9月18日は敬老の日。「てみた。」取材班は、お年寄りに特別な一日をプレゼントしたいとファッションショーを企画した。
高齢者施設の皆さんをモデルに、孫世代の専門学校生たちがコーディネート。おばあちゃんたちを“お姫様”に大変身!させてみた。
変身に「はっさみよー」
お姫様に変身したのは、那覇市の「サービス付き高齢者向け住宅 琉球の街 真嘉比」に入居している80歳から100歳までの12人。沖縄ブライダルモード学園(北谷町)の2年生がヘアメークや着付けを担当した。
9月12日、昼食を終えて支度室にやってきた皆さん。緊張で表情が硬い…。だが、若い学生さんたちがアイシャドーや口紅を塗りながら「かわい~!」を連発すると、おばあちゃん姫たちの頬はみるみる緩んでいく。
最高齢100歳、玉那覇タツ子さんのキャッチフレーズは「座っていてもタツ子」。はきはきとした口調で「昔は起きたらすぐ化粧。化粧しないと外には出られなかったよ」と教えてくれた。
久手堅榮子さんは日本舞踊でならした昔を思い出したようで、自ら化粧をし始めた。別の席では「もっと目元を濃くした方がいい」と注文する人も。
うれしさの余り涙ぐむ人には、ぐしけんカメラマンが「なまから本番どォ」(今からが本番だよ)と励ましていた。
ドレスを着て、髪や腕にもしっかり飾りを付けて完成。互いの変身ぶりに驚きの声があちこちで上がった。「はっさみよーなー!」
ランウェー挑戦
「琉球の街」の1階にランウェーを仕立て、ファッションショーがスタート。ディズニー調の楽しげな音楽に合わせ、紙吹雪が舞う中を次々とモデルが登場する。
唯一の男性参加者で“黒一点”の藤沢昭さんは、白いタキシード姿でびしっと決めて玉那覇タツ子さんをエスコート。タツ子さんはカチャーシーで喜びを表現した。
女性のモデル12人中11人が車いす。学生たちもそれぞれ担当したモデルの車いすを押してランウェーを歩いた。久手堅榮子さんを担当した伊志嶺稀良莉(きらり)さんは「ドレスを着た途端に榮子さんが笑顔になった。その笑顔を見てたら自分もうれしくなった」。新里正枝さんを担当した松田真珠美さんは「とても楽しくて、貴重な体験になりました」と目をきらきらさせた。
ファッションショーに携わった人みんなが笑顔で「夢の国」のような空間だった。記者たちも、笑いすぎて帰りのタクシーではぐったり。何だかおばあちゃんたちの“魔法”にかかった気分だった。
色白際立つ「白雪姫」
■シズエさん「美空ひばりみたいって言われちゃった」
三浦シズエ / 87歳
名護に咲いたバラの花
■まさえさん「彼氏を探しに行こうかしら」
新里正枝 / 96歳
大正生まれの天女
■タツ子さん「昔は家庭教師もやったよ」
玉那覇タツ子 / 100歳
おきゃんでいなせ
■ツル子さん「きれいな肌が自慢」
富原ツル子 / 85歳
ソフトな紳士
■あきらさん「あきらさんだぞ」
藤沢昭 / 86歳
てぃーだのほほ笑み
■ひろこさん「お父ちゃん大好き」
西平弘子 / 91歳
ピンクの妖精
■ヤエさん「阪神・淡路大震災もたくましく乗り越えました」
田代ヤエ / 91歳
クールビューティー
■えいこさん「日本舞踊で海外にも行ったのよ」
久手堅榮子さん / 87歳
糸満美人
■あやこさん「自分が自分じゃないみたい」
上原絢子 / 80歳
黒髪の
マリリンモンロー
■お千代さん「昔は水泳をやっていたの」
新垣千代子 / 82歳
気分は
パリジェンヌ
■えっちゃん「アイシャドーの色は指定したのよ」
本名はひみつ / 82歳
はにかみの
ミャークピトゥ
■ユキちゃん「今日は40歳ぐらいには戻れたかな」
下地ユキ / 83歳
小さな体に
秘めたパワー
■きくちゃん「きれいにしてもらってありがとう」
伊志嶺喜久子 / 97歳
\輝く美を引き出す魔法使いは私たち!/
~沖縄ブライダルモード学園の皆さん~
(2017年9月17日 琉球新報掲載)