変わる教育 学校現場はどう変わる?【子どもの未来を拓くプログラミング教育@沖縄(4)】

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 前回の「スマホ、ゲーム、IoT…「使う人」から「つくる人」へ、変わる教育」では、プログラミング教育の必修化に伴い、公教育が大きく変わろうとしていることをお伝えしました。

 これまで誰も経験したことがない時代に対応するための教育改革の一環です。しかし、プログラミング教育の授業実施までには課題は山積みだといわれています。

 そのような状況の中、2020年の必修化に先駆けて、全国各地で実証授業を始めている学校があることをご存知でしょうか。



必修化には課題が山積み


 プログラミング教育の必修化が決定して以降、TVや新聞などで報道されることも多くなり、沖縄でも小学生向けのプログラミング体験イベントが増えてきました。一方、子どもたちを教える教員や学校などでは、必修化に対して不安に思う声も上がっています。

 というのも、現在の小学校ではプログラミング教育に関する授業が全くありません。そのため、それを実施するには大きな課題が3つあります。学校での授業スタイルも今後さらに変わってくるため、これらの課題を解決する必要があります。

1.PCや機材が無い、Wi-Fiも飛んでない
2.教員にプログラミング経験がなく指導力に乏しい
3.事例が少なく、教材もないため授業のイメージがわかない

 1つ目の課題として、ほとんどの小学校ではパソコン教室にパソコンが設置されているため、いつでも・どこでも・児童が授業で使えるわけではありません。今後は数学・理科・総合な学習など、今ある各教科の中でプログラミングを活用した授業を行う必要があるため、一人一人が使うことができるノートパソコンやタブレット端末などの配置やWi-Fi環境を整備することが必要になります。

 2つ目は、そもそも指導経験がないため、授業の指導案や新たな教科書が作成されたとしても、教員により授業の質に差が出てしまいます。

 今後は、教員のプログラミング教育の指導力が向上するように、既にその分野の教育をはじめている民間(企業・団体・大学など)と協力するなど、研修の充実化による指導力の向上も必要になります。

 3つ目は、今までに小学校でのプログラミング教育に関する授業がなかったため、何を参考に授業を実施していいのか分らない教員が多い状態です。今後は、プログラミング教育に関する事例の集約、実証授業などでのノウハウの蓄積、それらを参考にした指導案の作成、そして既にある各教科とプログラミングを組み合わせた具体的な教科書の作成が必要になります。

 このように、プログラミング教育を実施するまでには、環境の整備や新たな教材の作成、教員の研修など多くの課題が残っています。2020年までに、これら全てを国のみで実現しようとしてもノウハウの蓄積と時間が足りません。

 それらの問題を解決するために、国は民間と協力した取り組みを始めているのです。


課題解決に向けた国の動き


 総務省は、プログラミング教育必修化に伴う課題解決のために、「若年層に対するプログラミング教育の普及推進事業」を2016年から開始しています。

 プログラミング教育を実施するためには課題が多くあるため、学校現場における課題感(教材の開発や指導事例集の作成)だけではなく、学校外における課題感(民間との連携・協力)も解決する必要があり、さまざまな視点からの実証が求められています。

 そのようなこともあり、プログラミング教育のノウハウを持つ民間(企業・団体・大学等)を軸とし、学校内外での継続的な学習の機会を創出・提供できるよう、地域一体となった仕組みづくりを目的としています。

 例えば、実証授業の1つである鹿児島県徳之島町と岩手県遠野市は、全国的にプログラミング教育の普及推進活動を行うCA Tech Kidsと共同で、離島・遠隔地地域など地理的制約の大きな地域でも実施可能な、現実的・普遍的かつ教育効果の高いプログラミング教育のモデルケースを構築することを目的として、実証授業を開始しています。

 プログラミング教育が学校外で学べる場所や指導できる人は、地方よりも東京などの首都圏に集中していることが多いため、地方では学べる場所や指導者の不足も懸念されています。そのため、この取り組みでは、教職員だけではなく地域住民などからプログラミング教育の指導候補者を募り、CA Tech Kidsのノウハウをもとに研修を実施し、その後、研修受講者が実際に子ども向けの授業を実施しています。


 研修と授業では、誰でも無償で利用できるプログラミング学習ソフト「Scratch」を活用することで、プログラミングが初めての人でも取り組みやすい授業になっています。

 研修では、子どもたち自身が自ら考え、試行錯誤しながら自分の力で課題を解決できるように指導候補者が導いていく指導方法や接し方を学びます。実際の授業では、子どもたちが集中して取り組みやすいゲーム作りを題材とし、プログラミング学習の楽しさや、コンピュータ制御に必要な概念を学習しながら、プログラミング的思考を養えるように取り組んでいます。

 このように地域と連携することで、地方でも継続的かつ持続可能なプログラミング教育の仕組みづくりが可能になります。

 他にも、多くの自治体や学校ではさまざまな実証授業が行われています。国や自治体・学校現場はプログラミング教育に関するノウハウがほとんどないため、民間との連携が欠かせない状態となっています。


民間のプログラミング教育熱がすごい!


 プログラミング学習の実施には、まだまだ多くの課題が残されています。その課題解決に向けた動きとして、国や自治体は今後も民間と連携・協力することが必要不可欠となります。

 これは、国や自治体よりも先に民間がプログラミング教育を始めており、かつ豊富な指導実績やカリキュラムなどのノウハウを持っているためです。

 では現在、日本のプログラミング教育を先導している民間のプログラミング教育はどのような状況なのでしょう。次回ご説明いたします。

(次回は9月8日に公開。毎月第2、4金曜日に公開します)



― 執筆者プロフィール ―


Tech Kids School 沖縄エリア統括責任者 中山拓也(なかやまたくや)

沖縄県糸満市出身。自身も子どもを持つ2児の父親。沖縄の子どもたちを取巻く様々な格差からくる成長の機会損失が多い現状を変えたいと思っている。未来を担う子ども達に「無限の可能性と希望」を伝えるべく奮闘中。

小学生のためのプログラミングスクール「Tech Kids School」を運営しながら、未来を生き抜くために必要とされるプログラミング教育の提唱や、家庭環境に関係なく子どもたちへ学習の機会を創出するため、沖縄県内の企業や大学と連携した取組みも行っている。

▼Tech Kids Schoolの詳細はこちら
http://techkidscamp.jp/school/





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