沖縄美人(14) ナチュラルな〝引き算〟こそ美しい ラジオDJ本村ひろみさん

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シンプルでナチュラルな生き方を実践するラジオDJの本村ひろみさん(54歳)。日々の生活を豊かに生きる秘訣と、そぎ落していく引き算の美学をお聞きしました。


人生を変えた出来事は?



沖縄県立芸術大学の大学院に入り、1年間イギリス留学したことです。ファッションアート系の大学に通い、外国人学生とシェアルーム。女子学生たちが自分の作品を販売していることにまず驚きました。それまでは作品は見て楽しむという傍観者だった自分。自ら作って楽しみ、売って楽しむということを当たり前のように実践している彼女たちの姿を見て、受け身から発信へ。アートってこういうものなんだと刺激を受けました。そこから、モノづくりの人と繋がりたいという意識が芽生えたと思います。

イギリスでは自然にも心を動かされました。英国は自然を愛する人が多く、至る所に原風景が大切に残されています。貴族の競馬場だったエプソムという町はまるで映画に出てくる世界。月夜に霧の中を馬が歩いている光景にも感動しました。森の木々が大きくしなるほどの強い風が吹く、荒涼とした地の果てのような場所もあり、16世紀にタイムスリップしたかのような風景が目の前に広がる体験。その場の空気感から自然のパワーの大きさ、自然を愛するカルチャーの深さや歴史を肌で感じました。

人生や生活に対する価値観の違いにもカルチャーショックを受けましたね。ある時、スペインとフランス両国にまたがるバスク地方出身のフランス人女性の結婚式に招待されました。ご主人は宗教の異なるイスラム人。その女性の両親は離婚していましたが、娘の結婚式に離婚した両親が同席し、共に祝福しているんです。彼らは過去は過去、現在は現在と割り切っていて、自由恋愛の国ならではの恋愛事情の深さを感じました。

このように、ヨーロッパでの生活はとても新鮮に映り、私にさまざまな影響を与えました。庭のハーブ園から摘んだ野菜を外のテラスに運び、語らいながら食事をする。平日からそんな生活を送っている彼らは、その場を楽しみ、豊かな会話の時間をもち、人生に会話のある生き方をしています。映画館から出てくると、見ず知らずの人に「どう思った?」と話しかけ、人との関わりを純粋に楽しむ文化。今、この瞬間、自分の感じたものを誰かと共有したいという、芸術に造詣の深いカルチャーが根付いています。

そんな生き方に魅了され、自分の感じたことを純粋に共有したい、日々の生活を豊かに過ごしたいと思うようになり、しゃべることはこんなに楽しいことなんだと覚醒された気がします(笑)。留学中の経験が今につながっていると確信しています。その場の空気感からしか分からないこともあります。だから行きたいところがあるなら、ぜひ現地に足を運んでみてほしいと思います。きっとたくさんの発見があると思いますよ!

ハッピーでいるためには?

日々の生活自体を楽しむことです。

本や音楽、映画など大好きなものに囲まれて生きていきたいと思うんです。それが私の幸せのもと。映画館で封切りされたばかりの映画を観てワクワクしたり、本屋さんで本を眺めたりしているだけで幸せになる。ヨーロッパ人のように素敵な空間で自由な時間を過ごし、コーヒーや紅茶を楽しむこと。何も特別なことをしなくても、大好きなものに囲まれて日々の暮らしを楽しむと、毎日ハッピーでいられるものです。

座右の銘は?

「逍遥遊(しょうようゆう)」です。

中国の古典、荘子の言葉で“とらわれない自由なのびのびした境地に心を遊ばせること”という意味です。自由な環境の中であるがままに心を楽しませる、いい言葉だと思います。今年の自身のテーマが「さらに脱力」。人ってつい力が入ってしまいがちですが、力を抜くとすごく楽になります。力まずに肩の力をどんどん抜いていこうと思います。

自分の芯がないときは周りに左右されやすいですよね。「私はこういうスタンス」と自分のスタンスをもつと惑わされずにすみます。私は人の話を鵜呑みにせず、自分の感覚を信じるタイプ。反省はしても後悔はありません。今、この時間を楽しむためにどうしようかと考える方です。シンプルな生き方をしていると思います。

理想の女性像は?


松任谷由実さん。ユーミンは常に進化し続けながら、第一線で活躍している女性。時代に合わせて変化しながらもいつも元気で楽しそう。ラジオを聴いたり、ステージを見たりすると頑張ろうと思え、影響を受け続けています。自他共に認めるユーミン教です(笑)。

世の中には変化を怖れる人もいますが、変化し続けているから時代の波に乗れると思うんです。そして時代から求められるから続けられる。何でも楽しいと思える方向に持っていくといいですよね。自分も楽しく、周りも楽しんでくれたら仕事の現場も一番いい環境になります。一緒に楽しんでくれる人がいると有り難いと思います。

ユーミンの「12月の雨」という曲にいいフレーズがあるんです。

“時はいつの日にも親切な友達。過ぎてゆく昨日を物語に変える”

昨日はつらくても自分の中のストーリーの1ページになったという歌詞の世界観が彼女の生き方を表しています。身近なことで気付かされることはいっぱいあります。頭で分かっていてもつい忘れがち。楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうから、「あの時」じゃなく今もとっても楽しいと思いたい。今、この瞬間を楽しみ、今の生き方を肯定する。今、置かれている状況で楽しみを見つけることが大切だと思います。

理想のパートナー、好きなタイプは?

うちの夫が理想です。懐が深く、いつも温かく見守り応援してくれる。結婚17年目なのですが、彼のことそんなに知らないの(笑)。干渉することなく、寡黙でミステリアスな人。お互いミステリアスなのが一番いいのかもしれません。夫婦でも挨拶はきちんとしています。ありがとうや嬉しい気持ちはちゃんと伝えるんです。良かったね、おめでとう、ありがとうは連発していますよ(笑)。

いつも朝食の準備をしてくれる彼に、開口一番「ありがとう」と声を掛けます。身近な人に感謝の気持ちを伝えることは大切です。例えば、「こんな人に出会いたい」という理想があるなら強く念じるといいいですよ。漠然と優しい人より、具体的にどんな人なのかを考えることが大事です。あとはタイミングに任せて。おおざっぱなB型なのでナチュラルに生きています。

落ち込んだ時の対処法は?


自分の好きなことに興味をおくと、他のことが気になりません。例えば、疲れたときにはあえて歌って踊る! 歩くことも好きなので、道を歩きながら音楽を聴いて散歩もします。特別なことをしているつもりはありません。土のにおいや雨のにおいが分からない人がいると聞くとびっくりしますが、散歩をしていると、風景や草花、風などから季節が変わっていることにも気付けます。

専門学校で教える機会があり、夕陽を見たり、日の光を肌で感じたり、自然に触れ合うことをオススメしています。学生からは「忙しくてそれどころではない」と言われます。大事なことは足元にもあります。実は、近くにあることで気付かされることはいっぱいあると伝えたいです。

モチベーションの上げ方は知っておくといいですよ! 私はネコと遊ぶこと。大好きなネコと楽しく暮らしています。私は直観タイプで、感覚で生きる人。自分の生き方を大切にしています。自分の生き方を大事にしていたら、へこむ時間はありません。そして常にリセットすることです。いわゆる忘却です(笑)。寝て起きたら新しい朝が始まっている。また今日も新しい1日を楽しみたいと思う毎日です。

チャレンジしたいことは?

大きいことはたいしてありません。ここ数年の目標は部屋の片付けです(笑)。

片付ける能力を身に付けたい!物が多くて捨てられないの。本は繰り返し読むために置いておくし、好きなものに囲まれて暮らしたいから好きな物が増えていくばかり。全部がときめく物だから捨てられないんです(笑)。

イチオシ美容法は?



よく眠り、よく笑うこと! 大声で笑うの。そして心と体を健康に保つために、早寝早起きの習慣と日常的によく歩くことが大切かな。歩くのは大好きだから1時間以上歩くのは平気。1時間半くらい普通に歩きます。歩きながら季節の移り変わりを感じたり、風景を楽しんだり、道端のネコと話したり(笑)。国際通りも毎週2往復くらい歩きますよ。奥武山公園には神社があり、森林浴もでき、良い気が流れているから歩くのにオススメ! 

朝食には、ハード系の麦パンとナッツ、ドライフルーツをいただきます。長生きできそうなので、納豆やショウガもよく食べますね。納豆はうずらの卵をかけて、ショウガは味噌汁にも入れます。

◇撮影協力
桜坂劇場・さんご座キッチン
那覇市牧志3-6-10
098-860-9555


本村ひろみ

ラジオDJ 那覇市出身 清泉女子大学卒業後、ラジオ沖縄のラジオカーレポーターや番組パーソナリティを務める。 沖縄テレビ「ハイサイ新婚さん」初代レポーター。

その後ラジオの仕事を続けながら 沖縄県立芸術大学へ進学。美術工芸学部 芸術学専攻から大学院 造形芸術研究科修了。

現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」 (月曜〜金曜 18時25分〜18時30分) 「We love yuming2」(毎週 日曜日 19時~20時)のパーソナリティーを務める。

 


【インタビュー後記】

今という時間を大切に、今自分の置かれている状況を楽しむことに情熱を傾ける本村ひろみさん。大事なものは足元にある。気付くことはいっぱいあるというそのシンプルでナチュラルな生き方に、削ぎ落していく「引き算の美学」を感じます。

誰にとっても一番大切なのは自分の本音。自分の幸せに責任があるのは自分なのだと改めて思いました。他人の意見に流されると、思い通りにならなかったとき後悔してしまうけれど、自分の意志で決断したことはきっと後悔することはない。未熟さや欠点がある自分。それも私。そんな自分でもやれることがあると思えるようになってきたのは、人生にはできないこと、変えられないこともあると認められるようになったからかもしれません。自信がないからこそ、成長したいと前向きに進んでこれたと思えば、悩んでいた時期も無駄ではなかったように思うのでした。

進学・就職・結婚・出産などの節目で環境が大きく変化する女性。さまざまな変化に合わせて柔軟に自由に生きていけたら、人生はもっと豊かになるのではと思います。本村ひろみさんのように自分自身と上手に付き合っていくことで、歳を重ねることを恐れない素敵な大人の女性になりたいなと思うのでした。会うだけで楽しい気持ちになる。また会いたくなる。その笑顔を見たくなる。本村ひろみさんはそんな不思議な魅力を持った素敵な女性でした。
 

(記事、写真 朱瞳碧晃)

 



朱瞳碧晃(あやとうみき) 

ビューティーライター、フォトグラファーとして活動。美魔女フォト(ヘアメイク込)、出張撮影、HP・広告用の商用写真撮影やセールスライティング代行を行う。

リポーター経験より、白霧未來でイベントMC、披露宴司会としても活動中。



(月1回掲載)



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