受験生、応援してみた。→「サクラ咲け」と切に願った。 「てみた。」27


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 全国に先駆けサクラが花開く沖縄の1月。もう一つの風物詩といえば、学校や学習塾、図書館で懸命に勉強している受験生の姿だ。

 試験に向けて栄養や睡眠、心の健康は十分ですか? 来る春にあなたのサクラも咲くようにとの願いを込めて、受験生を応援してみた。

腹が減っては受験はできぬ
 

 塾から帰宅後に夕食を食べたり、ついつい夜食が多くなったり、受験生は食生活が崩れがち。忙しい受験生でも簡単に作れて栄養満点の「勝負飯」について管理栄養士の上原成未さんに聞いてみた。

おにぎり

 最近の子どもたちは魚由来の脂を取ることが少なく、疲れやすくなっています。サバはDHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富で、記憶力や発想力を高め、脳の活性化を促します。魚を食べると頭が良くなるといわれるゆえんです。野菜はビタミンCを多く含み、ストレスや疲れを和らげる効果があります。ゴマのビタミンEには抗酸化作用があり、ストレスが原因で体内にたまってしまう活性酸素を除去します。

 

かちゅーゆ

 みそは受験生にお薦めの調味料。夜は疲労回復と胃腸の働きをよくして、翌朝の便通のサポートをします。朝は活動するエネルギーのスイッチを入れて、記憶力や集中力をアップする働きがあります。梅干しには疲労回復と消化機能を整えるクエン酸が含まれています。他にも、かつお節はタンパク質、煮干しはカルシウムを含み、成長期の子の体をつくるので、ぜひ食べてほしいです。
 

栄養満点!簡単!

かちゅーゆ&サバ缶おにぎり

 かちゅーゆー

【材料】

(1)梅干し … 1個

(2)かつお節 … ひとつまみ(お好みで)

(3)みそ … ティースプーン山盛り1杯

(4)煮干し … お好みで

(5)お湯 … 茶わん1杯
 

【作り方】

1.(1)~(4)をお茶わんに入れる

2.お湯をお茶わんに注ぐ

3.みそが溶けるまで混ぜたら完成

プレビュー サバ缶おにぎり

【材料】

(1)ご飯 … おにぎり2個分(約250グラム)

(2)サバ缶(水煮) … 1個

(3)野菜 … お好みで(例:カラシナの場合1/2束、大根の場合約80グラム)

(4)ゴマ … お好みで

【作り方】

1.塩漬けにしておいた葉野菜をみじん切りする(大根の場合は、千切りしたものを塩もみし、水で洗い流して使う)

2.お茶わんに入ったご飯にサバ缶を手でほぐしながら加える

3.みじん切りした葉野菜を入れ、軽く混ぜ合わせる

4.ゴマを加えて、混ぜ合わせる

5.お好みの大きさでおにぎりを作る
 

 

「お好みでごま油を加えると、風味がでてお薦めです。」

レシピ監修・上原成未管理栄養士

呼吸整え ほっとひと息
 

1浪して琉球大学に入学し、琉球新報の入社試験に3回挑んだ元受験生のまぁす記者。受験に役立つ精神の強さを求めて、琉球新報の保健師でヨガインストラクターの仲本久乃先生にヨガを教わろうと思い立った。

伸ばした三角のポーズに挑むも、体も心もグラグラと不安定なまぁす記者(手前)

 「『息』って自らの心って書くでしょう。心を静めて集中力を高めるには息を意識しなくちゃ」

 確かに、緊張すると息は早くなり、心臓もバクバク。ゆったりした気分のときは呼吸も緩やかだ。ヨガマットの上で胸に手を当てて、静かに呼吸をしてみる。繰り返すと何だか体が温かく気持ちが落ち着いた。

 仲本先生は「極度に緊張しがちな受験でも、リラックスをすれば集中状態をつくり、非常に高いパフォーマンスを発揮できます。ヨガは受験に有効です」と語る。受験する時間帯に集中のピークを持って行けるようにヨガを生活に取り入れ、体内リズムを整える。受験当日の朝、呼吸法に取り組めば不安や緊張に押しつぶされずに臨めそうだ。

 ヨガのポーズはいずれも、吸って吐いてを3回ほど繰り返す。安楽座やしかばねのポーズは5分ほど続ける。まぁす記者もポーズに挑んだが「あがっ。きつい」とすぐに音を上げた。

受験に役立つヨガ

プレビュー 安楽座(スカアーサナ)

あぐらをかいて、背筋をピンと伸ばし、瞳を閉じ、呼吸を意識する。膝の上に手を置き、鼻から吐いて、鼻から吸う。
 

プレビュー 木のポーズ(ヴルクシャーサナ)

バランス力と集中力が高まる。心が安定する。朝にオススメ!
 

プレビュー しかばねのポーズ(シャバーサナ)

ただ寝るだけだけど、意識を内側に向け、足先から緊張が抜ける。寝る前がオススメ!

寝る子はデキる
 

 睡眠は受験生の大きな悩みの一つ。徹夜の勉強や緊張で眠れなくなっている人はいませんか? 試験当日まで、バッチリさえた頭で勉強しよう。嬉野が丘サマリヤ人病院(南風原町)で睡眠外来が専門の山城義広院長に、良い睡眠がもたらす効果について聞いてみた。

 寝不足が積み重なると活動の能率が落ちてしまいます。眠ることで記憶は定着するので、徹夜の勉強は逆効果です。十分な睡眠時間は人それぞれですが、成長期の子たちはおよそ8時間から8時間半ぐらい。夜はぐっすり眠り、昼に活動する集中力を高めましょう。眠る前にカーテンを少し開け、朝日を浴びるとスッキリ起きられます。

 深い睡眠のためには、眠る準備が大切です。まず、光を遮断すること。特にスマートフォンのブルーライトは波長が高く、体内時計を狂わせます。夕飯以降はカフェインを含むコーヒーやお茶などは取らないようにしましょう。お風呂は遅くとも就寝30分前には済ませます。

 不安や緊張で眠れない人は、約40度の熱すぎない温度の湯船に漬かることや体操などの軽い運動をお勧めします。激しい運動などで体温が上がりすぎると眠れなくなります。それでも寝付きにくい人は、好きな音楽を聴いて気持ちを落ち着かせてみましょう。光は睡眠に良くないですが、音はOKです。スポーツや友達とのおしゃべりなど自分なりのリラックス法を見つけて、睡眠の効果を高めましょう。

山城義広さん

 

 良い睡眠の五つのポイント

  1.自分の適切な睡眠時間を探そう

  2.寝る時間と起きる時間を決めよう

  3.就寝1時間前から眠る準備を整えよう

  4.スマホの操作やカフェイン摂取を控えよう

  5.気分転換できるリラックス法を見つけよう

 

34年前の合格祈願グッズは… タマンの頭!?

 昔の受験の雰囲気ってどうだったんだろう。記者が過去記事から調べてみた。すると、34年前の本紙に気になる見出しを見つけた。

 「緊張!15歳の春 タマンの頭も信心から… 合格祈願に魚売れる」。1984年3月16日に掲載された記事だ。記事によると、糸満では「魚の頭を買って祈れば、高校受験の子供たちの頭が良くなって難関突破…」と、魚の頭が願掛け飯だったらしい。

 本当に魚の頭は受験に効果があるのか。同市西崎のお魚センターで聞いてみた。みそ汁用の魚の頭を売っていた喜納政樹さん(35)によると「魚の頭というより目玉が頭に良い。DHAが含まれているから」とのこと。なるほど。頭より目玉なのか。他の店にも聞いてみると「目玉を食べると目が良くなって、頭も良くなるとは昔から言うね」と糸満出身の桑江京子さん(62)。そういえば、十数年前に流行った歌にも「魚を食べると頭が良くなる」というフレーズがあったような…。

 科学的な根拠は分からなかったが、とにかく目玉は体に良さそうだ。受験生の皆さん、試験前の夕飯は魚の頭の煮付けなんていかがでしょうか。

(2018年1月28日 琉球新報掲載)