ネットでの「晒し」を考える モバプリの知っ得![31]

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誰もが簡単に短文や画像を投稿できる「Twitter」はその手軽さから、根強い人気があります。
私も7年近く、Twitterに没頭しています。

そんなTwitterで、街中でのトラブル動画が拡散されるのをよく見かけます。

例えば「急な車線変更で事故を誘発させるような危険運転をしている車」、「スーパーで店員さんに怒鳴りつけるお客さん」、「電車で奇声を発し奇妙な行動を取る乗客」などを撮影した動画です。

動画の長さは30秒〜2分程度の短い動画ですが、正直インパクトが強いものも多く、拡散される理由も分かります。

しかしながら、動画の内容をしっかり見極めないと「ネットリンチ」「私刑」に加担することになるので注意が必要です。

ネットに掲載された「コンビニスタッフの動画」

11月上旬、某コンビニスタッフの態度が悪いとする45秒の動画が拡散されました。

こうしたお店でのトラブル動画は、いわゆる「クレーマー」の言動を収めたものが多いのですが、今回はコンビニのスタッフ「が」お客さんに激怒し暴言を吐いている珍しいパターンでした。

撮影者はスタッフを注意しながらも「あなたの行動全部撮ってるから」「本社に言ったらお前クビになるよ」などとも発言し、Twitterに投稿した際にはコンビニの店名なども記載していました。
※現在、投稿者はTwitterアカウントを削除しています

動画はTwitterへの投稿後すぐに拡散され、まとめサイトも「コンビニ店員「温めますか?」客「うん」→店員ブチ切れwww」などのタイトルで記事化してアクセス稼ぎに使います。

この動画を見た人は、「変な店員がいる(笑)」「態度が悪いなんて許せない!」など、冷やかす気持ちや、正義感で拡散したと思います。


イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

確かに、激怒して暴言を吐くことはよくないことです。これがお客さんに対してであれば、なおのこと...。

しかし、今回はTwitterで動画が拡散されました。拡散数から数万〜数十万人が見たと推測されます。

スタッフが些細なことでお客さんに暴言を吐いた理由は、45秒の動画では分かりません。
イライラすることがあったり、体調が優れなかったのかもしれません。

本来はコンビニの本社が、そこにいたる経緯を調査した上でスタッフを(必要であれば)処分を課し、お客さんへ謝罪する。こうした流れです。

しかし今回は動画がTwitterで拡散したことにより、多くの部外者の目にとまることになりました。

そして、怒りや面白半分で好き勝手にコメントする、私刑へと繋がります。

「俺たちの手で裁く!」私刑の怖さ

部外者が勝手に判断し、人の罪を決める行為を「私刑」と呼びます。
英語では「リンチ」と呼ばれ、ネットで炎上し非難が集まることを「ネットリンチ」と呼びます。

この連載で何度も何度も書いていますが...本来、人が人を裁くのは難しいことです。
冤罪を避けるため、また重い罰を与えないためにも、慎重に捜査し、最大3段階できる三審制で複数回裁判ができるようになっています。

しかしネットリンチは、ネットユーザーの「感情」という気まぐれな要素で動くため、冤罪や過剰制裁に繋がりやすくなります。

 

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今回の件は、スタッフ側に悪い点があったかもしれません。
しかし店名が数万人に晒され、非難が集中しました。
動画も元の投稿者は削除しているものの、まとめサイトなどが再度アップロードしているため、インターネット上にずっと残ることになります。

こうして、大元の行動の落ち度以上に罰を受ける「過剰制裁」へとつながり、当事者は一生苦しむことになります。

Twitterなどを使えば、手軽に情報を拡散することができます。

危険運転などを記録した動画は、注意喚起をうながすためにも拡散する意義があることもあります。
しかしながら名前や個人情報などが晒されたり、特定の個人の攻撃に向かうような情報は、どれだけ面白くても、冷静になって拡散しないことが大事です。

 


 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」11月12日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。



【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

http://smartphoneokoku.net/

 



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