農林高校生になってみた。→We Love 命だった。 「てみた。」18

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 農林高校って何を学ぶところだろう。

 農業と林業? いやいや、生徒たちは何だか幅広いことを学んでいるらしい。しかもかなり専門的とか。

 「てみた。」取材班の記者たちは北部農林高校、中部農林高校、南部農林高校の3校にお邪魔し、それぞれの特色ある取り組みを体験してみた。
 




 

「いただきます」感謝込めて
オリジナルブランド豚「チャーグー」

 


 甲高い鳴き声がコンクリート造りの豚舎内に響き渡る。白いよだれを垂らして鼻を鳴らすのは、北部農林のオリジナルブランド豚「チャーグー」だ。

 アグーと米国系品種デュロックを掛け合わせた豚で、12年前に商標登録された。

 同校は琉球在来豚アグーの復活に貢献したことで有名だ。つなぎを着てやる気十分のなかよし記者が、熱帯農業科畜産コースの授業に参加した。


生まれて間もないアグーの赤ちゃんを抱っこさせてもらった記者。毛が柔らかく、気持ちがほっこりするような温かさだった

 まずは豚舎の掃除から。高圧洗浄機のような機具でふんを砕いて片付ける。さすがはきれい好きで知られる豚。自ら水に飛び込んできて、気持ちよさそう。

 続いてはお待ちかねの食事タイム。

 「仲良くなれるかしら」なんて考えは甘かった。餌を山積みした一輪車を押して入った瞬間、豚舎が揺れた。「ピーッ」「ビーッ」。鳴き声がこだまする。

 圧倒されていると、「こうやって気をそらせばいいよ」と2年生の與儀このみさん。手をひらひらさせて「こっちこっち」と笑顔で誘導し、器用に餌を配っていった。

 チャーグーたちは、12月9日の即売会で精肉や加工肉として販売される。旅立ちを見送る時の気持ちを生徒たちに尋ねると「おいしく食べてもらってね」「命をありがとう」とのこと。

 丹精込めて育て、深い感謝を持っていただく。命の尊さを理解しているからこその言葉だと、心が震えた。
 


今か今かと身を乗り出して餌を待つアグー

「元気な赤ちゃんを産むわよ」出産を控え、移動するチャーグー。自分のペースで歩いて豚舎へ向かうお利口さんだ

キノコもつくってます
栄養満点 湧き水で栽培成功も

 


 北部農林では、たかひろ記者がシイタケの培地づくりも体験させてもらった。

 キノコ栽培が学べる高校は県内でここだけ。やんばるのイタジイから取れたおが粉を使ってキノコを育てる。おが粉と水を混ぜて培地を作り、2キロずつ袋に入れる。一発で計量器の数値を2キロぴったりにできるか、男子が競っていたので交ぜてもらった。

 200グラム以上オーバーで、2回目の挑戦でも2.06キロ。「これでいいですよ」と温情で認めてもらった。


おが粉と水を混ぜてシイタケの培地を作る生徒たち

 培地は高温高圧で滅菌し、無菌状態に保った装置の中で種菌を植える。この時に雑菌が混入すると台無しだ。新垣大祐さん(3年)は「最初はカビだらけにしてしまったけど今は大丈夫。地域の方々に喜んでもらえるとうれしい」。北農産シイタケは地域でも評判で、昨年の学園祭では400個以上がすぐに無くなったという。

 今年は天然の湧き水を使った栽培に県内で初めて成功した。湧き水を使ったキノコは栄養素が豊富で、傷むのも遅いそう。独自ブランド確立と安定栽培を目指して日々研究を重ねる姿に感心した。

 

結ぶリードと絆
動物介在活動チーム部

 

 「待て」「よし、来い!」。校内の一角から声が聞こえてくる。ゴールデンレトリバーなどの大型犬からマルチーズなどの小型犬まで11種24匹にてきぱきと指示を出す。

 最近犬を迎え入れて帰宅時間が格段に早くなったわかな記者が、中部農林の熱帯資源科動物コースに潜入した。


リードを持つ生徒にぴたっ。服従訓練の様子

 このコースは県内の農林高校で唯一ペットを扱い、生徒は飼育や繁殖、爪や毛並みを整えるグルーミングを学ぶ。中でも「動物介在活動チーム部」は、触れ合いを通じて人を癒やしたり、命の大切さを伝えたりするセラピー犬を育てる。高齢者施設の訪問や小中学校での出前授業にも取り組む。

 訓練に臨む生徒のまなざしは真剣そのものだ。ペア犬と共に一糸乱れぬ行進で校内を散歩する。犬たちも生徒の歩く速度に合わせて駆け、横に張り付いたように離れない。餌を前にしても「待て」と命じられればよだれを垂らしながらでも、じっとこらえる。

 あまりの真剣さに「わんちゃんと触れ合ってきます」とるんるん気分で会社を出たわかな記者は反省し、そばで訓練を見守ることにした。

 「教えたことができると絆を感じる」と部長の池原佑佳さん(2年)。犬舎に戻る前には訓練後のご褒美として思い切り甘えさせる時間があり、顔をなで回したり、自由に走らせたり。訓練中のきりっとした顔つきから一転、犬たちのデレデレ顔がたまらなくかわいかった。


訓練終了後、思い切り甘えられる時間。生徒も犬も満面の笑み

子犬の餌やりを体験する記者。「あぁかわいい。連れて帰りたい」

 

手さばき、流麗
バイオテクノロジー部

 


 南部農林では、理系出身のりちゃん記者が10年ぶりの白衣に袖を通し、生物資源科バイオテクノロジー部の「バイオ苗」研究を体験した。

 同部は、ぐしちゃん芋生産組合の依頼を受け、「ちゅらまる」というイモを研究している。葉と茎の部分は「ぐしちゃんいい菜」の名前でも知られる品種だ。


長いピンセットとメスで手際よく茎を切り出す生徒

 イモは同じ個体から苗を取り続けると病気にかかりやすくなって品質も低下していくが、「バイオ苗」はこれを防ぐと期待される。品質や収量の優れた苗から、細胞分裂が活発に起こる「成長点」部分を取り出し、20種類以上の薬品を組み合わせた培地で栽培するという。

 理屈を何となく理解したところで「継代(けいだい)培養」を体験。苗を小さく切り分けて新しい培地に移す作業だ。

 生徒たちは無菌のクリーンベンチに手だけを入れると、集中力のいる手順を流れるような手さばきでやって見せた。のりちゃん記者は、切り分けられた苗をフラスコ内の培地に挿すだけ。しかし勘はすっかり鈍っていて、ゴム栓を焦がし、ピンセットは持ち方から指導されてしまった。

 体験して、専門性が高く実践的な内容に驚いた。農大を舞台に菌の世界を描いた漫画「もやしもん」をきっかけに農林高校へ進学したという新垣花奈さん(3年)は「実習が多いし、農家の所得や地域の活性化に貢献できる」と魅力を教えてくれた。


バイオ苗の成長過程

心配そうな生徒たちに見守られながら苗の植え付けを体験する記者


売り切れ御免! 即売会もやってるよ
 

 農林高校では、日頃の実習などで栽培・飼育・製造した生産物を、定期的に一般の人向けに販売している。

 肉や野菜、お菓子、植物など多彩な品が割安で手に入るため、開始1時間ほどで売り切れ状態になることもある人気ぶりという。

 12月には各校とも規模の大きな生産物即売会が開かれるので、予定をチェックして足を運んでみてはいかが?



福地ダム


即売会

 12月9日(土)
 午前10時~午後3時


ゆんたく市(定期開催)

 1月26日(金)、2月16日(金)
 午後2時40分開始予定

住所:沖縄県名護市宇茂佐13





即売会

 12月17日(日)
 午前9時半~午後3時


中農市(定期開催)

 1月19日(金)、2月16日(金)、3月16日(金)
 午後3時開始予定

住所:沖縄県うるま市田場1570
 





花まつり

 12月9日(土)、10日(日)
 午前10時~午後3時


南農市(定期開催)

 2月21日(金)
 午後2時半開始予定

住所:沖縄県豊見城市長堂182
 




(2017年11月12日 琉球新報掲載)



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