プロも驚きのスキルと発想! 沖縄の小学生がアプリ開発(2)

  • 沖縄県全体
このエントリーをはてなブックマークに追加

◇CA-Frogsキッズプログラマー特待生3期生インタビュー【子どもの未来を拓くプログラミング教育@沖縄(11)】

2020年から小学校で必修となるプログラミング教育の話題をTVや新聞でよく見かけるようになり、沖縄でもプログラミングを学ぶ子どもたちが増えてきました。前回(沖縄の小学生がアプリ開発(1)多言語対応で「ベジタリアンを支えたい」)に続き、オリジナルアプリの制作に挑む沖縄の小学生の取り組みを紹介します。

2人目に登場するのは、沖縄本島中部の中城村に住む小学5年生の伊佐森智さん。電子機器やコンピュータを制御するプログラミングの魅力に惹かれ、将来はエンジニアを目指しているというプログラミング暦5年のつわものです。
 


PROFILE
伊佐 森智(イサ モリト)
中城村立中城南小学校5年生
得意教科:理科・算数・国語
趣味:プログラミング・バレーボール
好きな食べ物:家で食べるラーメン


主体的に行動する原動力は飽くなき『探求心』


半年間で計100時間のプログラミング学習を無償で受けることができる「CA-Frogsキッズプログラマー特待生(※1)」に選ばれ、Webアプリを学習している森智さん。趣味は「プログラミング」と答えるほどプログラミングにのめり込んでいます。

小学1年生の時に、電力会社が開催するイベントにお母さんと参加したことがきっかけでプログラミングの存在を知ります。電子機器やコンピューターがプログラミングによって動いていることを知り「自分でも作ってみたい!」と思ったそうです。

当時は小学生がプログラミングを学べる場所がなく、イベントの時に知ったプログラミング学習言語「Scratch」を独学で学習し始めたそうです。初めはScratchを紹介している本を購入して学習したり、Scratchが触れるイベントに参加したりするなど、夢中になってプログラミング学習を続けていたそうです。

1日に2時間近くプログラミング学習をすることもあるという森智さんは、小学5年生の時にプロも使っているMicrosoft社の開発ツール「Visual Studio(ビジュアルスタジオ)」の本を見つけ、「面白そう!」と思い購入しました。なぜ新しいことにチャレンジしようと思ったのでしょうか。 

森智さん
「Visual Studioはタイピングが必要になるから大変そうと思ったけど、それ以上にScratchにはないチェックボックスとかラジオボタンとかの機能があるので、そういう機能を使ってもっとできることを広げたいと思う気持ちの方が強かったです。Scratchはタイピングがないから始めやすかったけど、最近はそれが面倒と感じることも多かったし、Scratchで自分のアイデアを実現するのに限界も感じていました。」



年々探究心が増し、プログラミング学習に励んでいた森智さんですが、独学で学習していたこともあり、本を読んでも分らないことやバグが出て困ってしまうこともよくあったそうです。そんな時は、Webを使って調べたい動きの機能やバグの意味を調べたり、新たに本を買うことで不足している知識を補うなど、自分の力で解決できるように取り組んでいたと言います。

実は、プロのエンジニアも新しい知識を習得したい場合、誰かに教わることなく自分で調べて勉強し、経験を基に新しい知識やプログラミング言語を習得します。独学で勉強していた森智さんは、分らないところは自分で調べないと解決できない環境が常にあったことで、その手法が自然と身についているのです。

プロと同じ環境で開発を始めて5カ月経ったころ、小学校で配布されたチラシを見て応募を決めた森智さんは、「Webサイトの作り方が学べたら、いろいろなWebサイトを真似して作ることができるかもしれない」と思うとワクワクが止まらなかったそうです。

特待生になって得られたこと


特待生に選ばれた森智さんは、HPなどでも使われているHTMLやJavaScript、CSSを学習し、Webブラウザ上で動くアプリを開発しています。Tech Kids Schoolに通うことで、分らないことやバグが出たときなど、一人で解決するには時間がかかることもメンターに確認できるので学習がはかどっているようです。

メンターはパソコンの操作方法やエラーが出たときのWebでの調べ方などを教えてくれ、一人一人に向き合ってくれることから、「独学で学んでいたころより学びが多い」と言います。

―プログラミングをしっかり教えてもらうことで、自身に起きた変化を聞いてみました。

森智さん
「Webアプリを学んでいるので、ホームページなどの仕組みが気になるようになりました。職業病じゃないけど、ホームページ上で右クリックして使われているコード(※1)とかを見るようになっています(笑)。Webサイトは普段よく見るものだから仕組みが気になるし、実際に見て知っているコードや新しいコードを見ています」
※1.Webページ上で、右クリック⇒「検証」の順で押下することで確認できます





それ以外にも、エレベーターのボタンが押されたときのアルゴリズムも気になっているという森智さん。人が別の階で待っている場合や、よく使われる階のさまざまな情報を、どのような順番で最適化しているのかが気になるなど、物を見る目が変わったそうです。

プログラミングを学ぶということは、世の中を便利にしている仕組みを学ぶことでもあります。そのような視点を持つことで「これはテクノロジーを活用したらもっと便利になるんじゃないかな?」など新しいアイデアが生まれるきっかけを増やすことができます。

サービスを作り出す苦労を知ることができたオリジナルアプリ開発


7月から特待生として学習を始めて5カ月。現在12月17日に開催される成果発表会「LEAP DAY」に向けて、オリジナルアプリの企画・開発を行っています。どのようなアプリを開発しているのか聞いてみました。

森智さん
「全国の都道府県をRPGゲーム感覚で覚えるクイズアプリを開発しています。僕や学校の友だちも地理が苦手な人が多くて、テストの時はとても苦労しました。地理だけに限らないけど普段の勉強も、ゲーム感覚で覚えられるようにしたら覚えやすいと思ったので楽しんで覚えられるようにしています」

「日本全図を完成させた伊能忠敬をモチーフにしながら、都道府県や特産品や県庁所在地などを3択クイズで覚えられるようにしています。地球上にいるロボットが都道府県を回ってエネルギーをチャージするなど、よりゲーム感を出すためのストーリーを考えました」

―オリジナルアプリ開発をする過程であった苦労を聞いてみました。

森智さん
「47都道府県に問題を設定したので、プログラミングの量が多く苦労しました。コピー&ペーストも使って作業を短縮しましたが、1県370行ぐらいコードを記述するので、47都道府県で約17,000行近くになります。それに、沖縄県のボタンを押しているのに青森県の問題が出てきたりするなど、上手くできたと思ってもどこかにバグがあるので、それを探して直す作業が大変でした」

普段身の回りにあるアプリなど、仕組みの理解はできてもそれを実際に作るときの苦労というのは、サービスを開発した人しか分らないものがあります。そのような意味では、今回実際にアプリを開発する側に回ったことで、サービスを作る人の苦労を体感することができた森智さん。また一つ大きな経験を積むことができたのではないでしょうか。

これから

―将来エンジニアを目指している森智さんに、どういうものを作りたいと思っているのか聞いてみました。

森智さん

「災害や原子力発電所など人が入れないところや危険なところで活躍できるロボットを作りたい。今は人型やヘビ型など、少しずつ進化していろいろな種類のロボットがあるけど、もっといいものが作れると思う。一気に進化させられるような人になりたい。そのためには、もっとプログラミングに詳しくならないといけないし、電子工作やロボット作成もしないといけないと思っています」

―最後にLEAP DAY当日に来場する人や友だちに向けて、意気込みを聞いてみました。

森智さん

「開発しているオリジナルアプリだけではなく、プログラミングのことを知ってもらって好きになってもらえるように頑張ります! 作ったアプリを『使いたい!』と思ってもらえるように、プレゼンテーションにも力を入れているので絶対見にきてください!」



物事の考え方やプログラミングに対する取り組み方が、既にプロのエンジニアと変わらないほどの森智さんなら、プログラマーとして大きく活躍してくれる気がします。

森智さんが登壇する「LEAP DAY」は12月17日(日)です。

◇LEAP DAYの参加申し込みはコチラから

※(1)CA-Frogsキッズプログラマー特待生

学習意欲の高い沖縄県内の小学生を対象に、沖縄の未来を担うハイブリッド人財を育成・輩出することを目的とした特待生制度。選ばれた小学生はApple社の開発ツール「Xcode」を使ったiPhoneアプリ開発や、HTMLやJavaScriptを用いたWebアプリ開発を半年間計100時間のプログラミング学習を無償で受けることができる。Tech Kids School沖縄那覇校を運営するシーエー・アドバンスと、中学生~大学生を対象に米国シリコンバレー派遣研修などのプログラムを実施するRyukyufrogsが2015年に設立し、2015、16年度で計4人の小学生を育成している。

(次回は12月14 日に掲載します)



― 執筆者プロフィール ―


Tech Kids School 沖縄エリア統括責任者 中山拓也(なかやまたくや)

沖縄県糸満市出身。自身も子どもを持つ2児の父親。沖縄の子どもたちを取巻く様々な格差からくる成長の機会損失が多い現状を変えたいと思っている。未来を担う子ども達に「無限の可能性と希望」を伝えるべく奮闘中。

小学生のためのプログラミングスクール「Tech Kids School」を運営しながら、未来を生き抜くために必要とされるプログラミング教育の提唱や、家庭環境に関係なく子どもたちへ学習の機会を創出するため、沖縄県内の企業や大学と連携した取組みも行っている。

▼Tech Kids Schoolの詳細はこちら
http://techkidscamp.jp/school/





前の記事「普天間」で育った記者が、全国の...
次の記事「あったらいいな」が生んだもの ...