新顔野菜で夏を元気に ぐしちゃんいい菜のみそ汁

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ぐしちゃんいい菜がたっぷり入ったみそ汁。「具はいっぱいがいい」と笑顔で仕上がりを確認する城田よし子さん=八重瀬町仲座

 葉野菜が少なくなる夏に、強い味方がいる。2011年に商標登録された島野菜のニューフェース「ぐしちゃんいい菜」だ。柔らかな食感が特徴のカンダバー(イモの葉)を品種改良した野菜で、さまざまな料理にアレンジもできる。産地の八重瀬町を訪れ、城田よし子さん(82)に手軽な料理としてみそ汁を作ってもらった。

 よし子さんの長男・英光さん(59)が昨年からぐしちゃんいい菜の栽培を始め、この日も採れたてのぐしちゃんいい菜が用意されていた。青々とした爽やかな香りを吸い込むと、背筋がぴんと伸びるような気がする。城田家では、みそ汁は三食欠かさないという。

 「具だくさんだとご飯を食べ過ぎないし体にいい」とよし子さん。ぐしちゃんいい菜の葉は、最初に葉の中央の脈に沿って半分に分けるとちぎりやすいとアドバイス。「葉は煮すぎたら風味が薄れる」。

 鍋に入れたら、くたっとなる前にみそを手早く溶かして火を止めるのがこつだ。みそも、農協の女性部で手作りしたこだわりの一品。少し大きめの焼物のマカイ(おわん)によそってもらい、ふうふういいながら口に運ぶ。柔らかな甘みとしゃきしゃきとしたほどよい歯ごたえ。大根や豆腐と一緒になって胃袋を優しく満たしていく。

 「せっかく来てくれたのにみそ汁だけじゃ悪いから」。そう言いながらよし子さんが出してくれたのはピーマンを使ったつくだ煮とカステラ。どちらも1キロのピーマンを使って2~4時間かけて作ったメニューだ。青臭さはなく、ほのかに漂うピリッとした風味や果肉の食感が楽しい。





 具志頭村(現八重瀬町)に生まれ育ったよし子さん。戦時中は首里や摩文仁を逃げまどい、今でも当時を振り返れば「朝まで話しても話し足りない」ほど大変な思いをした。満州からシベリアへ出征したまま犠牲になった父の遺骨は戻らず、写真の一枚も残っていない。幼い頃、貧しさの中で口にしたイモの葉は今、見違えるほどおいしくなった。「昔からしたら本当に考えられないね」と語るよし子さん。子どもや孫たちが家にやって来ると「いらっしゃい」より先に「ご飯食べたね?」が口を突くと笑う。


(手前から時計回りに)ぐしちゃんいい菜のみそ汁、豆ご飯、ピーマンのカステラ、ピーマンのつくだ煮

 夫の英保さん(86)は、タクシー運転手や運送業を経て55歳で農業を始めた。長くピーマンを育て、よし子さんのピーマン料理もその時に組合仲間と考案したものだ。栽培ハウスの大部分は長男の英光さんに譲り、台所も英光さんの妻・由美子さん(58)に代替わりした。よし子さんが腕を振るってきたレシピは、「あっちこっちに置いたり無くしたりしてたけど、嫁が『財産だよ』とつづってくれた」と、うれしそうにファイルを開いて見せてくれた。

 毎週土曜に「南の駅やえせ」で開かれる朝市で野菜を販売するのが、よし子さんの目下の楽しみ。「友だちもお得意さんもいて、パワーをいっぱいもらうよ」。こちらも栄養満点の緑の野菜料理、そしてよし子さんの朗らかな笑顔に元気をもらった。

文・大城周子
写真・諸見里真利



ぐしちゃんいい菜

 カンダバー(イモの葉)を品種改良した野菜。従来のカンダバーに比べて渋みが少なくて柔らかく、葉だけでなく葉柄(葉と茎をつなぐ細い部分)まで食べられるのが特徴。

 ミネラルやビタミン、葉酸などの栄養分も豊富。名前の由来は品種名「沖育01-1-7」と「いいな」がかけられている。定番はぼろぼろジューシー。





(2017年6月27日 琉球新報掲載)



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