おばあちゃんの正体は…!? 沖縄CMものがたり[2]ピレトリン

  • 沖縄県全体
このエントリーをはてなブックマークに追加

 「いっぺーじょうとうやいびーん」

 この言葉だけで何のテレビコマーシャルか分かる人も多いはず。

 殺虫剤「インセクトサイド・ピレトリン」のCMは、通常の殺虫剤では駆除できないトコジラミに効果があることも示され、強力さが伝わる。

 でも「このおばあちゃんは誰?」「隣の外国人は誰?」「おばあちゃんは英語をうなずきながら聞いているが、果たして理解しているの?」などの疑問にまでは答えてくれない。
 


除虫菊から抽出した天然成分が原料の「インセクトサイド・ピレトリン」。トコジラミにも効く


身近な配役


「しまくとぅばを取り入れたCMの先駆けではないか」と語る当山政恒さん=嘉手納町屋良


 スポンサーはピレトリンを製造するエアゾル社(米国)の極東総代理店となっている紗利真(宜野湾市、仲本英征社長)。生地のスーパー「しゃりま」で知られる。CM企画は広告代理店の当山企画(嘉手納町、当山政恒代表)が担った。当山さん(78)によると、CMは沖縄テレビ放送(OTV)の制作で1986年4月から放送。数度の中断はあったが、ほぼ同じ形で放送を続けてきた。

 当初はおばあちゃん役に当山さんの近所のおばあちゃん、外国人役にも関係者の知り合いだった米軍属の男性を起用するという、とても身近なところからの配役だった。

 当山さんが、研究者風の外国人がピレトリンの効果を説明し、素朴なおばあちゃんがしまくとぅばで良さを伝えるという絵コンテを書いた。「まだ方言に良くないイメージがあった時代だが、素朴な印象を大事にした。CMにしまくとぅばを取り入れた先駆けだろう」と当山さん。
 


同じ形で再撮影



 その後、おばあちゃん役の女性が亡くなったが、スポンサーの意向で2013年にほぼ同じ形で再撮影した。「技術も進歩しているから、本来はいろいろな形で視聴者に訴える。でもたまにはずっと同じことをやるCMがあってもいい」と当山さん。


司会業などを営む読沢ひろみさん。普段の活動時は素朴ではなく派手だ

 米軍属の男性は帰国していたため、男性役は米軍基地内の学校に勤める教師が務めた。おばあちゃん役は司会業などを営む読沢(ゆんたく)ひろみ(本名・与那覇弘美)さん(62)=中城村。しかし出演のきっかけは2人とも当山さんや関係者の紹介で、やっぱり身近な配役だった。

 初代のおばあちゃんもそうだったように、英語をうなずきながら聞いているひろみさん。「英語なんて全然話せない。わかったふーなーしているだけさ」と笑う。やっぱりか。

 「でもね…」と続けて、世替わり前の世相を映すような英語としまくとぅばのやり取りに「うちなーとアメリカが混ざり合った、沖縄の良さが表れているでしょう。うちなーんちゅは洋楽でもカチャーシーを踊れるのと一緒よ」と語った。

(2017年6月25日 琉球新報掲載)



前の記事ワンコインランチ?泊いゆまち散策...
次の記事新顔野菜で夏を元気に ぐしちゃん...