地域に求められてるものを「創る」醍醐味 沖縄県産本☆ バックヤード便り[32]

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第32回 地域に求められてるものを「創る」醍醐味



 病院の待合室や美容室、銀行のロビー… サービスを待つ場にそっと置かれた本棚を見つめるのが好きです。その中には、新聞、雑誌、刊行物、読みふるされた過去に話題となった本、児童書、その中にそっと県産本がある風景を見かけたこと、みなさんもあるでしょうか。

 地域に必要とされている本の価値を考えます。司書として勤務していた時、図書館の郷土図書コーナーで、丁寧に補修された県産本を見かけることがよくありました。先輩司書さんが「古くても、このテーマの本はこの1冊しかないから、大事に補修してるんだよ」と言っていたのを覚えています。学校図書館で利用頻度の高い県産本は劣化が早く、買い替えようという時に再販予定がなく品切れている、もしくは出版社が暖簾を下ろしている、ということもありました。



 必要とされているものを、必要としているタイミングで供給することは、自身が出版に携わっていくなかで、永く容易なことではないことを痛感しています。新聞を開けば、紙の需要と供給の減少、原紙メーカーの倒産と価格高騰、出版書籍売り上げの減少・・・紙にまつわる話題は明るいものばかりではありません。

 営業活動をしているなかで、お客さまからこんな言葉を掛けられることがしばしばあります。「こんな商品があったんですね、知らなかった、初めて見かけました」。耳にして、はじめは気落ちしてしまうのですが、時間が経つと気づかされることも多いです。営業をし尽くした、したつもりは、あくまで売り手だけで、まだまだできること、やるべきこと、あるんじゃないかな? ポジティブな気付きとして受け止めよう、できることを探そう、頑張ろう。

 サービスを待つ場にそっと置かれた本は、誰かが想いを込めて形にし、形になったものを流通させ、手から手へと受け渡され、誰かの知識となり、誰かに伝え広め、その役割を誰かに渡そうと、円を描くようにループしてきたのだと思います。自分の分身のような本が、流れ着く先を見ていたい気もしますが、老後の楽しみになるように、地域に必要とされるお仕事をこつこつ積み重ねていこうと思います。



我那覇祥子(がなは・しょうこ) (有)ジグゼコミュニケーションズ、営業企画。書店員、図書館司書として勤務経験を経て今に至ります。沖縄の歴史文化に寄り添いながら、広告、出版、商品企画を通じて丁寧なものづくり、沖縄への貢献を心掛けています。


 


ジグゼコミュニケーションズ  
http://www.gxe-c.com/



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