふるさと園」内の木灰を作るための窯の前で話を聞いた。

 「昔は、そば屋が民家でも木灰を調達してたんです」「木灰を水につけて、上澄みのアルカリ性の灰汁(あく)を今のかん水のように使っていたんです」


麺の生地を切る

 うんちくは、まだまだ止まらない。「中国から伝わったという説が有力ですが、起源ははっきりしない。ロマンを感じますよね」「沖縄初のそば屋は明治35年(1902年)です。当時の新聞に出店広告が載ってるんですよ」。沖縄そばに関する論文や新聞記事などを読みあさってきた。

 灰汁と塩、水、小麦粉を独自の配合で混ぜた生地を伸ばす。それを重ねて切り、もんで沖縄そば特有のちぢれをつくる。この工程も全て手作業だ。スープや三枚肉などの具材も、いろいろな味付けを研究する。

 麺作りの道具は、店にあるような立派なそば切り包丁と麺台、のし棒。「これも自前です」とうれしそうに見せる。それもそのはず。家のテーブルにラップを引いて作っていた呉屋さんを見かねた妻・梢さん(39)から結婚後、初めての誕生日に「これで存分に作りなさい」とプレゼントされた自慢の道具たちだ。

 「小さい頃は、母ちゃんが3カ月に1回くらい家で作る沖縄そばがすごい楽しみだった」そう。社会人になった23歳からそば屋巡りを始め、信条は「この世にまずいすば屋はない」。ブログ「“すば”らしい日々」では、訪ねた約550軒に及ぶそば屋を紹介する。

 こどもの国では、日々子どもたちに科学の楽しさを伝えるという顔も持つ。子どもと一緒に沖縄そばを作りながら、成分の違いや調理の仕方がどうそばに影響するかを肌感覚で伝える。


薪を焼いて作った木灰。ざるでこすため、粒がとても細かく、さらさら

呉屋さんが麺を自作した一杯

 趣味と仕事をうまく融合させる。冊子やテレビでもそばの達人「ゴヤ親方」の名でそばの魅力を発信する。

 結婚記念日は「沖縄そばの日」の10月17日。自家用車のナンバーも「10-17」。極め付きは長女・妃子ちゃん(5)の誕生日が10月16日で、偶然にも「沖縄そばの日イブ」。

 沖縄そばを愛し、沖縄そばに愛された男は、今日も世界一の「そばじょーぐー」を目指し、歩みを続ける。


文・長嶺真輝
写真・諸見里真利

(2017年5月23日 琉球新報掲載)



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