みんな政治と関わっている やんばるからの手紙(45)

  • 北部
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草原の中の馬たちに会いに行きました

 この原稿をもって、「やんばるからの手紙」は最終回を迎えます。文章を書くためにパソコンに向かい、画面を前に何を書こうか考えている時間は週一の大切な作業でした。子どもが寝静まった後に書くこともあるし、ぐずるのを抱っこしながらのときもあり。

 とにかく、子育てが暮らしの中心であっても、実は社会の時事と密接につながっている。日々の買い物が社会行動のひとつであるように、主婦でも会社勤めでも農家でも子どもでさえも、誰もが政治に関わっている。そういう視点からこの連載を書いてきました。

 先週の「質のいい教育を享受するには」の続きなのですが、子どもたちが通う牧場の月謝は若干の値上げをせざるを得ないことになりました。しかし、「お金で支払う」と合わせて「作業奉仕で支払う」という選択肢が設けられました。

 要は地域通貨のようなものでありますが、「お金だけで解決しない」という牧場主催者の意思には大いに共感を覚えます。何より、「あなたたち保護者の人間力が必要ですよ、一緒に良い場所を作っていきましょう」と手を差し伸べられているような気がして、「何かお役に立てるなら」と、動く気持ちが湧いてきます。とはいえ、お金は実に優れたツールという側面もあり、面倒なことをお金で解決することによって余計なエネルギーを使わずに済む、といった人間の大発明のひとつでもあります。

 だから「お金じゃない」ときれい事を言うつもりはなくて、ただ、保護者が教育に関わる余地をあえて牧場が与えてくれた、ということがうれしい。モンスターペアレンツという物騒なネーミングもだいぶ浸透しましたが、「わたしはこう思う」「僕はこう感じる」という集団の中の「違い」を認識し、そして可視化することによって見えてくるものは少なくないはず。それをまとめるのは容易ではないけれど、人は昔から井戸端でゆんたくしながらお互いの気持ちの着地点を見い出してきたもので、これからもそうなんだと思います。

 今帰仁で始めるカフェも、そんなゆんたくができる場所になったらいいなぁ。子どもも大人もふいっとサボれるようなゆくいどころを。

(元フードコーディネーター)
(おわり)
(2017年5月30日 琉球新報掲載)



根本きこさん

根本きこ(ねもと・きこ)

  1974年生まれ。2003年逗子市に「coya」を開業。カフェブームの先駆けに。東日本大震災を機に2011年3月閉店し、沖縄県東村に夫と子ども2人で移住。現在は名護市に暮らす。2013年4月から琉球新報でコラム「やんばるからの手紙」を好評連載中。雑誌にエッセーを連載、著書「島りょうり 島くらし」「おとな時間」など多数ある。




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