疾走感のあるメロディーに合わせて、ロボットが合体や変形をする。「新しい映画の宣伝か?」と思って見てみると、現れるのは「琉球銀行」の文字。斬新で迫力のあるCMに登場するのが琉銀銀行のイメージキャラクター「りゅうぎんロボ」だ。琉銀が関わるイベントに登場することもあり、その姿を目にしたことがある県民も多いはず。りゅうぎんロボは誕生から現在まで進化を続けている。
タイプはさまざま
りゅうぎんロボのCMを考案したのは琉銀営業統括部で広告やWEBを担当する伊禮真さん(52)。琉銀に関わる多くのCMを生み出してきたアイデアマンだ。りゅうぎんロボの誕生は2002年、ローン商品をアピールするCMの作成が持ち上がったことがきっかけだった。
売り出すのは複数のローンを一本化する商品で、ターゲットは35歳から45歳ぐらいというイメージがあった。「複数の商品の一本化なら合体がいい。30〜40代ならアニメ世代だろうと考えた」と伊禮さんは説明する。そこで生まれたのが、合体型のりゅうぎんロボだった。
その後はトランスフォーム(変形)するりゅうぎんロボも誕生した。自家用車に変形するCタイプ、太陽光発電住宅に変形するSタイプ、リフォーム住宅に変形するAタイプ(アンマーロボ)など、バリエーションはさまざまだ。ロボットの合体や変形という、銀行のイメージとはかけ離れたCMの内容は大きな反響を呼んだ。「いつからロボの番組が始まるのか」という問い合わせがあるほどだったという。
著名人とのコラボも
人気アニメ「機動戦士ガンダム」などの制作に携わるアニメーター、大張正己氏がデザインしたりゅうぎんロボ「グレート☆リュウギーン」も誕生している。大張氏が「りゅうぎんロボを描いてみたい」とツイッターで発信しているのを伊禮さんが見かけて、連絡を取り合ったことでコラボレーションが実現したという。
ドラゴンボールZやルパン三世など数多くのアニメに出演する速水奨氏をCMの声優に起用するなど、豪華なキャストがそろった。伊禮さんは「グレート☆リュウギーンは今までのりゅうぎんロボの兄貴分のような存在なんです」と語る。
県民の守り神
初代の合体バージョンに始まり、著名アニメーターや声優とのコラボ実現など、りゅうぎんロボは着実に前進して県民に浸透している。「りゅうぎんロボは県民を守る琉球の守り神なんです」と伊禮さん。ロボットが登場する通常の物語と異なるのは、倒すべき敵が設定されていないこと。どのCMを見ても戦闘シーンは存在せず、県民の生活に役立つことをやっている。
伊禮さんは「りゅうぎんロボが立ち向かうのは県民の不安や自然災害などです」と話す。そして「りゅうぎんロボの物語はまだまだ謎に包まれていることばかりです。これから少しずつ明らかになっていくでしょう」と笑顔を見せた。(随時掲載)
(2018年2月11日 琉球新報掲載)