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一人一人違って当たり前 100cmの視界から―あまはいくまはい―(5)


一人一人違って当たり前 100cmの視界から―あまはいくまはい―(5)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 車椅子に乗るのが大好きなわが子たち。息子はもう私より大きいのに「狭い! ママ、もうちょっと寄ってよ」と言うように。いやいや! これ、私の車椅子ですから! 大きくなっているのはあなたですから! と毎回説明します。すると「ママはベビーカーに乗ればいいんじゃない?」と提案する息子。歩けないママを持つ息子の発想に大笑いです。車椅子でお昼寝をすることもよくあり、堂々と寝る息子。街行く人からは、何が乗っているの? じろじろ見られます。

車椅子がベビーカー代わり、お昼寝もしちゃいます

 子どもが4歳と2歳になり、毎日が少し落ち着き、子育てをまた楽しめるようになってきました。私は一人ではできないことも多いので、一人で子どもを見るときは、安全面に細心の注意を払います。ゲートは閉まっているか、はさみなどの危険な物がないか、お茶のふたは閉まっているか、などなど。だけど4歳の息子はもうゲートを開けられるし、はさみを使えるし、キッチンから物も取り出してきます。さらにそれを2歳の娘が触って大変なことに! 二人育ては私の許容を超えています。でもそんな毎日が続くと、計画通りにいかないことに慣れてきて、考えることすらあまりしなくなってきました。どうにかなる、どうにかするしかない、とにかくやってみよう、という感じです。

 ただ、4歳になる息子の私への甘え具合に心底疲れ、「ママー、ママー」と泣き叫ばれることにイライラすることも。3歳までは大事に大事に育て、彼の話をよく聞いて、合わせてきたつもりなのに、エスカレートする一方!? 妹のお世話もしなきゃいけない私の状況を理解してほしい、と怒ってしまうこともあります。しかし、先日作戦を変え、私が彼に甘えてみることにしました! 「もう保育園に行っちゃうの!? 寂しいー!」と言うと、息子は私にギューと抱きつき、すんなり保育園に行くことが判明。やったー!

 息子は内弁慶で、保育園では先生の話をよく聞き、ルールを守り、頑張るタイプ。逆に娘はいつでも自由奔放で、やりたいことだけやるタイプ。それぞれに違うのが本当に面白いです。子育てを通して「人は一人一人違う」という当たり前のことに気づかされ、その子なりのペース、やり方でいい、できること、できないことがあってもいい、と思えます。それは同時に、障害があり、できないことが多い自分を肯定することにもつながり、子育てに救われる自分がいます。子育ては大変なこともあるけれど、障害者のユニークな子育て、オススメです!

伊是名夏子

 いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。

 

(2017年7月31日 琉球新報掲載)