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子育ては「修行」 100cmの視界から―あまはいくまはい―(17)


この記事を書いた人 仲程 路恵

我が子が2人ともインフルエンザになっちゃいました! 発熱中は心配でたまらなかったのに、熱が下がったらぐずりが始まり、外出ができないのでパワーがあふれ、暴れだす子どもたち。もう大変!

 特に4歳の息子の怪獣具合がすさまじく、物を投げたり、家中をジャンプしたり。注意すると「ママが悪いんだよ」と口答え。彼の言い分もあるのだろうけど、その内容がコロコロ変わるのでついていけない。ご飯、片付け、着替え、ありとあらゆるものを「ママがやってー、ママじゃなきゃ嫌だー」と泣きわめく、蹴られる、たたかれる。無視すると「お話ちゃんと聞いて」と顔をわしづかみにされる。しまいには私も手を上げてしまい、息子はさらに泣きわめく。彼を全然かわいいと思えず、最悪な1週間でした。

 そんな子どもたちとずっと一緒だったので、仕事は進まない、家は汚れる、予定はすべてキャンセルに。イライラするし、体もだるい。夫に八つ当たりをし、けんかになり、さらに悪循環。どこでリセットボタンを押したらいいのか分からない状況でした。

「外出中、機嫌が悪くなると、ママの車椅子で大泣きする息子」(撮影・佐藤健介)

 私にインフルエンザがうつらなかったのはよかったのだけど、「私も病気になって一人ゆっくり眠りたい」と何度思ったことか。今年の私の希望は、週1回、一人で寝ること。だって毎晩、子ども2人に挟まれギュウギュウなのです。そして寝返りをする彼らに蹴られ、何度も起こされます。私が移動しても30分以内には気づき、暗闇の中で私を探し当て寄ってくる2人。恐ろしい才能です。

 インフルエンザの怪獣息子とは家にいるしかないので、アニメ「魔女の宅急便」を見ることに。私は大好きで何度も見ているのだけど、久しぶりに見ると意外なシーンで号泣してしまいました。最初の、主人公・キキの魔女修行への旅立ちです。娘に「私、今日行くことにしたの」と急に言われる両親の気持ちを思うと、胸が締め付けられました。本人が決めたことを一番に尊重したいと思いつつも、心配や寂しさが募るのです。我が家の怪獣たちの旅立ちも、彼らを信頼し、応援したいですが、いざとなったらどうなるのかな。

 子育ては、健康で、元気がいいけれど、そうではいられない毎日。たくさんの人の助けが必要だけど、ワンオペもよくあるこの状況。また、まわりに人がいたとしても「助けて」の一言が言えなかったり、うまく手を借りることができなくて、余計にイライラしたりすることも。楽しさ、幸せもあるけれど、まだまだ試行錯誤、修行のような子育てです。

(次回は2月19日に掲載します)

伊是名夏子

 いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。

 

(2018 年2月5日 琉球新報掲載)