お客さ〜ん、業界はげ〜んきです! 沖縄CMものがたり[9]日進ホールディングス


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 「比嘉さ〜ん。金城さ〜ん。げ〜んきですか? げ〜んきですか?」

 黄色い服をまとった男性が、インド調の音楽に乗せて踊りながら、沖縄でポピュラーな名字を連呼する。強烈なインパクトを放つ映像にくぎ付けになった人もいるだろう。太陽光発電システムの小売業などを手掛ける日進ホールディングスが昨年秋に放送を始めたCMだ。でも、どうして「げ〜んきですか?」なのか。

お客に「比嘉」「金城」

 「元気であることを伝えたかった」と答えてくれたのはCMの仕掛け人である同社の津嘉山貞雄社長。聞くと、太陽光発電を取り巻く環境が厳しくなり、業界全体が元気をなくした。

 国の定める太陽光発電の買い取り価格が段階的に引き下げられ、再生エネルギーに対する消費者の関心が薄らいだ。それに伴い、業界では倒産や事業撤退が全国で相次いだのだ。津嘉山社長は「低調になった印象がある太陽光を扱う企業として、元気や活気があることを顧客に発信していきたかった」と狙いを語る。

 構想を練っていた津嘉山社長はあることに気付いた。実際に太陽光パネルを買ってくれた人の名字は「比嘉さん」「金城さん」が多かった。顧客に元気であることをにメッセージを伝えたい-。その思いがCMのフレーズにつながった。「比嘉さん。金城さん。元気ですか? 日進は元気ですよ」

脱・歌三線

「元気を届けたかった」と語る津嘉山貞雄日進ホールディングス社長=宜野湾市

 日進のイメージキャラクターを務める「元ちゃん」こと民謡歌手の前川守賢さんに出演をお願いすることになったが、いつもの「歌三線」とは異なる元ちゃんのイメージを打ち出したい。そこで、何パターンか想定し、インド調の音楽に合わせて軽やかな踊りを披露するイメージが固まってきたという。20年ほど前に日本でヒットしたインド映画を思い出した人もいるだろう。

 出来上がったCMは昨年9月から放送を開始した。反響は予想を超えた。保育園や高齢者福祉施設などから運動を目的に「あのCMのDVDがほしい」との問い合わせが相次いだ。比嘉さんや金城さんにとどまらず、子どもからお年寄りまで人気を博した形だ。

 「おもしろいCMだと声を掛けられるようになり、中には電話をくれた顧客もいた」と津嘉山社長は笑顔で語る。初めてのダンスに戸惑いながらCM撮影に臨んだという前川さんも「非常に楽しく撮影できた。本当に踊っているのかよく聞かれるが、本当に踊っています」と語った。

 「これからも顧客や太陽光パネル購入を検討している人に、元気を届けていきたい」。津嘉山社長をはじめとする日進ホールディングスはCMを通して「げ〜んきですか?」と問い掛ける。

(随時掲載)

(2018年3月18日 琉球新報掲載)