アラハビーチは沖縄にあらず!? 外国人多く利用多岐に

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 どしゃぶりの雨が上がり、久しぶりに太陽が現れた梅雨の中休み。じめじめした暑さに壊れたクーラーを直すか否か、真剣に悩んでいた復帰っ子の探偵・うるまタクオの元に一本の電話が。

「北谷のアラハビーチが沖縄っぽくないんです。何というか……外国っぽいんです」。

 受話器の向こうからは戸惑った女性の声。「沖縄っぽくないって、バーベキューできないってことか?」。最近特に日焼けを嫌がる妙齢の助手・カロリーナに留守を任せ、タクオは一路北谷を目指した。


まるで海外リゾート


 現場に到着したのは午後3時すぎ。白い砂浜がまぶしいビーチでは海水浴を楽しむ人々が。遊泳区域以外では砂浜に寝そべり日光浴をする人や、ビーチサッカー、ビーチバレーを楽しむ人も。フォトウエディング撮影でポーズをとるカップルもいる。沖では水上バイクが白波を立てて海上を滑る。

 ビーチに隣接する安良波公園は遊具で遊ぶ親子連れでにぎわう。鉄棒で筋トレに励む男性陣に大きなシャボン玉を作って笑い合う親子も。バスケットコートでは若者たちが大音量で音楽を鳴らしながら爽やかな汗を流しボールを追う。

 遊歩道ではのんびり散歩するカップルやジョギングを楽しむ人も。北谷という土地柄か外国人も多く国際色豊かな雰囲気が漂う。行ったことはないが、旅行雑誌で見た海外リゾート地のようだ。


潮風を受けながらバスケットを楽しむ人々。小学生から大人まで利用者は幅広い

 「自分の知っているビーチではない。ここは本当に沖縄か?」。ふらふらと遊歩道を歩くタクオの目に入ったのはバーベキューを楽しむ一団。「良かった。やっぱり沖縄だ」。


異文化交流の場


ダブルダッチの普及を目指すオキナワ・ダブルダッチ・クルーの交流会。体験して、その面白さに毎週通う子どもも

 安心したタクオは本格的に調査を開始した。

 子どもたちに2本の縄を使った縄跳び・ダブルダッチを教えていた喜屋武央さん(33)は、1年ほど前から仲間と共に週末アラハビーチで交流会を開いているという。「ダブルダッチはアメリカ発祥で欧米ではよく知られてる。だから外国人が多いアラハビーチを拠点にした。実際、通り掛かりにやっていく人もいますよ」と話す。夕日に染まる海を眺めながらおしゃべりするのも楽しみの一つだそうだ。


遊具などを使い筋トレに励むストリートワークアウト愛好家たち=21日、北谷町のアラハビーチ

 公園に設置された鉄棒で筋トレするストリートワークアウトに励む一団。若者に交じって体を動かすアンクル・ケンこと岩瀬謙一さん(79)は北中城村から毎週訪れているという。「若者との交流も楽しいし仲間も多い。外国人の方も多いからおしゃべりできるように英会話習い始めたよ」と爽やかな笑顔を見せた。

 バスケットコートで友達と遊んでいた北谷町立北玉小5年の上江洌有寿さん(11)は「遊具もあるしバスケもできる。年齢とか外国人とか関係なく遊べるのが楽しい」と魅力を語った。

 年齢も国籍も言葉の壁も越えて広がる輪に驚きを隠せないタクオ。船の形をした大型遊具に目を向けると、肌の色も言葉の違いも気にせず、子どもたちが歓声を上げて遊んでいる。「異文化交流の最前線だな」。タクオは目の前に広がる平和な光景をしばし眺めた。


新たな利用法も


犬の散歩姿もよく見られる。それぞれのスタイルで休みを満喫している=21日、北谷町のアラハビーチ

 アラハビーチのこの独特の雰囲気はいつごろ生まれたのだろうか。詳細を確認するためタクオは北谷町役場に向かった。

 「アラハビーチは2001年にオープンした人工ビーチです。1987年に建設省からコースタル・コミュニティーゾーン、つまり海辺のふれあいゾーンの認定を受けて整備されました」。建設経済部土木課公園係の上間玄さんが資料を確認しつつ誕生の経緯を教えてくれた。

 ハンビー飛行場返還跡地の護岸整備事業として人工ビーチを整備し、並行して地域住民から要望のあった公園整備も行ったという。

 上間さんは「ビーチだけ見るとそこまで特徴的ではないです。街に隣接していて歩いて行ける環境と、サンセットなどの景観が魅力なのでしょう」と人気の理由を分析する。基地が近く、ビーチ近くには外国人向けマンションが立ち並ぶので外国人利用者も多い。オープン当初は遊泳以外の利用はバスケットやビーチバレー、ビーチサッカーが主流だったが、近年ヨガやダブルダッチ、フォトウエディング撮影など新たな利用者も増えて多様化しているそうだ。「ビーチ、公園ともに利用者が多く、市民の憩いの場になっています。観光スポットとしても紹介されて注目度も高い。新たな利用法も取り込みながら、より使いやすい施設にしていきたい」と力を込めた。

 北谷町役場を出てもう一度アラハビーチに戻ると、沈む夕日が空と海を赤く染めていた。「沖縄に生まれて良かったなぁ」。日々の喧騒(けんそう)をしばし忘れ、美しい景色を堪能したタクオだった。

(2017年5月30日 琉球新報掲載)



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