沖縄の小学生がアプリ開発(1)多言語対応で「ベジタリアンを支えたい」

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◇CA-Frogsキッズプログラマー特待生3期生インタビュー【子どもの未来を拓くプログラミング教育@沖縄(10)】

2020年から小学校で必修となるプログラミング教育の話題をTVや新聞でよく見かけるようになり、沖縄でもプログラミングを学ぶ子どもたちが増えてきました。今回から3回にわたり、オリジナルアプリなどの制作に挑む沖縄の小学生3人の取り組みを紹介します。

トップバッターは沖縄本島北部の東村に住む小学5年生の大嶺結葉さん。蓄音機の発明や白熱電球の実用化など次々と世の中を変えたトーマス・エジソンへの憧れから、「将来の夢は発明家!」と笑顔を見せます。


PROFILE
大嶺 結葉(オオミネ ユウハ)
東村立東小学校 5年生
得意教科:理科・算数
趣味:歌うこと・ドラムを叩くこと
写真:ベジタリアン代替食品を目の前にして喜んでいるところ


人口約1700人。沖縄県東村に住む5年生の挑戦


半年間で計100時間のプログラミング学習を無償で受けることができるCA-Frogsキッズプログラマー特待生(※1)に選ばれ、2017年7月から本格的にプログラミングを学び始めた結葉さん。「発明家」という夢を抱くようになったきっかけは、2011年に発生した東日本大震災に衝撃を受けたことでした。

「災害現場で埋もれたり、行方不明になったりしている人を早く探せるようなロボットを作って、人が笑顔になれる世の中にしたいと思うようになった」と語る結葉さん。今は「より高性能なレスキューロボットなどを作ることで、困っている人の助けになるのではないか」と考えているそうです。

自分の将来の夢が明確になり視野が広がったという結葉さん。友だちと話をする中で、自分たちが暮らす東村以外で開催されているイベントや、世の中で起きている情報をほとんど持っていないことに気づいたそうです。

結葉さん

「2年前、名護市からお父さんの地元の東村に引っ越してきました。お父さんもお母さんも私も含めて東村が好きな人が周りには多いです。そのため東村が一番だと思っている友達も多いので、東村以外の情報を積極的に集めようとする習慣が少ない気がしています。情報が入ってこないということは、挑戦できる機会や挑戦する習慣を逃すことにもつながると思います。このままでは中学生・高校生と成長するにつれて東村以外の人にどんどん置いていかれてしまう。そうならないように友だちに気づいてもらいたい。だから、周りの友だちを変えられるように、まずは自分が見本になると決めました」



お母さんに連れられて、小さいころから北部以外で開催されるイベントに参加し、さまざまな体験や新しい情報を知る機会が多かった経験から、情報を集めることの大切さを知ったと言います。

特に、小学校入学前に参加したIT企業が開催するイベントで、ゲームがプログラミングによって出来ていることを知り興味をもったことで、プログラミング学習言語の「Scratch」や手のひらサイズの超小型コンピュータ「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」「IchigoJam(イチゴジャム)」を使って、独学でプログラミング学習を続けていたそうです。

そのような日々を過ごす中で、小学校で配布された「CA-Frogsキッズプログラマー特待生」のチラシを見て、応募を決めた結葉さん。自身が想像していた以上の新たな気づきや学びの中から成長を感じられる日々が始まりました。

「ロジカルな思考が身についた」



結葉さんはじめ特待生に選ばれた子どもたちは、那覇市にあるTech Kids Schoolに毎週通いながら、プロも使うApple社の開発ツール「Xcode」を使ったiPhoneアプリ開発や、HTMLやJavaScriptを用いたWebアプリ開発に挑戦することになります。

大人が黒い画面に向かって黙々とする印象とは違い、Tech Kids Schoolでは明るく賑やかな空間で、カラフルなポロシャツを着たメンターのサポートを受けながらプログラミングを学びます。自分のペースで学ぶ自学自習スタイルをとり、「開発タイム、スタート!」という楽しげな掛け声が響きわたる空間は、学校や学習塾とは少し違った環境と言えるでしょう。

―特待生として通いはじめた結葉さんに、Tech Kids Schoolの印象と自身に起きた変化を聞いてみました。

結葉さん

「Tech Kidsのメンターさんは、分らないところは1つずつ説明してくれて、私がちゃんと理解しているか確認してくれるし、何よりメンターさん全員が明るくて話しやすいです。東村から通うのは大変だけど、同じ小学生がいっぱいいる教室で学習できるのが嬉しくて毎週通うのが楽しみです」

「プログラミングをするようになってからは、自分がロジカルな思考になってきていると感じています。例えばプログラミングを学ぶ前は、学校の先生から『プリントをノートに貼ってください』と指示があったとき、深く考えずに適当に貼っていました。だけど今は、具体的に物事を考えるようになったことで、同じ先生の指示でも『どのページに貼る必要があるのか』と考えるようになりました。何か行動するときも『先を考えた結果、今何をしないといけないのか』など、当たり前のことかもしれないけど、しっかり考えることで自分の行動が変わってきている気がしています」




そもそもプログラミングは、1文字でも入力間違いや半角や全角の違いがあるとプログラムは正常に動作しません。そのため、間違えた入力をした場合は、何が原因で正常に動かないのかを自分で考え解決することが求められます。

そのような状況を何度も経験するプログラミング学習では、結果として物事を論理的に考える思考が身につくことになります。それが自身の生活にも反映されていくことで、常にロジカルな思考で物事を考えられる人に育つのです

新たな気づき「自己満足では使ってもらえない」

7月から学習をはじめて5カ月が経った結葉さんは現在、12月17日に開催される成果発表会「LEAP DAY」に向けて、オリジナルiPhoneアプリの企画・開発を行っています。どのようなアプリを開発しているのか聞いてみました。


結葉さん

「ベジタリアンの人向けにお店を構えて料理をしているシェフや一般の人向けに、ベジタリアンの種類を知ってもらったり、代替食品の提案をしたりするiPhoneアプリを開発しています。2020年に開催されるオリンピックでは、多くの外国人が来日するので、外国人にも使ってもらえるように、英語と北京語(繁体字)でも表示できるようにしています」

「私も家族もずっとベジタリアンの生活をしていますが、ベジタリアンの食生活を理解してもらえないことが一番の悩みです。お母さんの知り合いには、年齢も国籍も違うベジタリアンの人がいっぱいいます。アプリを考えているときに、その人たちにいろいろな質問をすると、私たち家族と同じ悩みが多いことを知りました。『ベジタリアン=肉や魚を食べない』と思っている人は多いと思いますが、根菜類を食べない人や、フルーツ系しか食べない人など、実はいろいろな種類があるんです」

自身が困っていることだけではなく、ベジタリアンの知り合いにもさまざまな質問をしたことで、アプリの必要性を確信し開発を進めている結葉さん。困ったことや苦労していることはあるのでしょうか。

結葉さん

「このアプリを作るときに、最初は自分が欲しいと思った機能をいれようと考えていましたが、お母さんやメンターさんに話をしたときに、全く違う機能が必要なことに気付きました。そういうことがあって、アプリを作るときには使う人の気持ちをしっかり考えて作る必要がある、自分が作りたい物だけを作ってもダメだということを知ることができました。そういう面でもオリジナルiPhoneアプリの開発はとても難しかったです」


普段何気なく使っているアプリやサービスも、それらを開発している人は、利用者がどういうものを求めているかをしっかりイメージし、綿密な調査を重ねながら開発されています。

憶測や主観的な考えではなく、利用者の立場になってサービスを考えることは大人でも難しいことです。そのような経験を小学生で体験し、考えて行動できることは大きな財産になります。



周りに影響を与えられる人に!

冒頭でもご紹介したように、「周りの友だちを変えられるように、まずは自分が見本になる」と決めている結葉さん。特待生としてプログラミング学習に挑戦していることについて、友だちへ影響を聞いてみました。

結葉さん

「友だちに特待生になってプログラミングを学んでいることや、私が載っているLEAP DAYのチラシを友だちに見せたことで、興味を持ってくれる友だちが多くなりました。『結葉すごいね!』とか『最近プログラミングどう?』とか声をかけられることもあるし、特待生の制度に興味を持ち始めた友だちもいます。そういう友だちを見ると、少しずつだけど周りを変えることができている気がしています」

「だけど、それで満足するんじゃなくて、特待生が終わってもプログラミングを続けたいと思っています。来年か再来年にはRyukyufrogs生になって、挑戦している姿をまた友達に見せたい。小学生で凄いことしても、その後何もしていなかったら意味がないから、継続的に周りの人に影響を与えられるようになりたいです」



―最後にLEAP DAY当日に来場する人や友だちに向けて、意気込みを聞いてみました。

結葉さん

「多くの人にベジタリアンのことを知ってもらいたいし、自分がつくるアプリのことも知ってもらいたいと思っています。そのために、『凄い!』と思ってもらえるプレゼンテーションをして、大人やRyukyufrgsのお兄さんお姉さんを驚かせたいです。もちろん友だちにも挑戦している姿をしっかり見せたいので、みなさん絶対来てください!」

小学生ながら、高い視点と行動力で取り組んできた結果、これまで以上に大きな一歩を歩み始めています。

熱い想いと言葉でインタビューに答えてくれた結葉さん。一見、成し遂げることが不可能にも思えることにも、信念をもって突き進んでいるからこそ、友だちだけではなく多くの人を変えてくれるような気がしました。

結葉さんが登壇する「LEAP DAY」は12月17日(日)です。

世の中を変えようとしている結葉さんの挑戦を、ぜひ応援してください。

 

◇LEAP DAYの参加申し込みはコチラから

※(1)CA-Frogsキッズプログラマー特待生

学習意欲の高い沖縄県内の小学生を対象に、沖縄の未来を担うハイブリッド人財を育成・輩出することを目的とした特待生制度。選ばれた小学生はApple社の開発ツール「Xcode」を使ったiPhoneアプリ開発や、HTMLやJavaScriptを用いたWebアプリ開発を半年間計100時間のプログラミング学習を無償で受けることができる。Tech Kids School沖縄那覇校を運営するシーエー・アドバンスと、中学生~大学生を対象に米国シリコンバレー派遣研修などのプログラムを実施するRyukyufrogsが2015年に設立し、2015、16年度で計4人の小学生を育成している。

(次回は12月13日に掲載します)



― 執筆者プロフィール ―


Tech Kids School 沖縄エリア統括責任者 中山拓也(なかやまたくや)

沖縄県糸満市出身。自身も子どもを持つ2児の父親。沖縄の子どもたちを取巻く様々な格差からくる成長の機会損失が多い現状を変えたいと思っている。未来を担う子ども達に「無限の可能性と希望」を伝えるべく奮闘中。

小学生のためのプログラミングスクール「Tech Kids School」を運営しながら、未来を生き抜くために必要とされるプログラミング教育の提唱や、家庭環境に関係なく子どもたちへ学習の機会を創出するため、沖縄県内の企業や大学と連携した取組みも行っている。

▼Tech Kids Schoolの詳細はこちら
http://techkidscamp.jp/school/





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