出会い オンラインで開拓〈リジュン記者のポートランド便り〉


この記事を書いた人 仲程 路恵

 インターネットを通して交際相手など出会いを求める「オンラインデート」がここ数年、米国ではブームになっている。アプリをダウンロードすれば、どこにいても簡単に出会いを見つけることができる。町のコーヒーショップに行くたび、出会い系アプリで出会った相手との初対面を待つ若者の姿が目につく。

オンラインデートのサイトで出会いを探す米国人

 アプリは、累計マッチ数200億を超える世界最大の「ティンダー(Tinder)」をはじめ、女性から先に男性にあいさつを送らないと両者がつながらないルール付きの「バンブル(Bumble)」などさまざまなタイプが相次いで開発されている。交際相手だけでなく、友だち探しにも人気だ。

 サンフランシスコに暮らす友人の林竺奇(りんじくき)さん(35)は、2012年からオンラインデートのアプリを使い始め、16年までに30人以上と知り合った。きっかけは、12年にニューヨークからサンフランシスコに移り住んだばかりの頃に恋人と別れ、新しい出会いがほしかったからだという。

 「就職すると周りには考え方が近い人たちしか集まってこない。人脈の開拓にも限界がある」と林さん。オンラインデートを通して、「コミュニケーション能力の向上や、人脈の開拓などにもつながった」という。今年、個人事業を立ち上げる予定の彼女は、オンラインデートで出会ったベンチャー起業家からよくアドバイスをもらっているという。

 一方、日本では「出会い系サイト」などと呼ばれ、それを使っていることを恥ずかしく思う人は少なくない。現実生活で交際能力がないと思われたくないからだろう。交流サイト(SNS)が普及した今、若者の交際ルートも多様化している。オンラインデートの風は、きっと近いうち日本にも吹くだろう。

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 「全米で一番住みたい街」といわれるオレゴン州ポートランド。各種施設や住宅が集中したコンパクトシティーであること、公共交通機関の充実やユニークな個性を尊重する空気などが理由だ。ポートランドの人々の価値観からウチナーンチュが学ぶものもあるはず。留学中の記者が日々の暮らしで気になったことを報告する。(随時掲載)
 

プロフィル

呉俐君(ウ・リジュン) 1983年、台湾・高雄市出身。2012年に琉球大学で社会学博士学位を取得し、同年琉球新報社へ入社。経済部記者などを経て、昨年9月より社内留学制度を活用して米オレゴン州のポートランド州立大学で英語を学んでいる。