子どもの可能性を拓くスキルはコレだ

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◇【子どもの未来を拓くプログラミング教育@沖縄(13)】



「小学生がプログラミングを学ぶ必要があるの?」 

そんな疑問を一気に吹き飛ばしてしまう3人の小学生がいます。CA-Frogsキッズプログラマー特待生(※1)として約半年間、計100時間にわたってプログラミングを学び、オリジナルアプリを開発した沖縄の子どもたちです。2017年12月17日には人材育成イベント「LEAP DAY(リープ・デー)」に登壇し、国内外の第一線で活躍する起業家や投資家らを前にプレゼンテーションも経験しました。プログラミング学習を通し、彼らは何を学び、何を得たのでしょうか?

国内外の人が注目する”LEAP DAY”とは?

LEAP DAYは、CA-Frogsキッズプログラマー特待生の共催団体Ryukyufrogsが主催する、沖縄からイノベーションを発信していくショーイベントです。

イベントでは3人の特待生以外にも、中学1年生から大学3年生で構成されたRyukyufrogs9期生のサービスプレゼンや、国内・海外の第一線で活躍する起業家や投資家たちによるコラボセッション、沖縄の伝統文化を継承しながら進化を続けるスーパーパフォーマンスなど、注目の内容が目白押しです。9回目を迎えた今年は500人の定員を超える来場があり、会場に入りきらない参加者は本会場の中継をするサテライトホールで参観するなど、過去最高の約630人が集まりました。



ベジタリアンでも楽しめる日本へ!「Veg-菜」


オープニングではイベントを盛り上げるパフォーマンス集団による踊りや、国内外から来沖したスペシャルゲストの皆さんが「起業家育成の課題と未来」や「東京のスタートアップ事情と成功事例」などをテーマにしたトークセッションがあり、会場の雰囲気は常に最高潮です。

特待生のトップバッターでプレゼンテーションをしたのは大嶺結葉さん(小学5年生)です。結葉さんが開発したのはiPhoneアプリ「Veg-菜(ベジーナ)」です。周囲の人にベジタリアンを理解してもらうため、ベジタリアンの種類や代替食品を学ぶことができるアプリを開発しました。外国人が飲食店で言葉が通じなくても、自身がベジタリアンということをお店の人やシェフに伝えられるように、多言語で表示する機能などを揃えているなど、世界を意識したアプリになっています。



結葉さん

「2020年、東京オリンピックで多くの外国人が来ます。外国人のなかには野菜を中心に食べるベジタリアンの人が多くいますが、日本にはベジタリアンに対応するお店が少ないです。私と家族もベジタリアンですが、外出先の飲食店ではお母さんがベジタリアンの説明に苦労している姿を見てきました」


「〝Veg-菜〟には4つの機能がついています。1つ目は、今後増えると予想される外国人のために3カ国語対応にしています。2つ目にベジタリアンのことを知らない人にも理解をしてもらうための分類を調べる機能、3つ目は代替食品を調べられる機能をつけています。4つ目は、シェフとのコミュニケーションに使える機能をつけました。ベジタリアンの人もそうでない人にも使ってもらえるように考えて設計しましたが、今後はレシピも載せるなどより使いやすいように改良したいと思っています。2020年に向かって、ベジタリアンでも楽しめる日本にするために、私はこのアプリを作り続けます」とプレゼンテーションしました。

冒頭から、自身の経験課題と世界を見据えた視点で話す姿は、小学生がプレゼンテーションをしていることを忘れさせるほど会場の注目を集めました。さらに、今回開発したアプリに満足することなく、今後も継続的に開発を続けることを宣言したことで、小学生とは思えない意志の強さを見せた結葉さん。

LEAP DAYでは、国内・海外から招待された一流のゲスト陣からフィードバックをもらえる貴重な場でもあります。

 

(コメント)

☆澤円氏(日本マイクロソフト株式会社 マイクロソフトテクノロジーセンター センター長)

「ゲスト全員から感嘆の声が腹の底から出ていました。プレゼンテーションで大事なのは『相手が行動したくなるか』ということです。今回のプレゼンテーションはここにいる全員が使いたくなるようなもので、とても素晴らしかったです」

☆吉田大氏(ブラックベルト・リーガル弁護士法人 代表弁護士)

「世界で挑戦できるアプリだと思います。小学校や地域にはベジタリアンが少なくても、日本全土で1,000人単位になる、世界に目を向けると数十万人になります。マイノリティーは地域だと絶対数は少ないが、世界には多くの仲間がいる。そういう人たちをアプリを通して繋げることができるので、世界に挑戦できる可能性を秘めていると思います」


勉強を楽しく学ぶ「IT日本一周」

特待生2人目のプレゼンテーションは、伊佐森智君(小学5年生)です。森智君が開発したのはWebアプリ「IT日本一周」です。全国の都道府県名や県庁所在地などをゲーム感覚で覚えられるよう開発されたアプリは、日本地図を歩いて作った伊能忠敬の頭文字から「IT日本一周」としています。覚えるのが大変な勉強でもやり方を変えることで楽しく覚えられるように、との視点で創られています。



森智さん

「みなさん、小学校で習う都道府県を全て覚えている人はいますか? 小学生に聞いても『覚えるのが面倒』などの理由でほとんどの人が覚えていませんでした。しかし、子どもはゲームが好きなので、苦手な勉強をゲームで覚えられるように、IT日本一周というアプリを作成しました」


「ゲームを始めると各都道府県の県庁所在地や特産品などを覚えられるように、その県にちなんだ県庁所在地のほかに、有名な観光地や動物など3つのクイズが出てきます。全ての県をクリアすると伊能忠敬が去っていく場面を作るなど、ゲーム性も取り入れています。アプリの特徴として『楽しく都道府県を覚えられること』と『県庁所在地などが出てくるので都道府県に詳しくなれること』。このアプリを使って都道府県マスターになってください」とプレゼンテーションしました。

小学生として感じる課題を、子どもが好きなゲームと組み合わせることで解決する発想は子どもらしくも、プレゼンを見ている人は「自分の出身地はどんな問題が出てくるんだろう?」と興味をそそるプレゼンテーションになりました。年齢関係なく遊びながら学べる内容は、勉強を始めるきっかけとして今後の発展も期待できる発表になりました。

(コメント)

☆ブラントンK.ヒル氏(Founder and CEO, btrax,inc.

「私はアメリカ人ですが、アメリカ人の大半はほとんどの州を覚えていないです。(笑)世界地図として広げるのであれば、アメリカの州版や中国版、ヨーロッパの国版など、アプリのベースを変えなくても拡大させやすい内容だと思いました」

☆井上浄氏(株式会社リバネス 取締役副社長 CTO

「アプリのゲーム画面を見ていると、地図以外にもいろいろな勉強を楽しくやる方法があるんじゃないかなと思いました。私の仕事の分野の細胞など(笑)どの分野にも応用が効くと思うので、ぜひ違う分野へも挑戦してアプリを作ってほしいと思いました」


親子がつながるコミュニケーションアプリ「スマイルキャッチ」

最後に登壇したのは新垣聖咲さん(小学6年生)です。聖咲さんが開発したのはiPhoneアプリ「スマイルキャッチ」です。“親が聴覚障がいで子どもは聞こえる”という場面と“子どもが聴覚障がいで親は聞こえる”という場面を想定して開発されたアプリです。肢体や言語に障がいがある親戚のおばあちゃんとの関わりから、言語によるコミュニケーションの難しさを感じたことで、そのような悩みを持つ人たちの助けになりたいと思い作られたアプリです。



聖咲さん

「みなさんには、身体が不自由な方が身近にいますか? 私の親戚には身体が不自由なことで、勘違いやコミュニケーションに苦労されている人がいます。私は、そのような人たちから耳が不自由な人の話を聞きました。耳が聞こえない親と幼い子どもではコミュニケーションが難しいという話を聞いたことで、その課題を解決するためのアプリを開発しました」


「『スマイルキャッチ』は耳が不自由な親子のコミュニケーションをスムーズに行うアプリで、親用と子ども用の2つの機能をつけています。親用の機能には、常識や基本的なマナーを教えられるように『ありがとう・ごめんね・おねがい』の例え話を入れています。伝えたことを子どもができた時には『できたボタン』を押すと星が付くようになっています。子ども用の機能には、かわいいイラストと私の音声を吹き込んでいるので、幼い子どもが楽しく使えるようにしました。親子のコミュニケーションの手段として、もっともっとお話するきっかけとしてスマイルキャッチを使ってください」とプレゼンテーションしました。

 

〝聴覚障がいがある人とのコミュニケーション〟を解決するためのプレゼンテーションで聴衆の心をつかんだ聖咲さん。テクノロジーが発展している現代だからこそ実現できたアイデアに、来場者自身も人々が社会課題について考えさせられたように感じました。

(コメント)

☆仁禮彩香氏(株式会社Hand-C 代表取締役社長)

「心の温かさが伝わる素晴らしいプレゼンテーションでした。プログラミングを学ぶのではなく、やりたいことや心が動いた時に、それを実現するためにプログラミングを学ぶことはとてもいいと思います。小学生でその経験できることが素晴らしいことなので、ぜひこれからもいろいろな想いを表現できるよう挑戦してください」

☆永田暁彦氏(株式会社ユーグレナ 取締役 財務経営戦略担当 リアルテックファンド代表)

「『不自由は特徴』だと思っています。社会は人それぞれの特徴を引き出すことでどんどん良くなると思います。そのためには人と人のコミュニケーションがより密になることが必要です。このスマイルキャッチというツールの延長線上には、社会が変わる新しい可能性があると感じたので、これからも応援しています」


世の中に発信したことで得られたこと


小学生がプログラミングを学ぶ必要があるのか疑問に思う方も多くいると思いますが、子どもだからといって、子どもだましのような環境を与えるのではなく〝プログラミングを武器として扱う方法を教える〟ことで、子の可能性は大人の想像を超えて高まると思っています。

そういう意味でも、半年間にわたり大人と同じ環境でプログラミングを学び、オリジナルアプリを開発し、大勢の前で自分のアイデアや思いを発信したことで、3人は大きな転機を迎えたとともに、彼ら彼女ら自身に大きな変化が起き始めています。

例えば、ゲストだけではなく参観されていた多くの大人から「小学生とは思えない素晴らしいプレゼンテーションでした」「熱意や思いが伝わってきました」などの感想を多くいただことで、今後の活動も注目されることでしょう。さらに、当日の特待生のプレゼンテーションの様子がSNS等で情報を発信されたことで、日本各地のメディアから取材の問い合わせも寄せられています。

学びの成果をオリジナルアプリというカタチにし、大きな舞台でプレゼンテーションした3人からは「達成感がすごい」「これからさまざまなことに挑戦しても乗り越えられる気がする」などの声が上がっています。特待生としての活動が一区切り付いたことで、早くも「刺激がほしい」と思い始めているようです。彼らならこれからも、より多くの人のためになる活動をしていくと確信しています。

昨今、プログラミング教育がブームとなっていますが、プログラミング教育はおもちゃでも単なる習いごとでもありません。自分のアイデアを形にするためのツールであり、これから生き抜く上で必要な手段です。大人と同等の環境でプログラミングを学ぶことで、大人になるのを待たなくても同じ土俵で闘える力を得ることができて自分の夢も叶えられます。

これから誰も経験したことがない時代が訪れるからこそ、既存の枠にとらわれずに子どもの可能性を信じてチャンスの場をつくっていく―。そんな環境が広がることで、明るい未来を創っていけると思っています。

今回ご紹介した3人の子どもたちのように、自らのアイデアを自らの力で形にできる人が、これからの沖縄、そして世界を変える人になると信じています。




※(1)CA-Frogsキッズプログラマー特待生

学習意欲の高い沖縄県内の小学生を対象に、沖縄の未来を担うハイブリッド人財を育成・輩出することを目的とした特待生制度。選ばれた小学生はApple社の開発ツール「Xcode」を使ったiPhoneアプリ開発や、HTMLやJavaScriptを用いたWebアプリ開発を半年間計100時間のプログラミング学習を無償で受けることができる。Tech Kids School沖縄那覇校を運営するシーエー・アドバンスと、中学生~大学生を対象に米国シリコンバレー派遣研修などのプログラムを実施するRyukyufrogsが2015年に設立し、2015、16年度で計4人の小学生を育成している。



― 執筆者プロフィール ―


Tech Kids School 沖縄エリア統括責任者 中山拓也(なかやまたくや)

沖縄県糸満市出身。自身も子どもを持つ2児の父親。沖縄の子どもたちを取巻く様々な格差からくる成長の機会損失が多い現状を変えたいと思っている。未来を担う子ども達に「無限の可能性と希望」を伝えるべく奮闘中。

小学生のためのプログラミングスクール「Tech Kids School」を運営しながら、未来を生き抜くために必要とされるプログラミング教育の提唱や、家庭環境に関係なく子どもたちへ学習の機会を創出するため、沖縄県内の企業や大学と連携した取組みも行っている。

▼Tech Kids Schoolの詳細はこちら
http://techkidscamp.jp/school/





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