ハートに火を付けるのは? 沖縄CMものがたり[6]沖縄協同ガス


ハートに火を付けるのは? 沖縄CMものがたり[6]沖縄協同ガス
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 「君のハートに火を付ける ボクはボーンベボンベボンベ君」と元気に歌うガスボンベ。「農協プロパン」と書かれた重たそうな姿からは想像できない軽快な歌と踊りは、一瞬で筆者をとりこにした。

CD完売

 その名も「ボンベ君のうた」をテーマソングにしているのはJAおきなわグループの沖縄協同ガスだ。会社の50周年を記念し、今年、7年ぶりにこの歌がCMで復活した。「農協プロパンの愛称は知られていたが、協同ガスの名前を知らない人が多かった。会社をPRするCMを作りたかった」。2006年当時CM制作を担当した玉城聰部長は振り返る。

 主力商品のLPガスは無色の気体で目には見えないものだ。それをどうアピールするか。悩んだ末に出てきたのが、LPガスの供給に不可欠なガスボンベをキャラクターに仕立てることだった。「地球の環境にも気を付けてコンロ、お風呂の火を付ける」。LPガスの強い火力や環境性能の良さを織り込んだCMは、06年に放送が始まると、たちまち話題を呼んだ。

初代ボンベ君を務めた大城康臣さん。当時ファンに書いていたサインを久しぶりに書いてくれた

 07年に発売されたCDは、生産した1千枚がわずか10日前後で完売する人気ぶりだった。保育園や学校のレクリエーションに使われたり、結婚式の余興用で使用されたりと引っ張りだこ。玉城部長は「当時は社員のほとんどが着信メロディーに設定していた。誰の携帯電話がなっているのか分からないほどだったよ」と笑いながら振り返った。

 リリースされた曲は三線の音色を使った沖縄らしさを打ち出したもの。制作時はこれに加え、勇ましい戦隊ヒーローものや、演歌調のものを含む3バージョンが試作された。全職員に聞いてもらい投票にかけ、現在のものに決めた、社員も納得の1曲だ。

 1代目の後半からは「子ボンベちゃん」というキャラクターも登場。職員の子どもがモデルとなり、体形などもその子に合わせて作った“特注品”だったが、モデルの子の成長で体形が合わなくなり“お蔵入り”している。

7年ぶり復活

 「ボンベ君のうた」は12年からはボンベ君というキャラクターはそのまま、曲がクラシック「交響曲第九番」をベースとした別バージョンの曲に変わったが、県民からの根強い人気を踏まえ、創立50周年を迎え今年3月から7年ぶりに復活した。

 南部営業所販売課の城間大輔さんは、CM刷新に合わせて起用された3代目ボンベ君だ。女性や子どもから「きゃーきゃー言われるのが好き」だと言い、3代目の就任前からガス器具の展示会でボンベ君の着ぐるみを着たりして実績を重ね、3代目の座を射止めた。CM撮影で先島を含む県内5地域を回り「どれが自分の笑顔が分からなくなるくらい笑った」と苦笑いしながらも、活躍に執念を燃やす。

 初代ボンベ君を務めた大城康臣・南部営業所所長代理は「自分はシャイでテレビに出ることに抵抗もあったが、3代目の城間さんは注目を集めるのが好きで役に合っている。頑張ってほしい」と声援を送った。

3代目ボンベ君への意気込みを語る沖縄協同ガスの城間大輔さん(左)と営業課の比嘉美代子さん、玉城聰営業部長

(2017年11月26日 琉球新報掲載)