うまみと甘さ 包み込む おからのイリチーと蒸し菓子

  • 南部
このエントリーをはてなブックマークに追加

 那覇市の繁多川地域は琉球王朝時代から豆腐どころとして知られる。今でも、自治会や公民館を中心に豆腐づくり体験が盛んに行われ、12月を「豆腐の月」と定めているほどだ。そんな繁多川に暮らして約40年の宮里洋子さん(71)が、おからを使った2品、イリチー(炒め煮)と伝統菓子アガラサーをもじった「オカラサー」を教えてくれた。体重が気になる年末年始。ヘルシーで腹持ちのいいうれしいメニューだ。


具だくさんのおからイリチーを仕上げる宮里洋子さん=18日、那覇市繁多川

 おからイリチーは友人たちにも人気という宮里さんの得意料理で、ポイントは「玉ネギの甘さと、味付け三枚肉から出るうまみ」だそう。だしの代わりにみそ汁の上澄みを使うのも宮里さん流。味付けはシンプルながら、キクラゲとモヤシのしゃきしゃきとした食感やニラの風味がおいしさを倍増させ、食べ応え十分だ。

 「オカラサー」のコツは「蒸している間、絶対にふたを開けないこと!」と宮里さん。目安の30分がたってふたを開けると、表面はしっとり、ふかふかに膨らんだオカラサーが湯気の中から現れた。温かいうちに口に運べば、もっちりした弾力と黒糖の優しい甘さが広がる。どこか懐かしい味に自然と笑みがこぼれる。

 宮里さんは5人きょうだいの2番目で長女。終戦直後の台湾で生まれてすぐ一家は沖縄へ引き揚げ、那覇で育った。26歳で結婚を機に専業主婦に。「台所に立ったらいつまでもいる。何時間でも苦にならない」という料理好きは母・芳子さんの影響だ。「料理上手で手間を惜しまない人だった」という母を手伝ううち、料理の楽しさを覚えた。




 宮里さんは那覇市食生活改善推進員協議会(食改)に入会して24年になり、2014年からは2度目の会長を務めている。会員約120人の大所帯。ぐいぐい引っ張るタイプではなく「人の話を聞くのが好き。食改の縁でたくさんの友達ができたし、周囲の仲間に恵まれている」と穏やかな人柄で会をまとめる。

 月3回は繁多川地域ふれあいデイサービスで「十人力の相棒」という与儀繁子さんとおやつ作りを担い、毎月第4金曜には食改メンバーや自治会の人と「勉強会」も開く。雑誌や新聞で気になるレシピがあればせっせと切り抜いてファイルにつづり、料理上手な人を見ると「どうやって作るの?」と聞いて実践する。「人から習うのが好き」という宮里さんの好きな言葉は「万象は我が師」。身の回りに起こることは全て自らを教え導く師匠である―。「おいしい」の笑顔のため、今日も宮里さんは腕を磨く。


文・大城周子
写真・大城直也


おからイリチー(手前)と黒糖風味の蒸し菓子「オカラサー」


おから

 豆腐をつくる過程で、煮た大豆をすりつぶして搾った際に出た搾りかすが、おから。残りの豆乳ににがりを加えて固めると豆腐になる。

 おからは別の呼び名に「うの花」などがあり、方言ではトーナカシー、トーフヌカシー(豆腐のかす)という。





(2017年12月26日 琉球新報掲載)



前の記事琉球新報Style編集部セレクト...
次の記事二宮和也に一問一答「願いが叶うな...