沖縄の浜辺でスペシャルナイト オカヤドカリたちの大移動 しかたにさんちの自然暮らし(25)

  • 沖縄県全体
このエントリーをはてなブックマークに追加
ナキオカヤドカリは普段から海辺で暮らし、砂浜に打ち上げられた海藻や魚の死骸などを食べる、浜辺の掃除屋さん

 6月初旬の満月の頃、沖縄本島北部の山原(ヤンバル)や石垣島から、サンゴの産卵のニュースが届きました。この時期は、海の生き物の餌となるプランクトンがたくさんいるので、いろいろな生き物が卵を生みます。沖縄ではおなじみのオカヤドカリ類も、6月~7月にかけての大潮の夕暮れ時、幼生を海に放すため、海岸にたくさん集まってきます

 オカヤドカリ類は、陸にいる時、貝殻に隠れたお腹の横に卵を生み出して抱えます。その卵が熟したら、波打ち際に降りてきて、水の中で孵化させるのです。毎年、この赤ちゃんが孵化するタイミングに合わせて、オカヤドカリ達が波打ち際に大移動する様子が見られます。

 卵から生まれた赤ちゃんは、海でプランクトンとして数週間を過ごし、ヤドカリの形に成長したら、小さな貝殻を背負って、また陸に上がって来るんです。

 そこで今回は、沖縄の浜辺ならではの夜のイベント、オカヤドカリ類の放幼生の観察のコツをお伝えします。


満潮の時間、オカヤドカリ達は波打ち際に集まって、次々に放幼生を行います

1:暗くなる前に、海岸の下見をしよう。


 夕方、薄暗くなる頃から、オカヤドカリ達は海岸に集まってきます。でも、波打ち際に出てきて幼生を放つのは、日が沈んで真っ暗になってから。この時間には潮も満ちてきますから、明るいうちに海岸に行って、安全な場所でオカヤドカリ達を待ちましょう。


やっと波打ち際までやってきて、これから幼生を放つところ。山の方からやってきたのでしょうか、アフリカマイマイの殻に入っています

2:虫除けは、早めに塗ろう。


 夏の夕暮れの海辺には、蚊やブユもたくさんやってきます。蚊を寄せ付けない虫除け薬や蚊取り線香は、ヤドカリやカニにも毒になります。虫除け薬は、海辺ではなく、家を出る時や駐車場で、早めに塗っておきましょう。また、オカヤドカリ達が集まる海辺では、蚊取り線香を焚かないでくださいね。


3:強い光でびっくりさせないように。


陸に上がって間もない小さな稚ヤドカリ。崖の途中のくぼみで一休み

 オカヤドカリ達は、卵を安全に海に放つために、暗くなるのを待ってから波打ち際に出てきます。

 夜の観察でライトは必需品ですが、LEDライトの強い光で直接照らすと、オカヤドカリ達は驚いて動けなくなったり、陸の方に逆戻りする個体もいます。ライトの光の周囲の薄暗いところでそっと照らすか、柔らかい明かりのランタンを使うなど、生き物を驚かさない工夫をお願いします。


4:交尾の瞬間が見られるかも。


 メスが集まるところには、交尾相手を探すオスもやってきます。浜辺の上の方で、他のオカヤドカリの貝殻に抱きついているのがいたら、それはきっとオス。驚かさなければ、珍しい交尾行動が観察できるかもしれません。騒がないよう、静かに見守ってくださいね。

 沖縄島でよく見られるオカヤドカリ類は、2~3㎝ほどのナキオカヤドカリ、紫色で大型のムラサキオカヤドカリ、大型で地味な茶色のオカヤドカリの3種類ですが、日本で見られるオカヤドカリ類の全てが、文化財として国の天然記念物に指定されています。

 また、大型のオカヤドカリ達は、ハサミの力が結構強いです。浜辺でオカヤドカリ達を見つけたら、手を出さずにそっと観察してくださいね。


ムラサキオカヤドカリ。海岸の岩場や海岸林で暮らしています

オカヤドカリは、海辺から少し離れた山の上の方でも見かけます。ハサミの指先が白いのが特徴

鹿谷法一(しかたに自然案内)

 しかたに・のりかず 琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島生まれ。海に憧れて沖縄に来て、もう30年以上。専門は甲殻類。生物の形と機能の関係に興味がある。趣味は本とパソコンとバイクいじり。植物を育てるのも好き。

 




前の記事新顔野菜で夏を元気に ぐしちゃん...
次の記事~子どものワクワクを維持する発展...